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ミステリ感想-『鬼畜の家』深木章子

2015年04月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「あたしの家は鬼畜の家でした」少女が告白する鬼畜のような母の所業。
自殺した夫を自然死に見せかけての保険金詐取に端を発し、次々と起こされる犯行。
やがて母は兄とともに深夜の海に消え――。

10年ばらのまち福山ミステリー文学新人賞


~感想~
東大法学部を出て長年にわたり弁護士を務め、60歳にして執筆開始という異色の経歴を活か―さず、きわめて王道のシンプルなミステリを出してきた時点で作者の自信の程がうかがえるというもの。
以降は毎年のように賞レースやランキングを賑わせているのも当然と思わせる、新人離れして落ち着き平易で的確な文体、お手本のように起承転結をはっきりさせた構成であっという間に読み終えられる。
あまりに事件の構図がシンプル過ぎ、真相や展開は正直言って予想通りで驚きはないのだが、全てにおいてそつなくまとめ上げた佳作だと言えるだろう。

なお文庫版の、この新人賞名物の島田荘司御大の解説は熱が入り過ぎて若干ネタバレ気味なので、読了後に読むことをおすすめしたい。


15.4.7
評価:★★★ 6
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