対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

出理・入理・作理2

2014-11-18 | アブダクション
 特殊なギリシャ文字をこのブログで表記するのはとても難しい。いくつかの方法を試みたが、すべて文字化けしてしまった。それで文字化けしない文字に注釈をすることによって、特殊なギリシャ文字を感じてもらうことにした。

 例えば、
  「συναγωγη  ηには鋭アクセント記号(')が文字の上についている」
と書いた場合、
  συναγωγはこのままだが、最後のηはこのままではなく、鋭アクセント記号(')がηに上についている文字であることを表示する。
 上の文字は、「演繹」を表すギリシャ語「シナゴーゲー」である。

  「επαγωγη  εには無気記号(,)が文字の上につき、ηには鋭アクセント記号(')が文字の上についている」
 これは、「帰納」にあたるギリシャ語「エパゴーゲー」である。

  「απαγωγη   最初のαには無気記号(,)が文字の上につき、ηには鋭アクセント記号(')が文字の上についている」
 これが、「還元」を表すギリシャ語「アパゴーゲー」である。

 これからは注釈をつけず、本体だけを表示しますが、特殊な文字が含まれていると考えてください。ここからが、本題です。

 アリストテレスの

 
     συναγωγη  
     επαγωγη
     απαγωγη  
は、
     συν-  αγωγη  
     επ-  αγωγη
     απ-  αγωγη

と分節することができ、運ぶや導くを意味するαγωγη本体と接頭語(συν- 、επ- 、απ- )の結びつきから作られていることがわかり、「論理的推論の型」が用語にも表れていて、内容が統一的に把握できるようになっている。

 それは英語でも同じである。パースはアリストテレスのαπαγωγηをabductionと翻訳した。上の三つは英語では次のようになっている。

     deduction
     induction
     abduction
これは、
     de- duction
     in-  duction
     ab- duction

のように分節化でき、「論理的推論の型」をやはり統一的に把握できるのである。

 私の提起する(といっても3分の2は呉智英氏の提起)

     出理
     入理
     作理
も、
     出- 理
     入- 理
     作- 理

であって、本体の「理」と方向や動作を示す漢字( 出- 入-  作- )の結びつきを見ることによって、「論理的推論の型」を統一的にみることができる。

 しかし、これまでの

     演繹
     帰納
     仮説形成(仮説提起・発想・アブダクション)

では、西欧の文字が簡潔に示す関係性を見ることができず、「論理的推論の型」の系統的な理解を難しくする結果が生じているのである。

 西周がみちびいたガラパゴスである。


    出理・入理・作理
    出理・入理・作理3