ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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「慰安婦=性奴隷」に対する政府の反論文書

2014-04-23 08:48:46 | 慰安婦
 4月1日産経新聞は、1996年2月河野談話を引用し、慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した「クマラスワミ報告書」に対して日本政府が旧国連人権委員会に提出した「幻の反論文書」を入手したと伝えた。
 今日、国連の人権委員会やアメリカのマスメディア等の認識の核心にあるのは、慰安婦は「性奴隷」だったという誤解である。
 「性奴隷(sex slave)」という言葉は、多くの偏見を生んでいる。かつて日本において「強制連行」という言葉が果たしたのと似た役割を、「性奴隷」という言葉が現在、国際社会で果たしている。この言葉を流行らせる上で決定的な役割をしたのが、「クマラスワミ報告」である。
 国連人権委員会で慰安婦問題の特別報告者に指名されたのが、スリランカの女性活動家、ラディカ・クマラスワミ女史だった。彼女は、平成7年(1995)、ソウルに5日間、東京に6日間滞在して、英文37ページの報告を書いた。その内容は、わずか2冊の本をもとにまとめたものだった。
 その2冊とは、オーストラリアのジャーナリスト、ジョージ・ヒックスの『The Comfort Women(慰安婦)』と、吉田清治の『私の戦争犯罪ーー朝鮮人強制連行』である。
 クマラスワミが事実関係の部分をほとんどすべてを依存しているのが、ヒックスの著書であるという。ヒックスは、日本語ができない。そのため、在日3世の女性が集めた材料に8割方依存した。ヒックスが最も頻繁に引用しているのが、金一勉著『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』であるという。
 本書は、日本が「朝鮮民族抹殺政策」を取り、「朝鮮民族の早期滅亡を企図」して、「梅毒政策・阿片吸引助長政策・遊郭発展政策」を取ったという主張をしている本で、あやしげな雑誌や週刊誌に材料を求めたものである。そのような本から頻繁に引用して書いたヒックスの本に、クマラスワミは、依拠しているわけである。
 もう1冊の吉田氏の著書については、済州島における現地調査によって、虚説であることが、平成4年までに明らかになっている。それにもかかわらず、クマラスワミは、吉田氏の虚偽の証言を無批判に資料としているわけである。
 クマラスワミ報告は、強制はあったとする立場の吉見義明中央大学教授すら、クマラスワミに書簡を送って、ヒックスの本は「誤りの大変多い著書」で、引用部分を削除したほうがいい、吉田に関連する部分も削除するように勧めたほどだった。だが、吉見氏の忠告に従うと、クマラスワミ報告はほとんど内容がなくなってしまう。そのような低レベルの報告書が、国連人権委員会の判断に強い影響を与えたのである。国連人権委員会の委員は、よほど調査能力がない者が多いのか、左翼人権思想に凝り固まった活動家が集合しているのかもしれない。
 クマラスワミ報告への影響関係を、時系列的に並べると、次のようになる。

 金一勉著『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(昭和51年、1976) → 吉田清治著『私の戦争犯罪――朝鮮人強制連行』(昭和58年、1983) → ヒックス著『The Comfort Women』(平成7年、1995)

 これらがクマラスワミ報告(平成8年、1996)に流れ込んでいるわけである。これらの虚説の流れの出発点には、朴慶植著『朝鮮人強制連行』(昭和40年、1965)がある。在日朝鮮人の強制連行はなく、慰安婦の強制連行もなく、朝鮮民族抹殺政策も存在しない。それにもかかわらず、うそにうそを重ねたデマが、国連の人権委員会で、あたかも真実であるかのように化けてしまった。
 わが国において「強制連行」という言葉が強烈なイメージを喚起したのと同じような効果を、海外では「性奴隷(sex slave)」という言葉が生み出している。「性奴隷制(sexual slavery)」ともいう。「性奴隷」という言葉は、「広義の強制性」が漠然と「本人の意思に反して」させられた強制的な状況を意味するのに対し、はるかに強烈な、女性の人権無視や猟奇的な性犯罪を連想させる。それだけに、イメージの払拭は容易ではない。
 日本人には、「広義の強制性」は気の毒だという情緒的な反応を呼び、その感情を否定しがたいのに対し、欧米には「性奴隷」は奴隷制度があっただけに、欧米人の倫理的な反感を招き、その反感は取り除きにくいだろう。このイメージを払拭するためには、慰安婦は「性奴隷」ではなく、高給取りの売春婦だったことを強調すべきである。
 以下は、「幻の反論文書」に関する記事のクリップ。

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●産経新聞 平成26年4月1日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140401/plc14040108110019-n1.htm
【歴史戦】
「慰安婦=性奴隷」に対する日本の反論文書を入手 国連報告は「不当」「歪曲」と批判も撤回
2014.4.1 08:08

 慰安婦募集の強制性を認めた平成5(1993)年の河野洋平官房長官談話を引用し、慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した96年2月の「クマラスワミ報告書」について産経新聞は31日、日本政府がいったん国連人権委員会(現人権理事会)に提出しながらすぐに撤回した反論文書を入手した。文書は報告書を「極めて不当」「無責任で予断に満ち」「歴史の歪(わい)曲(きょく)に等しい」と厳しく批判したが、非公開のため「幻の反論文書」となっている。
 文書はクマラスワミ報告書が国連人権委に提出された直後の96年3月にまとめられたもので全42ページ。撤回した理由について、複数の外交筋は「反論することで、かえって慰安婦問題の議論を起こしかねないと懸念したためだ」と述べる。
 報告書は、強制連行の証拠はみつかっておらず「もっぱら被害者自身の口頭証言に基づく」と指摘しながらも、河野談話を根拠として、強制連行を認定した。
 これに対し反論文書は、クマラスワミ報告書を「偏見に基づく」「随所に主観的な誇張」などと強調。報告書が明確な誤りの多いオーストラリア人ジャーナリストのジョージ・ヒックス氏や、戦時中に下関で労務調達に従事し「奴隷狩り」で慰安婦を集めたと虚偽証言した吉田清治氏らの著作を引用していることから、「本来依拠すべきでない資料を無批判に採用」と批判した。
 法的議論についても、報告書が日本の法的責任を求めたことを「誤った国際法の解釈」とし、「およそ法的には成り立たない恣意(しい)的な解釈に基づく政治主張」と突っぱねていた。
 日本政府は反論文書を撤回後、元慰安婦への支援を行うアジア女性基金の取り組みなどを説明し、報告書の否定を求める記述を削除した「日本の施策」とする文書に差し替えた。
 報告書の慰安婦問題に関する部分への国連人権委の評価は「留意(テークノート)」にとどまった。当時の日本政府関係者は事実上、不採択の扱いになったとの見解を示し「国際的にはぎりぎり話を収めた」と語るが、報告書の事実誤認は正されなかった。

◇クマラスワミ報告書
 国連人権委員会の「女性に対する暴力」特別報告官に任命されたスリランカ出身の女性法律家、ラディカ・クマラスワミ氏が日本や韓国を訪問し、戦争被害者らから聞き取りし、まとめた報告書。北朝鮮には代理人が訪れ調査した。慰安婦に関する記述は「付属文書1」として添付された。日本政府に対し法的責任の受け入れと被害者への補償など6項目を勧告している。
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1 コメント

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Unknown (日本人)
2014-11-06 13:17:22

嘘が嘘を呼び寄せ

やがて真実であるかのように世間に流れ渡る

クマラスワミ女史よ、地獄に落ちろ!




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