ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第26回)

2024-05-11 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

四 汎アフリカ‐南大西洋域圏

汎アフリカ‐南大西洋域圏は、アフリカ大陸全域と南大西洋上の島嶼を包摂する汎域圏である。アフリカ大陸が東側で面するインド洋上のマダガスカル、コモロ、セーシェル、モーリシャスは主権国家時代はアフリカ連合に所属したが、世界共同体の下では、地政学上の変化に伴い、西方アジア‐インド洋域圏の環インド洋合同領域圏に加入することとなる。汎域圏全体の政治代表都市はナミビア領域圏のウィントフックに置かれる。

包摂領域圏:
南部アフリカ、ナミビア、アンゴラ、統一コンゴ内陸南部アフリカ合同、モザンビーク、東アフリカ合同ソマリ合同、エチオピア、エリトリアスーダン、環赤道‐中央アフリカ合同ナイジェリア合同、西岸アフリカ合同サヘル合同マグレブ合同、エジプト

 

(1)南部アフリカ

(ア)成立経緯
南アフリカ共和国と南アフリカの囲繞内陸国レソト、エスワティニの両王国が統合されたうえ、連合領域圏として成立する。「南部アフリカ」(Southern Africa)の新名称はレソト、エスワティニが連合に包摂されることから、旧南アフリカ(South Africa)と区別するため採用される。英領セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャを分立・編入した南大西洋諸島自治域を含む。

(イ)社会経済状況
旧南アフリカ領域の豊富な天然資源は世界共同体の管理下に移行したが、旧南アフリカ共和国時代におけるアフリカ随一の工業生産力は維持される。特に自動車生産では、汎アフリカ‐南大西洋圏の中核を担う。農業生産でも、アフリカ随一のトーモロコシを中心に多角的な生産が行なわれる。白人支配人種隔離体制アパルトヘイトの廃止後、長く懸案となっていた白人による農地専有問題は、一元的な農業生産機構農場への転換により解決する。貨幣経済の廃止により、構造的な貧困問題は解消する。また、南ア経済に依存していたレソトとエスワティニは、南部アフリカへの完全な統合により、貧困な小国経済を脱する。

(ウ)政治制度
連合民衆会議は、旧南アフリカ共和国の各州を継承する準領域圏に包摂準領域圏となるレソト、エスワティニ、さらに準領域圏と同等の地域を持つ南大西洋諸島自治域を加えた準領域圏から同数選出された代議員から成る。アパルトヘイト廃止後の南アフリカで圧倒的な与党の座にあったアフリカ民族会議は政党をベースとしない民衆会議制下では支配権を持たないが、会議外での影響力は残る。レソトとエスワティニの王制は廃止されるが、各準領域圏の文化的象徴としての王室は存続する。多言語のため、連合公用語はエスペラント語。

(エ)特記
南部アフリカ最大都市のヨハネスブルグには世界共同体本部が置かれ、南部アフリカは世界共同体の中核的存在となる。

☆別の可能性
小国ながら独自色の強いレソトとエスワティニが南部アフリカに包摂されず、それぞれ単立領域圏として合同を形成する可能性もなくはない。

(2)ナミビア

(ア)成立経緯
主権国家ナミビアを継承する統合領域圏。

(イ)社会経済状況
主軸産業であった鉱業は世界共同体の管轄したに移行するため、牧畜が主産業となる。南部アフリカ経済への依存度が高く、南部アフリカとは経済協力協定を締結する。貨幣経済の廃止に伴い、人種間経済格差は解消される。

(ウ)政治制度
統合領域圏のため、一元的な民衆会議制による統治となる。独立闘争の中心組織で、独立後も優位政党であった南西アフリカ人民機構は政党をベースとしない民衆会議制下では支配権を持たないが、会議外での影響力は残る。なお、ナミビア準領域圏の代表都市ウィントフックにも世界共同体の内部機関である世界天然資源計画と専門機関である世界野生生物保護機関の本部が置かれる。

(エ)特記
旧版では南部アフリカに包摂していたが、白人支配時代の南アフリカによる不法占領状態から闘争により独立した歴史に鑑み、単立の領域圏とした。

☆別の可能性
ナミビアが南部アフリカに包摂される可能性、または政治的な結びつきが強い隣接のアンゴラと合同を形成する可能性もなくはない。


コメント    この記事についてブログを書く
« 弁証法の再生(連載第11回) | トップ | 世界共同体通覧―未来世界地図... »

コメントを投稿