小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『パーフェクト・ブルー』宮部みゆき

2003年02月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
高校野球のスーパースターが殺害され、ガソリンをかけて燃やされた。
現場に出くわした弟の進也、探偵事務所調査員の加代子、
そして元警察犬の俺は、事件の真相を追い始めるが……。


~感想~
宮部氏のデビュー長編。
デビュー作とは思えない文章力は、読みやすく好感。
ただ、主役のマサと加代子の人物造型が今ひとつ、というかキャラが立っていない。
せっかく犬の視点で描かれているのに、それを活かしきってはおらず、伏線の張り方もうまくない。
丁寧な造りではあるが印象は薄く、ものの数日であらすじも忘れてしまった。悪くはないんだけど……。


03.2.27
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『とらわれびと』浦賀和宏

2003年02月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大学構内で発生した連続殺人。被害者はみな男性で、腹を切り開かれ殺されていた。
犯人を捜す被害者の姉は、「妊娠」した男が次々と失踪するという奇妙な事件に出くわす。
あまりにも現実離れした犯罪は『笑わない男』の指摘で予想もせぬ真相を明らかにする。


~感想~
文中で何度も否定されているが、結構ミステリになっている。
緻密に見えてテキトー、丁寧に見えておおざっぱな印象。
著者自ら認めるくだらない解決の糸口やロクにない伏線(十分あると思うが)は別段気にならず。


03.2.25
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『頭蓋骨の中の楽園』浦賀和宏

2003年02月17日 | ミステリ感想
~あらすじ~
首なし死体となって発見された女子大生。
彼女の死と殺害方法は、小説の中で予告されていた。
首は見つからないままに、再び発見される首なし死体。
異常な連続殺人の背後には、密室の中で首を切断して自殺した作家の存在が……。
事件と対峙する『笑わない男』が微笑むとき、
明らかになる「世界の謎」、そして「切断の理由」とは。


~感想~
筆力が今までと比べものにならないほど向上。どことなく京極臭までただよわせる。
最も緻密でありながら最も脆弱な構成、シリーズファン以外を置き去りにする展開は両刃の剣。
ともあれ読む者を離さない磁力は見事。


03.2.17
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『時の鳥籠』浦賀和宏

2003年02月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
私は、この子がそう遠くない未来に死んでしまうことを知っている。
初対面の少女の自殺を、なぜか「私」は知っていた。
「私」の生まれてきた理由は、その少女を救うためだから。
少女に出合った途端に、意識を失った「私」が過去を語りだすとき、日常が崩壊していく……。


~感想~
文章力は稚拙と言っていいほどに低い。だが読む者を引きつけてやまないなにかには、ただ驚かされる。
粗さは多々目につくものの、それがどうしたと言わんばかりの鮮烈な真相。
僕はSFをろくに読んだことがないので「これは前代未聞!」と断言はできないが、このトリックにはかつてない衝撃を受けた。前作とのリンク、そして前作をはるかに上回る破壊力。
浦賀和宏……その名にミステリ、ひいては文学の未来がたゆとうているのを感じた。


03.2.14
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『迷宮学事件』秋月涼介

2003年02月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
迷宮と迷路は混同されがちだが、構造も、意味も全く別物である…。高名な隻腕の建築家・東間真介は、自ら設計した、地上部分は左右対称、地下は迷宮構造の屋敷に住んでいた。そこで起きた鏖殺事件。迷宮内の密室で、真介の亡骸は年齢退行をした赤子の姿で発見され…。今、貴方の心奥の昏い迷宮も疼き出す!(裏表紙より抜粋)


~感想~
(ものすっご毒吐き→)またも褒めようのない作品。前作よりはマシだが、やはり盛り上がりもクソもないのっぺりとした展開は退屈きわまりない。いかにもシリーズ物の序章だった前作をあっさり放棄したのはわずかに好感も(その反面、いくつかの書評で見かけた「シリーズ物の序章、人物紹介編としてみればなんとか及第点」という評価を完全に裏切りはしたが)それもだからどうした。結論はまたしても一つ……どうしてデビューでき(させ)たの?


03.2.2
評価:なし 0
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