柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

冷や水

2008-08-16 10:31:33 | Weblog
柔道男、鈴木の惨敗を受けて、さらに重い級に一回り小さい石井です、外人は2mを超える大男がぞろぞろいます、ジャイアント馬場そっくりな人もいます、大丈夫かなぁでしたが。今朝の新聞はこぞって異端児と表現します、美しさを求めるなら体操でもやれ、一本勝ちよりも勝利だと公言して憚らない男です。次々と負け続けてきて、私も柔道のレスリング化についていけないのならついていかないのも手じゃないのか、あくまで日本柔道は美しさの追求だなんて書きましたし、勝った選手が一本に拘る柔道とコメントしていたことも相俟って、Judo は柔道と違うんだから仕方ないか?という言い訳に流れそうではありましたが、例によってマスコミは無節操にあっちからこっちに大きく針を振って異端児と一つ布石して置いて賞賛します。勝ったもん勝ちなのではあります。彼がどう言おうと人は聞くばかりなのです。あの山下泰裕が辛口に言ってます、鈴木と泉を名指して、私達は彼らの実力を見誤っていたのだと。その山下さんも石井の勝利に対しては日本の伝統が守られたという表現をします、この謂から察するに日本の伝統とは最重量級(無差別級というのはなくなっているんですね)を制することのようです。本家本元という体面、お家芸というメンツ。本来の姿に拘れば拘るほど、国際化という名のルール改正に取り残されていくジレンマ。石井のような選手が今後業界のお歴々をどう変えていくか。要は、指導者がどう肚をくくるかの問題のように思います。
 なでしこジャパン。あんな場面で(中国で中国相手に、つまり13億を敵に回した状況で)よくぞ勝ったこと。次は緒戦で負けたアメリカと準決勝だそうです。根拠に薄い下馬評を煽り立てて、結果の悪さには頬被りするマスコミを皮肉り、それに乗って思い違いしている選手達を皮肉っていたのですが(この典型が陸上の為末でしょう、奇跡が起こるかも知れないなんて自分で言ってましたから。素人目にもこの人やら朝原やらはとてもだめでしょうに。果たしてダメでしたが、この人達に勝てる日本人が他にいないんですから仕方ないですか)、男のサッカーがあのていたらくでしたから余計にコントラストがついています。彼女達こそが下馬評通りの実力者だったのだなんてのも、狼少年の中には本物もいるよなんてごまかしでしょう。もちろん私がタチの悪い天の邪鬼であるというバイアスも大きいです、周りが騒げば騒ぐほど眺めすがめつですから。本当?大丈夫かい?しかしこういう晴れの舞台で、中国やら韓国やらに勝つのは胸のすくことではあるのです、相手が血相変えて来ますから余計にです。反日剥き出し、こいつらにだけは負けるな!北朝鮮と一緒ですわ。柔道でも、バドミントンでも、体操でもなんでもそうです、あの大歓声は愛国心だけじゃないですね、反日の雄叫びですね。むろんこんな大きなイベントになってしまって、今更スポーツは綺麗事じゃ済みません、国威発揚と愛国心煽動、スポーツにかこつけての溜飲下げ、いわばガス抜きの道具です。ううむ、この方向に進んでいけば、行け!神風は吹くぞ!!でもいいんでしょうかね。自己撞着ですか。冷や水掛ける方がおかしいんでしょうね。
 昨日の毎日新聞に、終戦記念日に寄せた野坂昭如のエッセイが載っていました。大島渚をぶん殴ったり奇行で鳴らした人、病を得てからはさすがに精彩を欠きますが「火垂るの墓」はこの時期のスタンダードとして未だ色褪せません。反戦のエッセイです、終戦記念日よりも日本中が好戦性を剥き出しにした開戦日を反省の日にすべきだという論でした。昭和16年12月8日です。中国への進出(侵略という表現もあります)が行き詰まり、ハワイ攻撃することで天窓が開いた思いになったとあります。あの時日本中を覆っていたあの空気こそを反省しなければならないという論調でした、なるほどなと読みました。こういう皮肉も交えます、8月にはいると突然戦争反対の気運が高まる、意味もよくわからないまま反戦を唱え、殊勝な面持ちの世間と。戦争はいけませんと言っておけばいいという安易さ、しれっと真顔で言い放つ殊勝さ、そこに偽善の匂いを嗅ぐわけです。でも彼は言います、それでもいい、意味は判らなくていい、殺し合いに反対するのに意味は要らないと。短い文章でしたが読ませるものでした。そしてプロの巧さを思いました。というより私の書く文章の生硬さ稚拙さを改めて感じました。さらりと書く、肩肘張った言葉を使わずに意を通す。この辺りが才能の有る無しなんだと痛感することです。才能なんてのは無い者にだけわかるものでしょうし。是非ご一読を。
コメント
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