ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

皇位継承2~皇位の男系継承の伝統

2021-10-10 08:53:08 | 皇室
2.皇位の男系継承の伝統

●万世一系は男系継承による

 私の生涯の師であり、神とも仰ぐ大塚寛一先生は、日本精神復興促進運動を提唱された。大塚先生は、日本の国柄は皇室を中心とした一大家族制度のようにおり、これは、人為的でなく自然につくられてきた実に優れた合理的な組織であると説いている。
 こうしたわが国に伝わる精神が、日本精神である。日本精神は、人と人、人と自然が調和して生きる人間の生き方である。家庭にあっては親子や夫婦が調和して生きる。また、祖先を敬い、子孫の繁栄を願って生きる。そうした家族が多数集まって、一つの国を形成している。その国の中心には、皇室があり、国民が皇室を中心とした一大家族のような社会を築いている。これが日本の伝統的な国柄である。
 日本の社会は、世代の連続性と同族意識による縦と横の関係がしっかりした家族制度を持つ。皇室は古来、男系による皇位継承によって、この優れた家族制度の中心となって来た。これは人為的に作ったものとは違う。自然に作られてきたものであり、自然の法則にかなっている。
 わが国の皇室は、「万世一系」といわれる。「万世一系」とは、歴代天皇が一つの家系で一貫していることを意味する。これは、単に血筋がつながっているのでなく、男系のつながりによってのみ可能なことである。男系とは皇位継承者が父方を通じて皇室とつながっていることである。天皇の御位を皇位と言う。初代神武天皇から今日の第126代今上天皇まで、皇位が一度も途切れることなく男系で継承されてきたから、「皇統連綿」と言いうる。
 大塚寛一先生は、人々の生命力を旺盛にして難病・業病をも救う力を持つ方で、生命の本質、生命の原理を把握されている。そうしたお立場から、大塚先生は、皇位の男系継承は「ものの道理」にかない「生命が永遠に続いて行く原則」にのっとっている、と説いている。
 私は、日本人が皇位を男系で継承することに多大な努力をしてきたのは、生命の本筋は男系によって継承されるという本能的な直観があったからだと思う。皇統は何度か断絶の危機に直面したが、我々の先祖はその度に様々な知恵を発揮して、男系による継承を堅持してきた。今日、人類の人口は80億人を超えるに至っているが、そのうち男系継承を2千年以上、126代にわたって続けてきた人類唯一の家系が、日本の皇室である。このような王朝は、世界のどこにもない。 これこそ日本国の誇りである。

●皇位の安定的な継承が困難になった理由

 わが国において、皇室は国家の中心であり、民族の中心である。ところが、大東亜戦争の敗戦後、わが国では、皇室の存在が段々影を潜めている。これは本来のわが国の姿を見失っているものである。
 GHQは、占領政策の目的を、日本が再び米国及び世界の脅威とならないようにすることとした。一言で言えば、日本の弱体化である。そのための政策が計画・実行された。
 最大のポイントとされたのが、天皇のご存在である。わが国の歴史・道徳は、天皇と国民の結びつきなくして考えられない。だが、GHQは国史・修身を廃止し、わが国独自の歴史観や道徳観を否定しようとした。神道指令は国家と神道の結びつきを断つものであり、いわゆる人間宣言は、天皇の神聖性を否定するものだった。極めつけは、日本国憲法である。占領期間中にGHQから押し付けられた現行憲法には、日本の国柄・文化・伝統がしっかり盛り込まれていない。また、GHQは天皇の権威を引き下げ、天皇と国民の紐帯を弱め、日本を弱体化しようとした。皇室の財産を縮小し、皇室の経済的基盤を弱めた。また、皇族のうち、大正天皇の直宮(じきみや)、すなわちその男子方による宮家である直系の3家を除く、傍系の11宮家を臣籍降下せざるを得なくした。大東亜戦争の敗戦直後、皇族は14宮家67方がいらした。そこから11宮家51方が臣籍降下し、存続したのは、直宮3家16方となった。
 男系継承は皇室の一貫した伝統であり、直系かつ嫡系(註 嫡出子すなわち正妻の子)の男子の継承が理想である。だが、直系かつ嫡系だけで確実に皇位を継承していくことは極めて難しい。そこで傍系による継承も出来るように、兄弟・近親の子を養子に取る猶子制度が活用されたり、世襲の宮家を創建するなどの方法によって、男系男子による皇位継承が保たれてきた。敗戦後、その傍系の皇族がなくなったことで、皇位継承の有資格者がごく少数になった。その結果、今日では、皇位の男系による安定的な継承が困難になってきている。

 次回に続く。

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