対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

2つの線分が消えた理由6

2021-12-17 | 楕円幻想
2つの線分が消えた理由について、数年前は視覚的均差の誤解ではないかと思っていた。今度は、切り取るべき三日月の幅を0.00429に固定してしまったことではないかと思った。そして次に、面積法則との関連が曖昧なことにあるのではないかという視点が加わった。それで、14「楕円軌道への道」との関連を想定しながら、13「等速円運動の放棄と面積法則」を注意深く読み直してみた。

面積法則との関連は曖昧でははなかった。面積法則の理解そのものが曖昧であることに気づいたのである。こんなことになっていたのか、信じられない気分だった。曖昧な面積法則があり、曖昧な楕円軌道発見がある。この2つは対応しているのではないか。
山本義隆の理解は次のところで止まっている。
(引用はじめ)

中心Bからその弧までの距離の和と、離心点つまり太陽Aからの距離の和をくらべると明らかに太陽からの距離の和の方が大きい。しかしいずれの場合も円の面積は同一であるから、面積は距離の和に正確に対応していない。
(引用おわり)
山本義隆は「正解を知っている現在から見ると、「面積法則」が正しく「距離法則」は近似的にしか成り立たない」というのだが、ケプラーはもう少し先まで進んでいた。1605年においても「円周距離法則」を「直径距離法則」に置き換えれば、正しい「面積法則」になっているのである。

面積法則では「円周距離の代わりに直径距離をとる」、楕円軌道発見では「正割の代わりに半径をとる」という同じ構造が欠けているように思えるのだった。

つづく

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