小金沢ライブラリー

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今週のキン肉マン #257 反撃の完全変態!!

2018年08月27日 | 今週のキン肉マン
・真でも倒せないのを想定済みならこりゃ真の上もあるな
・サナギマンだ
・マリキータマンがマリキータマンとして復活??
・絵
・怪我も治ってないし要するにアストロンだこれ
・ぜんぜん完全変態してないぞ
・サナギでクラッチさせて本体でツープラトンを掛けるのはすごいアイデアだ
・その後になんの跡形もなくサナギが消えるのは流石ゆでだ
・さらに後ろ羽根で捕獲する隠し技
・ギミック多すぎるぞマリキータマン
・黒のほうが弱いから黒を呼び出したという斜め上の展開
・白と融合して逆転フラグ立ったな
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SCP-1601~1610

2018年08月26日 | SCP紹介
SCP-1601 - The Records of [REDACTED]
未翻訳

SCP-1602 - A Shower Curtain
未翻訳

SCP-1603 - The Murder of █████ ███████ (█████ ███████殺人事件)
1983年に起こったある殺人事件。この事件を知った人物は犯人が自分だと思い込み、自首しようとする。詳細な犯行の記憶を捏造し、新たに情報を与えられるとそれに応じて記憶も作り変えられる

SCP-1604 - The Ball and Chain (球と鎖)
グリーンランドで発見された鎖。地球の核から月の軌道を越えて伸びており、基本的に張り詰めているが、九十分に一度くらいの頻度で緩む

SCP-1605 - Appeler Une Croix (苦難を呼ぶ声)
「苦難を呼ぶ声」というタイトルの白黒映画。全編を鑑賞した人物は消滅し、映像内に出現し傷付けられる。平均8回目の鑑賞で息絶え、以降は登場しない。吸収されるたび1人あたり約10秒映像が増える

SCP-1606 - Memory Loss (記憶喪失)
ウィスコンシン州の家とそこに住む女性。2階部分に立ち入った人物は短期記憶と意思疎通能力を喪失する。女性を家の外に連れ出すと消失し、1977年6月1日以降の記憶を持たない状態で家の中に再出現する。オリジナルの女性は1977年6月1日に2階に入って記憶を失い、同年9月に死亡しており、また存在は確認出来ないがアルツハイマーを患った彼女の父親が現在も2階に居住していると考えられる

SCP-1607 - Culture Generator (文化発生地点)
アラスカ南西部のある町。毎月初めに社会構造や文化が入れ替わる。常に全く異なる文化が現れる

SCP-1608 - Yu-Kaing (禺彊)
空中を浮遊する透明のシロナガスクジラ。食事の際に1~3秒ほど実体化し、その際に体内に当たる部分にあった物体は取り込まれた後、不定期に排出される ※禺彊は中国神話の風神・海神で人面鳥の姿に描かれる

SCP-1609 - The Remains of a Chair (椅子の残骸)
世界オカルト連合によってバラバラに破壊された椅子。2点間を瞬間移動する能力と意志を持ち、攻撃されると肺に移動し反撃する。現在は財団に収容され落ち着いているが、世界オカルト連合に関する衣装や言葉に怯える

SCP-1610 - Testing May Continue
未翻訳
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ミステリ感想-『くらのかみ』小野不由美

2018年08月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
夏休みに大伯父の家に帰省した小学6年生の耕介は、親戚の子供たち3人とともに、暗い部屋の四隅を回る怪談を試す。
すると子供が1人増え、しかも誰が増えたのかわからず、大人たちも異変に気づかない。
家に代々伝わる座敷童子が紛れ込んだのだと驚いていると、大人たちが食中毒で何人も倒れ……。

2003年本ミス7位、本格ミステリ大賞候補


~感想~
都市伝説を試したら座敷童子が現れいつの間にか子供が1人増えました、というある種ファンシーな導入で児童書だしと油断していると、毒殺未遂事件を追うガチのアリバイ崩しが延々と続く展開に面食らう。
登場人物がむやみに多く、血縁関係は入り乱れ、子供はもちろん大人の読者もついていけないような推理のスクラップ&ビルドが繰り返され、行き詰まったところで座敷童子の怪異が再度クローズアップされ、異世界本格としての姿を表わすとともに、逆転の論理でアリバイ崩しまで解けてしまう。
つまり本作はジュヴナイルの皮を被ったガチ本格ミステリである。

語彙の使い方とか語句の説明とか、子供への配慮は随所に見られるものの、論理展開と異世界本格要素と逆転のアリバイ崩しはおそらく子供には難しすぎるだろう。
どちらかというと大きいお友達、それも本格ミステリファン向けの作品で、児童書ながら本ミス7位と本格ミステリ大賞の候補に上がったのも納得である。
推理展開がガチすぎてややこしく個人的にはさほど楽しめなかったが、それでも逆転の論理は単純明快で驚かされたし、とにかくすごいものを読ませてもらったという読後感を得た。
なんでもかの新本格の父あるいは母として知られる宇山秀雄氏が最後に手掛けた作品だそうで、本格ミステリファンにとっては最高の置き土産と呼べるだろう。

余談だが作者の夫は同レーベルで「びっくり館の殺人」なる「お、おう……」な代物を書いているのだが、妻にこんな児童書の体裁で描かれたガチ本格を出されて、いったいどんな反応をしたのか気にならないでもないw


18.8.21
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『仮面幻双曲』大山誠一郎

2018年08月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昭和22年、私立探偵の川宮兄妹は、琵琶湖畔で製糸会社を営む占部文彦に招かれる。
彼は双子の弟の武彦に命を狙われていると言い、身辺警護を依頼。
武彦は顔を整形したうえで外科医を殺し逃亡中で、すでに周辺に潜伏しているらしく……。

2006年本ミス10位


~感想~
舞台といい時代設定といい横溝風ワールドで描かれる、余計なものを全て削ぎ落とした推理ゲーム。
前半に顕著だが同じ話を何度となく繰り返され、そこに仕掛けがあることを疑いたくなるが、単に当時の筆力の限界なので安心して読み飛ばして欲しい。
背景その他を横溝正史から拝借してきたが、怪奇味などは一切なく淡々と話が進み、淡々と事件が起こり淡々と解決へとなだれ込むため、あっさり読める一方で退屈を感じるのも事実。
だが読者の意表を突くことだけに特化した謎と解決は、とにかく一から十まで粗いものの意外性にはあふれ、ミステリ小説としてはどうかと思うが、たとえば犯人当て朗読会のような推理ゲームとしてならギリギリで成立している。
その粗さについてネタバレにならない範囲で言うと、特に第二の事件の被害者がトリックを成立させるために絶対にありえない行動を山程とっており、捜査する警察もありえない見落としをわんさかしている始末で呆れるばかり。
細かい点は黄金の羊毛亭さんのネタバレ解説で事細かに指摘されているので、ぜひ一読を勧めたいし、ここまで丁寧に拾っていただければ自分の出る幕は無い。
しかしデビュー作の「アルファベット・パズラーズ」や後に刊行された「密室蒐集家」などを読んだところそういった瑕疵はおそらく作者も織り込み済みであり、本作もこまけぇこたぁいいんだよ!!と純粋に推理ゲームとして楽しむのが吉だろう。


18.8.20
評価:★★☆ 5
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今週のキン肉マン #256 黒のゼブラの実力!!

2018年08月20日 | 今週のキン肉マン
・委員長「ゼブラでシマ馬といえば…」ゼブラがシマウマだけどね
・岩に激突するキッドの顔が隠れてるのはコンプライアンスかな?
・縞模様が自在に移動する→縞模様が自発的に相手の深層心理を看破する→縞模様が相手に移る
・もうスタンド能力だろこれ
・縞模様で強制的に黒のゼブラ召喚
・黒くすれば自動的に召喚できるの? ゼブラの意志関係ないの?
・ゆでフルスロットルでツッコミが追いつかない
・別に二重人格設定じゃなかったはずなのに
・もう真マッスル・インフェルノ出ちゃった
・これはロデオスキップでも返せない改良型
・真インフェルノでも倒し切れないとは
・いろいろギミック使うけど真インフェルノ対策は気合で耐えるだけのマリキータ
・旧も真も不発じゃシルバーマン御立腹だろうな
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ミステリ感想-『機龍警察 火宅』月村了衛

2018年08月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
機龍警察シリーズ初の短編集。
由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、特捜部入りする前のライザを描く「済度」、最新作「狼眼殺手」の前日譚「化生」など8編を収録。


~感想~
一部の手掛かりが伏せられているが短編ミステリとしても成立した表題作を皮切りに、これまでに作中でさわりだけ書かれた逸話や、その背景が詳しく語られる作品も多く、機龍警察シリーズの世界観をさらに広げる良短編集。
過去編や外伝はもちろんのこと、特捜部の日常業務というか、長編ほどの規模ではない小事件もいくつか描かれ、そのどれもが面白く、タイトルに仏教用語の二字熟語を配し、各編のテーマに据えているのも秀逸。
特に気に入ったのはどちらかというと憎まれ役だった宮近を主人公に描く「勤行」で、シリアスな本作の中では珍しくコメディタッチの一編で、次から次へと災難に遭いながらも必死に苦闘する姿に好感度はうなぎ登り。

なぜか前2作を差し置いて文庫化され、短編集で手頃だからと最初に読もうと考える人もいるだろうが、これまでのシリーズを読んでいること前提の作品集のため要注意。ファン必読とまでは言わないものの、ファンなら絶対確実に楽しめる一冊である。


18.8.16
評価:★★★☆ 7
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SCP-1591~1600

2018年08月16日 | SCP紹介
SCP-1591 - Fallen Star (堕ちた星)
14枚のステンドグラスに囲まれた、星の形をしたガラス彫刻。宙に浮き、絶えず光を放ち、それを浴び続けた物体は消滅する。生物は意思伝達能力を失った後に消滅する。より強い光を照射することで能力を抑制出来るが、SCP自体の光は徐々に強くなっている

SCP-1592 - Paradise Television (楽園テレビ)
「楽園テレビ」というタイトルのTV番組。ハリス牧師と名乗る人物が聖書を解説する体裁だが、内容は聖書から程遠い。視聴すると興味を惹かれ、やがて夢中になり、20~30回視聴すると身体が異常な変形を遂げる

SCP-1593 - The Dragging Finger (曳き指)
成人女性と思われる指の基節骨。触れるとその部分が腐敗していると感じる。さらにこの骨が死体そのものに見え、触れた部分から徐々に消滅して行き、やがて身体全体が消滅する。被験者はその感覚を、死体の手で死体置き場に引っ張られていると訴える

SCP-1594 - Earth's Corps
未翻訳

SCP-1595 - Out of Time (時過ぎて)
世界各地で発見される有り得ないメッセージ。数百世紀に渡り同一人物の筆跡で書かれており、当時には存在しなかったはずのマーカーペンやレーザーカッターが用いられていることも。内容は他愛のない私信が多い

SCP-1596 - House Fire (住宅火災マッチ)
マッチ。点火すると同時に使用者の自宅で火災が発生し全焼する。研究の結果、使用者が最も「自宅」として思い入れのある部屋が火元になると判明した

SCP-1597 - A Security Blanket
未翻訳

SCP-1598 - Unforeseen Setbacks
未翻訳

SCP-1599 - Broken Spybot (壊れたスパイボット)
超高度な技術で造られたディスク。自律行動し、触れた人物の知識を読み取ったり、精密なホログラムを映し出してスパイ活動を行う。だが故障しておりホログラムは描写がおかしく、脚が欠けて走れず、自分では気付かないまま思考を全て喋ってしまうため、容易に対策が取れる

SCP-1600 - Philosopher's Cheese (賢者のチーズ)
未知の液体。固体に掛けるとチーズにそっくりな物体に作り変える。元の性質に応じて味が変わり、有害な物でも安全に食べられる


1501~1600でお気に入りは、
SCP-1504 - Joe Schmo (うすのろのジョー)
SCP-1508 - Mikey's Chore (マイキーのお仕事)
SCP-1521 - The Most Holy Bank of His Holiness Pope Leo the Tenth, Saint in Waiting (聖人候補たる教皇レオ10世聖下の最上神聖銀行)
SCP-1535 - Purgatory (煉獄)
SCP-1538 - Instructions to a Twin-Screw Extruder (二軸スクリュー押出機の説明書)
SCP-1548 - The Hateful Star (きらいきらい星)
SCP-1552 - The Dog Who Loves Closeups (大写し大好き犬)
SCP-1561 - The Tyrant's Pretext (暴君の託け)
SCP-1570 - The Shocked Woman (衝撃をうける女性)
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SCP-1581~1590

2018年08月14日 | SCP紹介
SCP-1581 - A Balanced Diet
未翻訳

SCP-1582 - Ant Man (蟻男)
身体が約4万匹の蟻で構成された男性。内蔵や手足のパーツを蟻が持ち運んでいる。巣の中に収容された重要なパーツを破壊しても再構成されるが、女王蟻に相当する脳を破壊されると死亡すると思われる

SCP-1583 - It Only Makes Us Stronger
未翻訳

SCP-1584 - www.floatationdevice.net (水難救助サービス)
あるウェブサイト。アクセスすると救命具の画像が映り、同時に端末は質量を失い水に浮かぶようになり、現地の救急サービスに通報される。ただしデスクトップPC相当の大きさでないと効果は現れず、また防水機能は無いため水に浮かんでも端末はすぐに壊れ効果は失われる

SCP-1585 - Red Queen Island (赤き女王の島)
巨大クラゲ。カサの直径544m、触手の長さは2,500mに及び、カサの上で暮らす生物は急速に進化する。クラゲは各地を漂っているため、進化した生物は外来種として付近の地域へ脅威をもたらす

SCP-1586 - Fetal Singularity (胎児様特異点)
子宮内に胎児の形状をした重力特異点を持つ女性。出産や流産により外に出ればその瞬間に重力特異点として機能し世界終焉をもたらすと推測され、可能な限り現状を保つよう監視されている

SCP-1587 - Dreamland (夢の世界)
奇怪な箱の付いたベッドフレーム。上にマットを敷き人間が眠ると、夢の世界へと引きずり込む。夢の中では自由に動け、通信機器も使える。6時間経つか致命傷を負うと元の世界に戻され、身に着けていた物を持ち出せる。起床時の記憶や意志によって夢の内容が変わると思われる

SCP-1588 - The Cliff Face (崖親爺)
イギリスのドーバー海峡の崖の一部。人格を持ち、崖を振動させて声を発し、地面に耳を付けた人物と会話出来る。11世紀から存在が確認されており、艦隊の偵察等に協力した

SCP-1589 - Roman Anthropophagus
未翻訳

SCP-1590 - The Book of Tamlin (タムリンの本)
「The Book of Tamlin (タムリンの本)」と題された1kbのプログラム。起動すると物を探すゲームが遊べる。内容は徐々にプレイヤーの個人的な事柄に移って行き、侮辱されて終わる。72時間以内にプレイヤーの開くドアがゲーム内に通じ、通過すると消失する
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SCP-1571~1580

2018年08月13日 | SCP紹介
SCP-1571 - Keeper of Treasures (宝の護り手)
財布。所有者の思い出の物品を内部に生成する。物品は全てが実在する物品のコピーだが、所有者の記憶に応じて改変されており、またその物品に関わる人物は必ず故人である

SCP-1572 - Root Map (裏未知の地図)
古びた画用紙。視認した人物はそれを幼少期に強く印象付けられた場所へと至る地図だと認識する。地図をもとにその場所へと向かえるが、記憶にまつわる奇妙な実体が現れて使用者を追跡し、到着すると使用者は不意に消失する

SCP-1573 - Kids These Days
未翻訳

SCP-1574 - Searching… (捜索中…)
主にメキシコとキューバの農村地帯か海上国境に現れる球体。認識改竄能力により全く別の物体に擬態し、何かを捜索している奇妙なラジオ放送を発信する

SCP-1575 - Venus Statue (ヴィーナス像)
16世紀に造られたヴィーナス像。噴水として使用されると、その水を飲んだ人間以外の生物は擬人化される。身体の激しい改変によりほとんどが死に至る

SCP-1576 - Edisonian Afterlife Communicator (エジソン式対故人通信機)
トーマス・エジソンが開発に携わった装置。使用者に故人の声を聴かせる。内容は使用者の記憶に基づいた物で、使用者は徐々に頭蓋組織が融解し、鼻汁とともに排出される。それを吸引した者にも感染する

SCP-1577 - A Flare Gun (信号銃)
信号銃。信号弾を発射すると1時間後に輸送機が現れ、役立たない補給物資を投下する

SCP-1578 - Standers (立ち尽くす者たち)
衣服がまるで人間が着用しているような姿で現れる現象。触れると異常性を失ってその場に落ちる。12世紀からこの現象は確認されており、衣類一式は一つの衣装箪笥に収められていたもので、所有者はお気に入りの物だったと語る

SCP-1579 - Different Skin (様々な皮膚)
トーテムポール。人間が触れると皮膚が急速に剥がれ落ち、カナダ太平洋岸に生息する人間以外の生物の皮膚が現れる。触れるたびに皮膚が入れ替わるが、二回目からは出血を伴う

SCP-1580 - Recycling Leaves
未翻訳
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ミステリ感想-『ニッポン硬貨の謎』北村薫

2018年08月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
初来日を果たしたエラリー・クイーンは日本のミステリ関係者に熱烈な歓迎を受けた。
毎週土曜日に五十円玉二十枚を千円に両替する奇妙な客に悩む書店員の小町奈々子は、かねてからの疑問をエラリーにぶつける。
そして二人は幼児連続殺人に巻き込まれ……。

2005年このミス14位、文春9位、本ミス4位、本格ミステリ大賞(評論・研究部門)


~感想~
第一にガイジンから見た奇妙なニッポンを描き、実在人物の実際の来日経験を豊富に取り入れた愉快なパスティーシュ形式で幼児連続殺人事件という題材はどうかと思う。

それはともかくとして本作はエラリー・クイーンの未発表原稿を作者が訳したという設定であり、楽しむためには多くの前提条件が必要となる。
まず作中でヴァン・ダインの「カブト虫殺人事件」、「僧正殺人事件」。クイーンの「シャム双子の謎」、「緋文字」ら4作品のネタバレがあるため要注意。特に、本格ミステリ大賞の評論・研究部門を受賞した「なぜシャム双子の謎には読者への挑戦状が無いのか?」という推論が語られるため、「シャム双子の謎」を読んでいることが望ましい。
この論自体は非常に面白いものだが、ただの推論に過ぎないのに「こんなことを考えつくなんてクイーン最高や!」と褒めそやすのはまだしも、それを受けたエラリー本人が「気付いたお前もすごいんやで(ニッコリ」とマッチポンプで事実認定した挙げ句に自画自賛してしまうのはやりすぎ。

ここが本作最大のネックで、作者への好感度が作品そのものへの評価と密接に絡んでしまい、自分のように「空飛ぶ馬」が全く口に合わず「夜の蝉」以来一冊も北村作品を読んでおらず、アンソロジーで短編を読むたびに相性の悪さを再確認してきた身には、作中で何度となく「実に調子のいい文句ですねえ」とか自画自賛を繰り返し、最後の最後には「このあたりは、後期クイーン流の天空を飛翔する論理であろう。わたしには、それがとても面白い」などと悦に入るのを見せられると凍えるような寒気を感じてしまう。
何かと言えば聞いたこともない文学作品の引用をドヤ顔で連発する美しすぎる書店員もあれ若竹七海だしな。

そして「天空を飛翔する、とても面白い」と絶賛するトリックや動機・手掛かりを、クイーンのパスティーシュという外枠を取っ払い、ただそれだけを取り出して見てみるならば、これはもう疑いようもなくゴ…駄作である。
それこそ法月綸太郎が「ノックス・マシン」でこのミス1位を射止めた際のインタビューで「マニアが内輪で喜ぶような内容だし、胸を張って「さあ皆さん、面白いですよ!」とアピールするのは気が引ける」と言っているのと同様の、ただマニアを喜ばせるだけの代物であり、単なる一ミステリとして評価できるものではない。

つまり本作を楽しむためには
1.ネタバレされる作品を読んでおり
2.エラリー・クイーンと北村薫に好感を持ち
3.パスティーシュ形式を受け入れ
4.自画自賛の嵐も笑って受け流せる
という前提条件が必要であり、ただの一つも該当しない自分は楽しめる素養がそもそも皆無であり「嫌いな作家が知らない作家のパロディを書き、さんざんネタバレされた挙げ句に流石俺やったぜ俺と自画自賛される生き地獄」を味わったのである。

そりゃあクイーンや北村薫すら読んでないくせにマニア面している自分に全面的に非はあるのだが、それにしてもいわゆる本格ミステリの悪い部分ばかりが目につく作品で、かの「ノックス・マシン」がこのミス1位を獲り書店に山積みされ、多くの普段は本格ミステリに接することのない読者があれを読み、そして本格ミステリから興味を失ってしまったのだろうと思うが、本作はまさしくその同類ではなかろうか。


18.8.10
評価:なし 0
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