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ミステリ感想-『身代わり』西澤保彦

2024年02月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ボアン主催の飲み会の帰り、曾根崎は通り魔的に女を襲い、返り討ちに遭った。
住宅街では女子高生が自宅で殺害され、偶然そこを訪れた警官も殺された。犯人はたまたま立ち寄っただけの警官をまるで待ち伏せしていたようで…。
「依存」から1ヶ月後のタックらを描くシリーズ最新長編。

2009年本ミス2位

~感想~
「依存」の後を描く待望の長編だが、前作から実時間で9年が経過し、その次は短編集の「悪魔を憐れむ」が出るまでに8年という例によっての超スローペース。イラスト担当が逝去した「チョーモンインシリーズ」のように打ち切りの心配はないだろうが、さすがにもうちょっとなんとかして欲しい。
既刊で卒業後のタックらの進路は描かれているが、本作時点ではまだ在学中で大きな変化はない。というかよくよく考えたら1ヶ月しか経ってなくて驚いた。もっと経っててもよくない? だが小さな変化はあり、それがシリーズファンには最も読みどころ。
ミステリとしては事件の構図が明かされるところがピークで、犯人も意外ではあるものの、言ってしまえばいつもの短編でできる内容であり、あえて長編として採用したのは事件やトリックよりも物語の構図と「身代わり」というタイトルの意味を重視したからだろう。
本ミス2位は過大評価ながら、シリーズをここまで追ってきたなら是が非でも読むべき一冊ではある。うるさいジェンダー論も少ないし。


23.2.8
評価:★★★ 6
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