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ミステリ感想-『盤上の敵』北村薫

2023年12月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
TVディレクターの末永が留守にしていた家に殺人犯が籠城。
犯人は妻を人質に逃走への手助けを要求し、心に傷を持つ妻を救うため末永は警察を、犯人を、マスコミを出し抜くことを決める。

1999年このミス8位、文春7位、本ミス4位

~感想~
極めて苦手なため作品をほとんど読んでいないが、おそらく北村薫が本格ミステリを最も志して書いたと思われるトリッキーな一冊。
その企みに満ちた趣向は大いに買うし、後半のある急展開には驚かされたが、そこから先は期待を超えなかった。
ある人物の頭脳が冴え過ぎていてあまりに事が上手く運び過ぎてしまうことと、あまりにポエミーなある人物があまりに都合よくきれいさっぱりピンポイントで重要なことを忘れているのは、いくら大抵の粗さがトリックのためなら許される本格ミステリだとしても少々やりすぎ。
また文章との相性の悪さも相変わらずで異常に読みづらく、そもそも友人に相談に来たと思ったら昔の回想で普通に帰ったり、隣人が引っ越したと思ったら散歩についてくるのは伏線でもトリックでもないただの雑な文章としか思えないのだが。
一長一短ある中で短所が目立ちすぎていてあまり自分は評価できなかったが、作者のファンや相性の悪くない読者なら10倍は楽しめるのだろうとは思う。


23.12.11
評価:★★☆ 5
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (根岸鴨)
2024-01-03 21:28:37
こんばんは。同じプロットで折原一なんかが書いていれば面白く読めたと思うんですが、どうしても北村薫には合わない話だったなということを考えた覚えがあります。
Unknown (小金沢)
2024-01-06 01:28:10
どうも!
トリックとか素材は良いと思うんですが作者に合わない印象ですね。確かに折原一なら殴られた拍子に上手いこと忘れても大丈夫そう

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