小金沢ライブラリー

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SCP-1551~1560

2018年07月31日 | SCP紹介
SCP-1551 - Repeating House
未翻訳

SCP-1552 - The Dog Who Loves Closeups (大写し大好き犬)
オスのイングリッシュ・ブルドッグ。鏡やよく反射する(光沢係数が95以上)金属等がこの犬を映しているところを観察されると、永続的に犬の顔を大写しにするようになる。現在257個の物体がこの性質を帯びている。犬の背後に収容している財団施設が映っているため機密保護が危惧されるが、一方で緊急時の通報手段としての利用も検討されている

SCP-1553 - Dr. Wondertainment's Shadow Paint Play-Set! (ワンダーテインメント博士の影絵遊びセット!)
ワンダーテインメント博士製のおもちゃ。筆で絵の具を塗りつけると、描いた絵が動く。生物を描くと元の生物の行動を模倣する。付属のスポンジで擦ると簡単に消せるが、実在の影を消そうとしたり、扱い方によっては危険を招く

SCP-1554 - The Damaged Fellowship (傷つけられた「旅の仲間」)
J・R・R・トールキンの著作「旅の仲間」の一冊。破損させると動く模型を生成したり重力操作して報復する

SCP-1555 - Facility (施設)
ある国立公園の地下に造られた施設。全体で砲台を形作り、不定期に砲弾を北東6km先の渓谷に撃ち込む。着弾すると中から5~16匹の野鼠が現れ、砲弾は速やかに分解される。稀に中身や挙動が異なる

SCP-1556 - Misthorses (霧馬)
アメリカのある山岳地帯に棲む15頭の馬。視認性を100m以下に低下させる霧が発生している時のみ現れる。捕獲しようと麻酔弾を撃ち込んだところ1頭が死亡してしまい、以降は人間を避け、攻撃的になった

SCP-1557 - Giraffe Hell (キリンの地獄)
グリーンランドの某所にある施設。2700℃の高熱を帯び、なんらかの信仰心に篤い者は不可視の壁に阻まれ50m以内に近づけない。信仰心が薄くキリンではない生物が近づくと扉が開く。内部はツンドラ気候に似た環境で、未知の力により死ぬことの出来ないキリンが白色の光球に罵倒されながら虐待されている

SCP-1558 - Snuff Tower (スナッフ・タワー)
電話用アンテナ。設置した基地局を経由した通話のうち、時速65km以上で移動中に、親密な相手に電話を掛けると通話内容を書き換える。通話相手は何者かに銃を突きつけられていると語り、脅迫者は命を助けたければ対向車線に飛び込め等の自殺行為を要求する。一連の会話は全て、スナッフフィルム所持の罪で実刑判決を受け、自殺した男のサーバーに保存されていた

SCP-1559 - Birdsoul In Your House (あなたの家に鳥がいる)
「A FEW STILL LISTEN TO BIRDS(まだ僅かに鳥の声を聴く者がいる)」と書かれたポスター。視認した者は都市部で生成される全ての音が鳥のさえずりに変換される。逆に鳥の声は増幅され、やがて鳥に関連しない音を全て無視するようになる。オウムの声真似や鳥の声を加工した音声によりコミュニケーションは取れる

SCP-1560 - Extradimensional Albatross (異次元アホウドリ)
異次元から現れたと思われるアホウドリに似た巨大な鳥。高度8100m以上で暮らし、それ以下に降下すると5~10分の間消失する。観察により消失中は異次元で獲物を捕らえていると推測される。捕獲を試みたり負傷させると瞬時に消失するため一羽も捕獲出来ていない。航空機との衝突が懸念され、間引きが検討されている
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今週のキン肉マン #254 八角形の達士!!

2018年07月30日 | 今週のキン肉マン
・流石にスグルか誰かがハンモックで寝ているネタは無かった
・観客少なっ
・ゼブラサンダーボルトクラッシュ!(ただの前転エビ固め)
・ゼブラヘルズサブミッション!(自分もきつそう)
・自己主張の強すぎるゼブラの技名
・虫けら煽りに技巧の限りを尽くすゼブラ
・ゼブラはクワ一本で巨万の富をなした農業男子だから虫嫌い説好き
・早くもマッスル・インフェルノ!
・飛んであっさり回避!
・マリキータに限らず飛ぼうと思えば全員飛べるからね
・それよりシルバーマンがビーム撃つから早く逃げて
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SCP-1541~1550

2018年07月28日 | SCP紹介
SCP-1541 - The Drunk God (呑んだくれの神様)
わし座G34.3エタノール雲に位置している存在。神を名乗り100年前の信奉者の子孫にメールを送ってきたが、アルコール依存症と躁鬱病の傾向を示している

SCP-1542 - Subject: A-35 (被験体A-35)
ゲル状の粘膜に覆われた人型生物。自我があるようで人間と交流しようとする素振りを見せる。体内から「被験体A-35」と記されたフラッシュドライブや金属片が見つかった

SCP-1543 - Efrain's Dialtone (エフレインの発信音)
ある電話番号。国際電話によってのみ繋がり、プエルトリコに住むエフレイン某なる男が応答する。彼は異世界の街に迷い込み捕食者に追われていると語る。ある日を境に応答者はオルハ(またはオルガ)を名乗るウクライナ人女性に代わった

SCP-1544 - Slinky Man
未翻訳

SCP-1545 - Larry the Loving Llama (リャマ・ラブ・ラリー)
2人用のラマの着ぐるみ。入ると外から強制的に引っ張り出さない限り絶対に出て来ない。そのため放っておけば脱水や飢餓等により死に至る


SCP-1546 - University Ballcap (大学の野球帽)
野球帽。着用して会話すると自信や説得力が増加し、相手に不利益なことを強いやすい。内部にはチップが組み込まれており、使用者の周囲にはある存在しない大学の姿が見え隠れする

SCP-1547 - A Mother's Love
未翻訳

SCP-1548 - The Hateful Star (きらいきらい星)
かに星雲に存在する中性子星。人間を憎悪し、望遠鏡を向けている相手を未知の手段で特定し、モールス信号で脅迫する。財団の存在はおろか施設や幹部の情報も握っていると語り、徐々に太陽系に近づいている

SCP-1549 - In Absence of a Perfect Medium
未翻訳

SCP-1550 - Dr. Wondertainment's Custom-Pets™ (ワンダーテインメント博士のカスタムペット™)
ワンダーテインメント博士製の卵。パッケージを開けると周囲の環境に適応したペットが産まれる。真空や炎の中等、劣悪な環境では産まれずに割れる
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ミステリ感想-『ナポレオン狂』阿刀田高

2018年07月27日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
ナポレオンに関するあらゆる物を蒐集し記念館に飾る男。彼のもとをナポレオンの生まれ変わりを名乗る男が訪れ…表題作
上流階級に育ち子宝にも恵まれた真樹子を、産婦人科で知り合った初江が訪ねる。初江はお手伝いにでも雇って欲しいのか、産まれたばかりの真樹子の娘に世話を焼こうとし…来訪者
他11編を収録した短編・掌編集。

1979年直木賞(※表題作)、推理作家協会賞・短編部門(※来訪者)、文春9位、東西ベスト(1985)65位


~感想~
短編からショートショートまで織り交ぜた作品集。
いずれ劣らぬ良作揃いで、また収録順にも工夫を凝らし、ミステリありホラーありSFありと様々な手管で読者を翻弄する。
抑制の利いた筆は必要最低限どころか、必要以下にしか語らないことで余韻を持たせ、想像力を刺激してやまない。
特にお気に入りはミステリ仕立ての「ナポレオン狂」「来訪者」「恋は思案の外」はもちろんのこと、まさかそう来るとは思わなかった「裏側」、強烈なオチが襲いかかる掌編「白い歯」あたりで、とにかく当たり外れが少ないどころか、ほぼ全作が当たりと言える、いわゆる珠玉の短編集である。


18.7.21
評価:★★★★ 8
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SCP-1531~1540

2018年07月26日 | SCP紹介
SCP-1531 - Perfect Lie Detector (完全な嘘発見器)
ポリグラフ。被験者に質問すると回答の真偽を判定する。判定はランダムだが、それを見た者は絶対に正しいと信じ込み、判定に合わせて強引に解釈する

SCP-1532 - Dr. Gale’s Human Emporium© (ゲイル博士の人間エンポリアム©)
人造人間を製造・販売する組織。アメリカとカナダの住宅にカタログを送り、料金を支払うと注文通りの人造人間を届ける。配送するバンは追跡しても消失する。Dクラス職員の代わりとして購入する案が出されたが、危険性を鑑みて却下された

SCP-1533 - The Collective
未翻訳

SCP-1534 - A Leafy Lammergeier (葉ねの多いヒゲワシ)
ヒゲワシに似た鳥。高い知性を持ち、人間に引き抜かれた羽根は葉になる。骨を食べると尾羽が抜け落ちるが葉にはならず、不可視の何者かが尾羽を持ち去る。何者かは監視者や監視機器を様々な方法で潜り抜けるため決して視認出来ない

SCP-1535 - Purgatory (煉獄)
メーソンジャー(ガラス瓶)。内部に昆虫や爬虫類等の知性を持たない生物を入れ、蓋を閉じると、酸欠で死ぬまでの間、生物に16世紀のスペイン人男性の意識が宿る。男は観察する職員を神と認識し、天国に迎え入れるよう求めたが、最後にここは地獄かと問い掛けた

SCP-1536 - Doppelgängers
未翻訳

SCP-1537 - The Words of Akul'hil (Akul'hilの御言葉)
ある言語。発声すると聞いた者の99%(1537-A)を2週間以内に死亡させ、その後に自在に形状を変える極めて高い身体能力を持った生物に変える。残る1%(1537-B)は言語を理解し、1537-Aを操る能力を得る

SCP-1538 - Instructions to a Twin-Screw Extruder (二軸スクリュー押出機の説明書)
2008年7月29日から2010年2月11日の間に出現した15通の文書。全く関連の無い15名の人物の遺書の中に、未知の二軸スクリュー押出機の説明文が挿入されている

SCP-1539 - Semantic Dissociator (意味論的分離装置)
ペンシルバニア州にあるおよそ6mの異常空間。81秒以上、内部に留まった物体の物性と意味論的アイデンティティが分離し、分離したアイデンティティは周囲にある意味論を持たない物体と容易に再接着する。洗濯機と人間、財布と人間が融合した例がある

SCP-1540 - Metamorphic Identity
未翻訳
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SCP-1521~1530

2018年07月25日 | SCP紹介
SCP-1521 - The Most Holy Bank of His Holiness Pope Leo the Tenth, Saint in Waiting (聖人候補たる教皇レオ10世聖下の最上神聖銀行)
ローマの某所に存在する見えない銀行。表の看板には「聖人候補たる教皇レオ10世聖下の最上神聖銀行」と書かれ、視認出来る人物が現在17名いるが法則性は認められない。視認出来れば中にも入れ、カトリックの司祭や修道女に似た行員が、あの手この手で金銭を要求する

SCP-1522 - Ships That Pass In The Night (夜の海ゆく船たちは)
2隻のトロール漁船。廃船後に無人で回遊するようになったがスコットランド沖を航行中にミサイルに撃沈され、活動停止した

SCP-1523 - Soul Brother (アイツが魂)
コイル状のお香。焚かれている間、あるミュージシャンの記憶を有した知能が現れ会話出来る

SCP-1524 - A Small Business
未翻訳

SCP-1525 - The Emperor's New Watch (裸王の腕時計)
ロレックスの腕時計。着用している間、服を脱ごうとするたびに既に脱衣したと思い込み、着ている衣服を一切認識出来なくなる

SCP-1526 - Papers, Please (書類を。)
2ヶ国以上の国籍を持ち、人口200万人以上の国に居住する人物に起こる現象。襟に複数の国旗をピン留めした男性が現れ、国籍を1つ買い取ることを申し出る。承諾すると国籍を持つ国のうち人口の少ない方の領土に瞬時に転移させられる。以降、不可視の壁に阻まれ、売却された国籍の国の領土に立ち入れなくなる。それと同時に売却された国籍の国内には、永住権を示す書類を持った、人型の異常な存在が現れる

SCP-1527 - Our Bellmaker, Our Radiant Skies (我等の鐘職人、我等の輝く空)
ある無人の村落。午前12:25に時計台の鐘が鳴り、村内に頭部の無い甲殻類のような生物が現れる。生物はテレパシーで他の生物を操り、村外へ出ようとする。時計台を含め村の施設は破壊不能のため、財団は武装職員を配備し生物の駆除に追われている

SCP-1528 - Finished With Lies (仕上がった嘘)
漂白剤に似た液体。商店や自宅内にランダムに現れる。噴射し吸入した人物は、壊れている・欠陥があると認識している物体にこの液体が吹き掛けられていると、物体は無傷で欠陥が無いと、認知を改変する。例えば常に倍速で再生する壊れたスピーカーに液体を掛けると、被験者は自身が倍速で動き出す

SCP-1529 - King of the Mountain (山の王)
エベレスト山頂付近に現れる人型存在。登山家の姿で、フードとゴーグルで覆われ顔は見えない。普段は死体のように動かないが、活性時には標高8000m以上の位置にいる登山家に接近し、目を合わせた相手を眠らせ、低体温症で死亡させる。遺体は急速にミイラ化する

SCP-1530 - A Bender's Friends (彼女の友だち)
ある森の中の廃屋。出入り口は全て閉ざされ、中からは犬猫の鳴き声や家具の破壊音、男性の絶叫等が聴こえる。中に入った調査員は全身に重傷を負った犬と猫に襲われ、自身も重傷を負わされ屋内に取り込まれた。犬猫は知性を持ち、2階で死んでいる女性の友だちと名乗った
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SCP-1511~1520

2018年07月24日 | SCP紹介
SCP-1511 - Mobile Paradise (移動する楽園)
不規則な形状の多面体。1年に3~8回、2点間を決まった経路で移動する。形状や速度はまちまちだが到着すると消失し再出現しない。浮遊しているが時折着地することがあり、その際には周囲を旋回する人間の彫像が生物化しメンテナンスを行う。彫像達はその間、まるで楽園にいるような独り言をつぶやく

SCP-1512 - Irrational Root (無理根)
ある大学寮の一室から発生した根状の有機体。現在8万tの質量を持つと推定され、蔓から有害な粘液を分泌する。毎秒8m成長するが近くで発生点の漸近線の擬リーマン微分トポロジーの演算を手作業で行っている間は成長が抑制される。計算の精度と速度が高いほど成長は阻害されるが、計算者は常に計算機の演算結果を信用しないことを求められる

SCP-1513 - Potted Pets (鉢植えペット)
袋に「ペット栽培」と書かれた植物の種。地面に蒔き適切に世話をすると犬や猫といったペットそっくりの温和な性格に育つ。世話をしなくても成長するが人間の手を逃れようとする。また2本集めると合体しより大きくなり、より高い知能を得る

SCP-1514 - Star Wars (スターウォーズ)
レーガン大統領の「スターウォーズ計画」として偽装された、アメリカ政府と某組織により開発された核抑止力システム。未知の動力により稼働する、内部に生物の入った装置と人工衛星からなり、装置から1時間に1回、衛星に無線通信を行う。36時間以上受信に失敗すると、地上の標的に向けレーザー攻撃を行い、核報復による世界終焉を引き起こすと推測される。現在は活動停止している

SCP-1515 - Wallaby Wannabes (ワラビー・ワナビー)
トビウサギに似た生物。5体で他の哺乳類を襲い胎児を摘出する。そして母体の皮膚や骨を利用して袋を作り、それをワラビーのように自身の腹部に縫合し胎児を入れ、群れで世話をする。一連の行為で襲われた母子はもちろん、胎児の腐敗による感染症でこのSCPも死亡する

SCP-1516 - The Written Man
未翻訳

SCP-1517 - Candy Critters (アメダマゼミ)
ジュウシチネンゼミに似た昆虫。飴玉に良く似た、外殻が糖類で出来たカラフルな卵を生む。卵からかえった幼虫は付近の生物を襲い、体色に応じた組織を食べ、様々な菓子類に変換する

SCP-1518 - The Bubble Fountain (泡の噴水)
石灰岩で造られた噴水。未知の動力により常に水で満たされており、315秒ごとに7~8つの泡を放出する。固体か液体にぶつかるまで決して破裂せず、固体に当たると泡と同じ体積分が消滅し、液体に当たると同じ体積に膨らむ。泡が一つでも海に当たれば世界終焉を引き起こすと推測される

SCP-1519 - Renaissance Organism
未翻訳

SCP-1520 - An Elderly Monk (息身仏)
400年以上生きている即身仏。会話もできるが基本的には終日瞑想している
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1/24のNXT #431  特番前の箸休め回※メイン戦は除く

2018年07月23日 | 今週のNXT
ノー・ウェイ・ホセ ◯-× セザル・ボノーニ
(パンチ)

多少苦戦したがホセがいつもの流れで勝利した。


ビアンカ・ブレア ◯-× ラトーヤ・オルソプ
(アーリウープ)

ビアンカがトップロープから飛びかかった小柄なエンバー・ムーンみたいなラトーヤを辮髪で叩き落とし快勝した。


オーサーズ・オブ・ペイン(エイカム&レーザー) --- ダミアン・スミス&チェイス・ブラウン
(試合不成立)

ペインがゴングを待たずにジョバー組を蹴散らした。


ジョニー・ガルガノ ◯-× ベルベティーン・ドリーム
(ガルガノ・エスケープ)

ベルベティーンは挑発で隙を見せいきなりガルガノ・エスケープで捕らえられかけるが、スリングショットスピアーを察知してネックブリーカーに切り返すとペースを握る。
ガルガノの猛反撃も耐えしのぎ、雪崩式のデスバレーボムを喰らわせるが、ダメージからフォールが遅れて仕留めきれず。最後は完全にガルガノ・エスケープで捕獲され、特番並の激戦をガルガノが制した。

その後アンドラーデ・シエン・アルマスが現れ疲労困憊のガルガノを暴行。
だがベルト攻撃をかわすとエプロンからのDDTを喰らわせ、ガルガノが高々とNXT王座ベルトを掲げて勝ち誇った。
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ミステリ感想-『探偵AIのリアル・ディープラーニング』早坂吝

2018年07月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
人工知能の研究者だった父が、密室で焼死した。
高校生の息子・合尾輔は父の遺した探偵AI相以(あい)とともに事件の謎を追う。
相以と対をなす犯人AI以相(いあ)を使い、世界転覆を企むテロリスト集団「オクタコア」との戦いの行方は?


~感想~
抜群の安定感を誇る新進気鋭の作者が、初のラノベ媒体で描いた本格ミステリ連作短編集。

簡潔な伏線と無駄のない密室トリックが冴える「フレーム問題」を皮切りに、探偵と犯人のAI対決という設定を活かした「シンボルグラウンディング問題」。
本格ミステリという題材を逆手に取り、なおかつ何気ないミスディレクションで読者をうならせる「不気味の谷」。
全てが収まるべきところに収まって行く年間ベスト級の傑作「不気味の谷2」と各短編の質が高く、しかも各編をAI関連用語と巧みに絡め、とどめとばかりに余裕で数巻は書けそうなプロットを惜しげもなく第五話「中国語の部屋」で完結させてしまう贅沢ぶりで、作者の入門編としてもおすすめできる。

一冊内で物語をまとめ上げるために、終盤は尋常ではない駆け足で強引に収束させてバタバタしてしまい、オクタコアとの戦いの結末も非常にあっさりしているのだが、この程度の作品はいくらでも書けるし、無駄に引き延ばす必要はないという作者の自信と余裕が感じられる。
新潮文庫nexという媒体だけが若干不安だが、年末のランキングでもランクインは間違いないのでは?


18.7.18
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『黙過』下村敦史

2018年07月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
肝臓移植しなければ死を待つだけの意識不明の患者に、移植手術の実績を上げたい医師はドナーとして利用するため死を宣告する。
だがそのライバルの医師は、患者の友人に肝臓移植の可能性を最後まで探ると告げる。そのさなかに当の患者が失踪を遂げ…「優先順位」
他4編を収録。


~感想~
冒頭の「優先順位」が長編を短編に圧縮したように、矢継ぎ早に事件が起こる濃厚な一作でその後に期待を抱かせたが、続く3編はそこまでの濃さはなく、またタイトルの「黙過」をなぞるように結末がなんとも煮え切らず、物足りなさを感じた。
しかしラストの「究極の選択」は思いも寄らない展開を見せ、同時に作品全体の評価が一変する。
もっとも、最後の最後に姿を現すとある事実こそ、個人的にはそこまで煩悶するものとも、「究極の選択」と呼べるものとも思えず、ちょっと拍子抜けしてしまった。
だって、それどころじゃないほどもっと大変な病気とか山程ありますやん?
だが、個人的な意見を脇にどければ物語を締める役割は果たしており、社会派と本格の融合の成功例として挙げるには十分な佳作であろう。


18.7.15
評価:★★★ 6
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