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年頭雑感2001

2001-01-01 | 年頭雑感

昨年の漢字は、「金」。これはどうやらシドニー五輪での金メダルにちなむ選字らしいが、日本の金メダル獲得はお家芸の柔道と女子マラソンでの計5個止まりで、昨年を象徴する漢字としては、いささか物足りなく思える。

昨年は1901年に始まった20世紀の末年であったから、「末」がふさわしかったようにも思うが、「末」は一昨年1999年の漢字であった。これは、1999年が90年代末年度であるのに対して、2000年という年度は、千年紀で見れば、新千年紀の初年度でもあるということから、なかなか「末」と認識しにくいことにもよるのかもしれない。

いずれにせよ、歴史的な長期単位として最も人口にも膾炙している世紀で見る限り、昨年はその最終の年度であったから、20世紀全体を振り返るに最適の年度であった。20世紀とは何であったか━。その答えは千差万別で、まともに論ずれば、とても「雑感」では済まない大論議となるが、最大公約数的には「戦争と革命の世紀」でよいのではないか。

20世紀は、二つの世界大戦に加え、大小様々な革命が集中した異例の世紀であった。ことに戦争に関しては、二つの大戦やその攻守所を変えての冷戦も続き、その過程で多くの血が流された。おそらく、それまでのどの世紀よりも、戦争や革命、さらにはホロコーストに代表されるような反人道犯罪によっても多くの犠牲者を出したであろう、異常の世紀でもあった。

革命ということに関しては、経済社会的な面でも、20世紀には科学技術がまさに革命的に進歩し、生活様式という面も含め、19世紀までの世界を激変させたことは間違いない。20世紀は、そうした全般的な社会革命の世紀でもあった。

そうした大変動の20世紀が終幕し、本年からはいよいよ21世紀である。今世紀がどんな世紀となるのかは、まだわからない。しかし、ソ連邦解体以降、20世紀最後の10年を通じて、資本主義のグローバル化が急激に進んだ。資本主義以外に道なしと言わんばかりである。

そのグローバル資本主義の総本山であるアメリカで、一昨年のシアトルに続き、昨年4月、首都ワシントンD.Cでも反グローバル化の大規模デモが発生したことは、印象的であった。これは、資本主義総本山での市民の反乱である。アメリカ支配層もさぞ驚愕しただろう。

しかし、11月のアメリカ大統領選挙は、訴訟沙汰になるほどの大接戦の末、共和党のジョージ・W・ブッシュが当選した。彼は、90年代を率いたクリントン民主党政権が推進してきたグローバル資本主義の道を一層強力に推進する陣営の代表者である。

「反乱」は革命に転化せず、アメリカ支配層をかえって結束させたようである。結果、21世紀初頭の少なくとも2004年まではグローバル資本主義が続くだろう。衛星国・日本でも早速それ即応した動きが出るかもしれない。

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