the Blue Period ~out of the aEther

蒼き時代はエーテルの彼方へ。このブログ、閲覧・御意見無用也。

M797

2019-07-26 17:10:38 | motorcycle
最近、ドカティモンスター797を買った方と
ちょっとツーリングに出掛けて、
僕はM797に乗る機会があった。
向こうも796に興味深々だったよ。

そりゃ796に乗っていれば、
どんなものか、興味はあるよね。

同じエンジンながらユーロ4をクリアさせるため、796から15馬力ほども落とされている、と。
でも記事を読む限り当たり前だけど、それに対するネガティブな意見はない。

ハイブリッドフレームを止め
昔ながらのワンピースフレームに戻った797は
やっぱりスッキリとしてシンプルに見える。
796よりお尻が上がったデザインも軽快なイメージ。

跨ってみよう。

ステップがかなり前進していて、
ハンドルバーはかなり高くて思ったより
遠い位置にある。

シートはかなり硬くて前側は足付きに考慮したのか、かなり絞り込まれたデザイン。
前側ではなく後ろ側に明確なシットポイントがあって、そこにどっしり座る感じ。
むしろそこにしか座れません、的な。
でもシート自体は適度なクッション性で、
硬さと共にとても良い。

僕は足の位置はステップバーに載せた状態で、
シフトとリアブレーキが操作出来る事を条件にしている。

で、そのポジションだと足がかなりフォワードステップで、ハンドルバーを掴む為に上体は前傾する。そして腕はかなり伸びる感じ。
ん?スポーツバイクだよね?
身構えるような感じはなくて、
ゆったりとした感じ。
僕にとっては、かなりおかしな落ち着かない
ポジションだ。

ガソリンタンクの抉れた部分には膝の先が少し当てられる程度で、タンクを腿で挟んで・・・ではなくホールド性の高いシートにしっかり座るオートバイなのかな?

それって僕の感覚だとアメリカンじゃあ・・・

意外にもクラッチレバーはワイヤー式で、
しかもカタナほどじゃないけど結構重い。

走ってみよう。

「なんだこれ?」が第一印象。

1速で繋いでアクセルを開けてゆく。
もちろんスタートの時のクラッチのミートポイントとアクセルの開度は個々の任意だけど、

「あれっ?思ったよか前に出ないぞう」

スタートの、開け始めのトルクの薄いこと!
少し引っ張って、というかアクセルを大きめに開けざるを得ない。2速にチェンジ。

「およよ?やっぱり加速がもたつくなあ」

やっぱりトルクが薄い。
803ccもあるのに?
加速らしい加速感が得られない!
これは僕にはストレスだ。

いや、796だってもの凄い加速をする訳じゃないけどさ。

これはスタートでドンと前に出る、
そうゆう乗り物ではない。
1速で5千以上に充分引っ張ってから2速に変速しないと。
ゼロスタートのかったるさは排気量を疑いたくなる。

これは回さないと楽しくない(んじゃないか)。
低回転でもドコドコ感・・・と書いていたけど
それは感じないし、回転を上げると穏やかにパワーが上乗せされてゆく感覚。
中低速域のパワーフィーリングは400SSに近い。
回転の方が速度を上回る、的な意味で。

スラロームさせると
切り返しは796より断然軽い。
車重ではなく重心とホイールベースだろうね。
実に軽快。正にLツイン。この軽さは良い。
しかもdb4のように鋭過ぎず、
扱い易さという大前提があって、軽さを感じつつ、穏やかで疲れさせない、素晴らしい味付けだと思う。

この797はオプションのテルミニョーニのサイレンサーが着いてるけど、音量は車検OKレベル。
もっと弾けるようなLツインの音が欲しい。
ダウンマフラーのおかげもあって、
ライダーからは走行中、ほとんど残念な音しか聞こえない。消音され過ぎ。
オリジナルマフラーだとどうなんだ、って考えてしまう。
ドカティに於いて、音は重要な要素だもの。
僕の796はオリジナルマフラーだけど、
こっちの方が勇ましい音がする。

で、カーブが迫ってきた。

何しろアメリカンポジションなのでスピードを出すのがちょっと怖い。
でもドカティなのでブレーキを離してリーンさせる。シットポイントが高いアメリカンだけど
ホイールベースは796より5センチも詰められている。ので、思ったよりクルリと、明確にしかも安心感と安定感を持って曲がる。

あっ、ドカティだ。

これは刺激に欠けるけど、大したものだ。
796より重くてダウンマフラーっこともあって
低速域でも安定感は強い。
なのにリーンの軽さは796を凌ぐ。
理屈で考えると当然かも知れないが、
ライディングポジションからすると、
すごく不思議な感覚。

このオートバイは何と言おうか、
ヌルさ、ダルさの中に安定感と軽快感が絶妙に
同居している。
だからほとんどのシチュエーションで安心して、
気負う事なくリラックスして走れる。

それをオートバイ、ドカティに於いての美点と思えるライダーならば。
生憎僕はまだそれを是とすることが出来ないでいる。
スポーツバイクとしての、ライダーの介在度を問題にするのなら797という選択肢はあり得ない。

・・・少々乱暴な言い方をするならば。

ドカティの持つ多少攻撃的な感じは796も持っている。797にそれは感じない。797は恐ろしくフレンドリーなドカティだ。
僕は20キロ程の試乗で797は長距離に向いている、と思った。
田舎道をゆっくりツーリングするのも良いし、
タンデムツーリングも良いね。
そんな使い方をするのならエンジン特性を含めて快適性は796の遥か上を行く。

ドカティに何を求めるのか、は個々の任意だが、僕は797にドカティらしさというものを感じる事が出来なかった。

エントリーユーザー向けとは聞いていたけど、
確かになあ、と納得する事しきり。
取っ付き易く、乗り易い。
初めてのオートバイ、にも良いかも。

裏を返せば、それは刺激に欠けると言う事にならないか?
そしてそれはすぐ飽きてしまう、に繋がらないか?

僕の思い過ごしなら、それはそれで良いけど。

ただ今回は高速とドライのワインディングは走ってないのでアレだけども、僕が思ったのは
796と797はまったく違うベクトルの、
似てる所が一つも無い、
そんな存在同士のオートバイです。

797に乗ることで僕自身がドカティ、Lツインに求めるものが何なのかが浮き彫りになってゆく。


おわり。







コメント
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