小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『男たちは北へ』風間一輝

2022年02月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
自転車で東京から青森を目指す桐沢は、自衛隊の機密文書を偶然拾ってしまい、それを取り戻そうとする自衛官たちに追われる。
同じく青森を目指すヒッチハイカーの少年や、追っ手の自衛官との交流の、そして旅の果てに待ち受けるものとは?

1989年このミス6位

~感想~
前半は機密文書だと知らない桐沢と、天然の自衛官のすれ違いコントが繰り広げられドタバタ風だが、この流れでこんなことが起きるの!? と驚かされる中盤から一気にきな臭くなる。
徐々に明かされていく桐沢と機密文書の正体、それに加えてロードムービーさながらの自転車旅と美味そうな料理、様々な人々との交流が否が応でも話を盛り上げる。
「本書はフィクションである。ただし、作者は本書とまったく同じスケジュール・装備で、東京・青森間の自転車旅行を実施した」という前書きが本作のリアリティをさらに押し上げる。 嘘か真か、読者の何人もが東京・青森自転車旅行に飛び出したという噂にも納得の、冒険小説・ハードボイルドの傑作である。


21.2.20
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『百舌の叫ぶ夜』逢坂剛

2022年02月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
断崖から落ち、記憶を失った男は復讐のため、自分が誰なのかを必死に探る。
銀座の繁華街で起こった爆発事件で、公安刑事の倉木は妻を失う。
テロか、それとも事故か、休暇命令を無視して倉木は独自の捜査を始め、事件の裏には凄腕の殺し屋の影がちらつく。

1986年文春2位、直木賞候補、日本推理作家協会賞候補、本格ベスト33位、東西ベスト(2012)97位

~感想~
復讐のため静かに闘志を燃やす謎の男と倉木のパートが、時系列入り乱れながら描かれる。
当時はかなり斬新な手法だったようで、作者はあとがきで「死んだはずの人間が生き返ったからといって、くれぐれも短気を起こして投げ出さないでほしい」と注意喚起している。
それだけ凝った構成なのはもちろんのこと、1986年刊行のハードボイルドとしては破格の本格ミステリ的トリックがいくつも仕掛けられておりそれにも驚かされる。「十角館の殺人」が1987年だから、新本格派の前年にこれはすごい。
特にある事件の犯人は予想だにしないもので、明かされた時には唖然とした。本格ベスト100で33位は伊達じゃない。
ハードボイルドも読めるミステリ好きにはちょっと試して欲しい傑作である。

余談だがドラマ版の「MOZU」は原作の何がどうなってこうなったんだよというくらい改変されているが、一番不可解なのは倉木の妻の名前が 珠枝→千尋 になっていること。珠枝は昭和の名前っぽいからとかじゃないだろうな。
娘が かほる→雫 になってるのは昭和すぎて仕方ないと思うが。


21.2.11
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『ホワイトラビット』伊坂幸太郎

2022年02月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
誰も「白兎事件」と呼びはしない立てこもり事件。
誘拐を生業とする男、オリオン座を愛するコンサルタント、独自のポリシーを持つ泥棒、息子思いの母親、心を失った刑事、間の抜けた泥棒師弟……。
様々な人々の思惑が複雑に絡み合った「白兎事件」の全貌は、読者にしかわからない。

2017年このミス2位、文春3位、本ミス8位

~感想~
どうせ今回も面白いんでしょ? と思って読んだら、はいはい面白い、面白いくせに…と無意味に冷やかしたくなるいつもながらの伊坂幸太郎の群像劇。
話が進むにつれ要所要所で今まで見えていた光景が一変し、丁寧にまかれた伏線がここぞという場所で回収される、本当にいつもながらのクオリティで、期待に違わない。
作中でたびたび引き合いに出される「レ・ミゼラブル」さながらの、作者による「これが後の伏線である」という注意喚起や「それについては後で説明する」といった注釈がどこかとぼけた味わいにマッチしているのも面白い。

年末ランキングで「ゴールデン・スランバー」に次ぐ評価と聞くと、個人的にはそこまでではなく「マリアビートル」や「死神の精度」のほうがはるかに上とは思うものの、伊坂幸太郎の群像劇への期待値は当然のように超えており、つまりどうせ面白いんだからファンは黙って読めばいいと思う。

全くの余談だが文庫版カバー袖に書いてあるタイトル歴「マリアビートルで大学読書人大賞」「AXで静岡書店大賞」がどうでもよさすぎて笑った。ここに書くべきもっとすごいタイトルいくらでも獲ってるだろ。


21.2.3
評価:★★★☆ 7
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今週のキン肉マン #374 笑顔の代償!!

2022年02月21日 | 今週のキン肉マン
・エンパイヤーエルボースタンプ??
・ストームエルボーじゃなくて?
・ソ連超人がエンパイアステートビルを思い出させる名前を使うややこしさ
・一瞬で外された挙げ句タコ殴りに
・30分で煙を吐くポンコツなのは確か
・自分を計算機と名乗るロボット珍しい
・ウォーズマンって骨あるんだ
・誰もウォーズマンの身体を具体的に知らない
・体内にリングがあるのは知ってる
・まさかオニキスマンもリングがあるとは思わないだろうな
・しかも五重塔リングが
・相手がむちゃくちや長文しゃべってくれてるのにうめくだけのウォーズマン
・そういうとこだぞ
・タイトルはウォーズスマイルではなくスグルの笑顔だった
・シンプルにマンガが上手い
・こんなに上手いゆでが描くのに苦労するウォーズマン
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ミステリ感想-『幻の女』香納諒一

2022年02月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
弁護士の栖本は5年前に突如として姿を消した不倫相手に再会。
彼女は仕事の依頼を栖本の留守番電話へ残し、その夜に命を落とした。
独自に調査を始めた栖本は、彼女の隠された過去に迫っていく。

1998年日本推理作家協会賞、このミス6位


~感想~
まずつかみが抜群。
偶然の再会から電光石火で女は死に、未練を断ち切れないどころか未練たらたらの栖本は、仕事を放り出して独自に彼女の過去を探る。そして早速突き当たる大きな疑問から次第に明らかになっていく、幻の女の過去を探る調査は実に読ませる。
ハードボイルド風味だが栖本は頭脳は優秀なものの腕っぷしは全然のため、たびたび痛い目に遭うが、不屈の闘志で喰らいついていく。そしてある解決にたどり着くが、ここからが日本推理作家協会賞の面目躍如。名探偵さながらの閃きで真相を暴き、残された謎の全てを一掃してみせるのだ。

この世は実質的に裏社会が牛耳っており、裏社会なくては世界は回らない、この世には義理も人情も美談も一つもありはしないのだと語る世界観はあまりに現実味が無さすぎて任侠映画の観すぎだろ、日常生活で義理や人情や美談を見かけることいくらでもあるだろとドン引いてしまうが、実はそれも作者が「九割九分九厘までは、世の中はせちがらいものだというふうに落ち着けていって、最後の二行で、だけども自分には大切にしているものがあるんだと主人公に実感させよう、何かを大事にしている人間であってほしいと願いつづけていようと決め、そこに向かって書いていった」と語る通り、手の内で転がされているだけである。

解説によるとウィリアム・アイリッシュ「幻の女」をもちろん下敷きにしているそうだが、未読でも全く問題なく、分厚いページ数を感じさせない重厚な一作である。
それにしても名のある作家は道中いろいろ不満があってもラストシーンは綺麗に着地させて、すっきり読み終えさせて来るなあと感心する。


21.1.29
評価:★★★☆ 7
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今週のキン肉マン #373 ロボ超神VSロボ超人!!

2022年02月14日 | 今週のキン肉マン
・上位互換はやりづらいとバッファローマンも経験談
・バッファローマンにとってはガンマンやマンモスマンだろうな
・ロボ超神を造った存在がいる?
・それを速攻で否定するオニキスマン
・バッファローマンと同じ力ずくで脱出しちゃまずいだろ
・それはウォーズマンの10倍の超人パワーあっての外し方なのに
・ましてやパロスペシャルより上位技なのに
・これを力ずくで外せないと勝てる道理がなくなってしまうのはわかるが
・いちおう話して気が散ったということにしてくれるオニキスマン
・生まれついてのロボ超神ではなく改造手術を受けていた
・改造と鍛錬は同じことという主張
・ロボキャラでありそうであまり無かった思考では?
・ウォーズスマイルからのストームエルボーで引き
・依然として会話はあまり噛み合ってないぞ大丈夫か
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今週のキン肉マン #372 新たなる超神の正体!!

2022年02月07日 | 今週のキン肉マン
・ギロチンドロップを受け止め立ち上がるよりクロスボディをリフトアップしたほうがすごい気も
・当たる気がしないスクリュードライバーもう出した!
・そしてあっさり曲げられたー!
・早くも劣勢のウォーズマン
・曲げられたばかりのベアークローがもう元に戻ってる
・オニキスマンもロボ超人
・??「超神ではない超人だよ」
・セルフパロディもう来た
・ということはこいつもザ・マンへのクソデカ感情超神か?
・ベアークローだけではなくパロスペシャル的な技も披露
・予想通りのロボ超人対決
・上位互換と戦わされるのはスグル VS ネメシスと同じでやりづらい
・次回ウォーズマンの攻勢は来るのか?
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2月の新刊情報

2022年02月01日 | ミステリ界隈
1日 新潮文庫
恩田陸 歩道橋シネマ

2日 角川書店
市川憂人 断罪のネバーモア

4日 実業之日本社
辻真先 夜明け前の殺人 ※初文庫化

8日 徳間文庫
笹沢左保 突然の明日 ※復刊
都筑道夫 猫の舌に釘をうて ※復刊
山田正紀 囮捜査官 北見志穂3 ※復刊

15日 講談社文庫
笠井潔 転生の魔
西尾維新 人類最強のときめき

15日 光文社文庫
澤村伊智 ひとんち
葉真中顕 Blue
鮎川哲也 風の証言 ※増補版

16日 星海社
佐藤友哉 クリスマス・テロル ※復刊

19日 東京創元社
山沢晴雄 ダミー・プロット

21日 文藝春秋
天祢涼 陽だまりに至る病
宮部みゆき 他 はじめての

22日 角川文庫
下村敦史 コープス・ハント

24日 光文社
近藤史恵 シャルロットのアルバイト
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