定型

災害報道の常です、リアルタイムでの実況ではなく結果を見せる。こんなに！と見せる。そして私たちはそれを待ってる。いえ、不遜で不謹慎です、誰か他の人が言えば私もそう言ってたしなめます、けれど惨状を見たいのです。小さな子供や老人がヘリコプターで救助されていく場面を見たいのです。潰れた家を、轟々と流れるまっ茶色の濁流に破壊された線路を、抉り取られた剥きだされた山肌を、どこから来たんだの流木群に塞がれて辺り一面に氾濫する日頃とは全く別の顔で牙を剥く故郷の川を呆然と見詰める人達を、見たいのです。それを知ってるからマスコミは大挙押し掛ける、こんなに大変です、惨状です！ＮＨＫのアナウンサーは逃げろ逃げろと強調する。お出かけには折り畳み傘を、なんてお節介が過ぎる傾向が鼻についてるところ、これもちょっと「過ぎる」ことですよね。
　朝ドラご覧になってますか。ビートルズの来日公演を背景にして物語が進みます。彼らのピンナップはちらちら出て来るんですが、全然曲がかからない、これは明らかにわざとで。権利が著作権が制作費がどうしたの話なんでしょうが、しかしこれも演出です。今朝はローリングストーンズを話題に出して、５人の写真とジャッジャーンとサティスファクションのあの超有名なリフを想像させるあの歪んだ音を二つ出すだけです。ニヤリとさせる、これも演出ですなぁ。武道館に押し掛けたのは当時中高生から上の世代、私は１０歳でした、５年遅かった。あの時の空気を吸いたかったなと悔しく思うことです。