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年頭雑感2000

2000-01-01 | 年頭雑感

昨年は90年代最終年であるとともに、西暦1001年に始まる紀元後の第2千年紀の最終年でもあった。その意味では、過去千年間を振り返るべき年だったが、雑感でのそのような遠大な回顧は本来、不可能である。

とはいえ、あえて遠大に過去千年間を回顧してみると、第2千年紀の始まりである西暦1001年は、日本では平安時代、アメリカの建国はなお遠い未来で、アメリカ大陸はアジア系先住民の割拠する地、欧州はまだ分裂状態で、南欧はイスラーム勢力に支配されている状態であった。

そこから見れば、第2千年紀最後の昨年の時点での世界地図は、激変している。その激変は良いこと尽くめではなかったかもしれない。例えば、アメリカでは先住民が片隅に追いやられ、最貧困層を成している現状は、悲しむべき激変である。

しかし、新たなる第3千年紀の初年に当たって、西暦1001年の世界に再び戻りたいとは思わない。全体として、第2千年紀は、その前の第1千年紀よりも良い方向に進歩したとみなしたいところである。

雑感にしては遠大になりすぎたが、もう少し視野を狭めて90年代末という視座で見ると、1999年は20世紀もあと残すところ今年一年足らずという世紀末に当たった。日本にとっての90年代はバブル崩壊以後、失われた年月、第二の敗戦など悲観的にとらえられることが多く、それはまだ続いている。

このまま沈みゆく国となるのか、それとも再生の道はあるのか、新千年紀の初年となる今年はそうした見極めの年となるだろう。その点、支配層にとっては、昨年成立した自民党‐公明党連立という新たなレジームが再生の切り札であるようだ。

55年体制が崩壊した90年代の総決算として現れた政治現象と言えるが、94年の自民党‐社会党連立に続き、自民党は長年の旧野党を次々と取り込み、言わばその生き血を吸うことで、弱化した権力を再生しようとの戦略と見える。

経済的には、この枠組みでいわゆる新自由主義の方向へ舵を切ろうとしているように見えるが、これはソ連邦解体以来の資本主義市場絶対のグローバル化路線に呼応することで、従来の三分の一だけ社会主義のような体制を変えようというのだろう。

私見では、その路線である程度の経済再生に成功したと見えても、いずれはどこかの時点で、どのような形でか破綻すると思うが、それは、これから始まる2000年代の見ものである。

ちなみに、資本主義市場のグローバル化に対しては、昨年、資本主義総本山アメリカのシアトルで発生したWTO抗議デモのような反作用が2000年代初頭にどう展開するのかにも、注目していきたい。

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