小金沢ライブラリー

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1995私的このミスベスト20

2013年04月30日 | ミステリ私的ランキング
01.京極夏彦 魍魎の匣  ★★★★★ 10
01.京極夏彦 狂骨の夢  ★★★★★ 10
03.西澤保彦 七回死んだ男  ★★★★★ 10
04.歌野晶午 ROMMY  ★★★★☆ 9
05.倉知淳 過ぎ行く風はみどり色  ★★★★☆ 9
06.竹本健治 ウロボロスの基礎論  ★★★★ 8
07.藤原伊織 テロリストのパラソル  ★★★★ 8
08.原尞 さらば長き眠り  ★★★★ 8
09.有栖川有栖 スウェーデン館の謎  ★★★☆ 7
10.依井貴裕 肖像画(ポートレイト)  ★★★☆ 7
11.加納朋子 掌の中の小鳥  ★★★☆ 7
12.山口雅也 キッド・ピストルズの慢心  ★★★☆ 7
13.綾辻行人 フリークス  ★★★☆ 7
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オールタイム私的ミステリベスト20

2013年04月29日 | ミステリ私的ランキング
01.「凍りのくじら」辻村深月
02.「涙、流れるままに」島田荘司
03.「模倣犯」宮部みゆき
04.「魍魎の匣」京極夏彦
05.「狂骨の夢」京極夏彦
06.「終戦のローレライ」福井晴敏
07.「カラスの親指」道尾秀介
08.「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎
09.「巷説百物語」京極夏彦
10.「続巷説百物語」京極夏彦
11.「猫丸先輩の推測」倉知淳
12.「女王国の城」有栖川有栖
13.「時計館の殺人」綾辻行人
14.「人狼城の恐怖」二階堂黎人
15.「生ける屍の死」山口雅也
16.「七回死んだ男」西澤保彦
17.「双頭の悪魔」有栖川有栖
18.「異邦の騎士」島田荘司
19.「イニシエーション・ラブ」乾くるみ
20.「迷路館の殺人」綾辻行人
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ミステリ感想-『葬式組曲』天袮涼

2013年04月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
国によって事実上、葬式が禁止された中、S県では日常的に葬式が行われていた。
女性若社長がクセのある社員たちと営む北条葬儀社が関わる数々の葬儀。
不仲だった次男を喪主に指名する遺言。奇矯な棺桶。消えた遺体。亡き妻の幻聴。そして――。

~感想~
デビュー作「キョウカンカク」で読者の度肝を抜いたものの、一発屋に落ちるかと危ぶまれた作者が放った逆転の一作。

まずこの作者には短編という形式が合っている。長編では視点人物がコロコロ入れ替わり煩雑だったが、短編ごとに視点を固定したのが正解。
個々の短編の仕掛けはすれっ枯らしのミステリマニアには物足りないだろうが、伏線はトリックよりも視点人物の心の揺れ動きを描くために張られ、物語の結末に後味の良い叙情を残すことに成功している。
というかこんなに心理描写・人情話が得意だったのかと驚かされるほどで、ミステリ云々よりも短編小説としての完成度が高い。
しかしながら「祖母の葬式」の中盤で「焼いていいのは焼かれる覚悟のある奴だけだ!」という黒覆面の叫びが聞こえてくるような強烈な毒を仕込んだりするあたり、やはり「キョウカンカク」や第二作「闇ツキチルドレン」で見せてくれた黒い個性は垣間見られる。

などとのんきに読み進めていたところ、掉尾を飾る「葬儀屋の葬式」で物語は一変。
ここまでの叙情的な空気や、葬式がない日本という世界観その他をまとめて吹き飛ばす爆弾が急に足元で炸裂した。
なんというか、もう全てが台無し。このラストを描きたかったがために、ここまで丹念な筆致を重ねてきたのだと思うと、作者の不敵な哄笑が聞こえてくるようだ。
読者によっては噴飯物かもしれないが、この黒い趣向は個人的には大歓迎。天袮涼、やはりただ者ではなかった。


13.4.28
評価:★★★☆ 7
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遺伝子の驚異

2013年04月27日 | 拾い物
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ネコ好き

2013年04月26日 | 拾い物
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正直

2013年04月25日 | 拾い物
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ちょっと欲しい

2013年04月24日 | 拾い物
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非ミステリ感想-『アラビアの夜の種族 1~3』古川日出男

2013年04月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
エジプトに迫るナポレオン艦隊。迎え撃つアイユーブの秘策は読む者を破滅に導き、歴史を覆す書物『災厄の書』。
その物語は夜、密かにカイロの片隅で譚り綴られる。
妖術師アーダム。魔術師ファラー。剣士サフィアーン。三人の未曾有の物語が幕を開く。

~感想~
石を投げればミステリにぶつかる昨今、例によってなぜか「このミステリーがすごい!」でランクインしたものの、本作は純粋ファンタジーなので取り扱い注意。
内側の物語は3人の主人公を軸に、剣と魔法と怪物の世界をケレンに満ちた、そして翻訳文らしい奇矯な筆致で描き、主人公たちの三者三様の数奇な運命、ゲーマーならば間違いなく風来のシレンやディアブロ、何よりウィザードリィを想起するだろう地下迷宮の冒険、ラスボスとの死闘と白熱し、外側ではナポレオンのエジプト侵攻をめぐる政争が、内側の物語を取り込み現実と幻想の境目が消えていきと、2つの物語は徹頭徹尾盛り上がりを見せる。
しかし外側の、そして作品自体の結末が、おおよそこんな所だろうと見当付けていた所にそのまま着地してしまい、こちらの想像を上回りはしなかったのが惜しい。とはいえミステリではない純粋ファンタジーにとって、最も大事なのはオチの意外さではなく過程の面白さであり、そんなことは言い掛かりにも等しい。
なにぶんファンタジー耐性のない人間なので読み通すのに苦労したが、耐性がなくても読了できるほどなので、ファンタジー好きの方ならば文句なしに楽しめることだろう。

――ところでこの物語自体にある「大仕掛け」が潜んでいるのだが、感想を書く前に検索したところ、なんとそれが他言無用のネタバレだったと知って驚いた。
えええ!? いやいやいやいや。こういうのよくあるって! たとえば「反●●●」とかそもそも「●●●●義」とか!
僕は本作がそういう物だと思って読んでいたので、騙される云々以前に「大仕掛け」であることにすら気づけず、危うく平然とこの感想でネタバレするところであった。
いやはや世の中には純粋な人が多いものである。


12.
評価:★★★ 6
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2013年04月22日 | 拾い物
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ミステリ感想-『眼球堂の殺人』周木律

2013年04月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
天才建築家が山奥に建てた巨大な私邸「眼球堂」。そこに招待された、各界で才能を発揮する著名人たちと、放浪の数学者・十和田只人に彼を追い回すライター陸奥藍子を待っていたのは、奇妙な建物、不穏な夕食会、狂気に取りつかれた建築家……そして奇想天外な状況での変死体。
この世界のすべての定理が描かれた神の書『The Book』を探し求める十和田は、一連の事件の真実を証明できるのか?
第47回メフィスト賞。

~感想~
どうやら出版業界にはジャケ帯でどんな嘘をついてもいいという不文律があるようで「刮目せよ、これがメフィスト賞だ!」という煽りに全くそぐわない少しもメフィスト賞らしくないフツーの作品であった。

メフィスト賞といえば、尖っていなければメフィスト賞ではないと言わんばかりの、作品の質よりも尖り具合を売りにしている賞だと考えていたのは、こちらの思い込みだったのだろうか。
その「尖っていなさ」は間違いなくメフィスト賞史上ナンバーワン。僕が知らないだけで「本格ミステリテンプレ集」みたいなのが売っていて、そこから引き写したのだろうかと思うような「変人探偵」「恋人でも親友でもない女ワトソン」「奇妙な館」「集められる天才たち」「寝ている間に起きる殺人」「4ページにわたる悪夢」と序盤からもはや尖っていなさすぎて球体のような既視感バリバリの展開に次ぐ展開。
というか見取り図が出てきた瞬間に「これ絶対●●るよね?」と看破できる館トリックに、「これ絶対●●ったよね?」とわかる殺人事件からして驚異のノーガード戦法。
そして「動く家の殺人かと思ったら長い家の殺人でしかも安達ケ原の鬼密室でした」な歌野晶午マジリスペクトの結末まで一直線に突き進む様はいっそ清々しい。もしかしてテンプレ集の作者は歌野晶午なのか?
楽屋落ちめいたエピローグでちょっとしたどんでん返しと、ほとんど意味のない叙述トリックが明かされるものの、その手掛かりがやっぱり出ましたなア●●●●だったりするのもどこまでもテンプレ大活用である。

文章こそ昨今の流行に歯向かい至極まっとうで、探偵のキャラは「面白くない御手洗」程度の味付けながら、数学に特化した会話と、読み流しても容易に把握できる(既視感バリバリだからじっくり読む必要がないとも言うが)余計な装飾を省いた素材の味でなかなか達者だが、そのテンプレに始まりテンプレに終わる物語とあいまって、それこそ歌野晶午が島田荘司御大に原稿用紙の使い方を教わっていた80年代の生まれたての本格ミステリさながら。

と、ここまで散々にくさしてきたが、その矛先は作者ではなく出版社に向けているつもりだ。
これのどこが「これがメフィスト賞だ!」なのか。メフィスト賞、いや講談社という本格ミステリと切っても切れない出版社(特に講談社ノベルスというレーベル)そのものをこよなく愛する一人として「俺の知ってるメフィスト賞と違うわ」としか言いようがない。一昔前のメフィスト賞なら二次選考で落としていたのではないか?
売らんかなだけを考えた過大な表現は自分の首を絞めるだけだと、新装版ばかり出している暇があったら考えて欲しいものである。

……まあこれだけ普通に書ける力がある作者なら、次作はどうなるのか、テンプレ集を手放すのか興味深く、ぜひ読んでみたいと思っている僕自身が出版社の罠にはまっているのだが。


13.4.21
評価:★★★ 6
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