ある人とある人との関係は二人の呼び方でわかる。
初めて名前を聞いたとき「えっ、小泉?」。面識ができると「小泉さん」。それから親密になり「じゅんちゃん」。さらに親しみをこめて「あいつ」。
そしていつしか「ジュンイチロ~!」…
ある日、熊野川を下った時の事、その日は前日からの雨で増水して流れが速かった。大きな瀬にさしかかた。その瀬は流れが強く、左岸にはテトラもあり、瀬の手前で一度エディーに入る段取りだった。
ここに入り損ねるとそのまま瀬に突入し下手すればテトラに激突も…。しかも反転流が強く、漕でも漕いでも流される。
しかし、その手前のポイントでスタッフがいて指示を出してくれる。
「Aさーん、もっとひだり~ィ!」「Bさ~ん、もっと漕いでェー!」と
そしてX花子さんが下って来た。花子さんは一生懸命漕いではいるが、どんどん流されている!このままでは瀬に入ってしまう。!
あぁー危ない、漕げ!漕げ!と思っていると、ポイントにいたある人(Yとしよう)が叫んだ。
「ハナコォー!漕げ!漕げ! ハナコ―オ!!」
おいおい、そうかい、そうかい。そうだったのかい、二人の関係は。
まぁ、いいけどさ。
そして私は思った。
願わくば、私も、こう言ってくれたなら、もっとしっかり漕げるだろに…
ムリか
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その日の熊野川
こんなに雨が降って増水し それなのに浅瀬で降りて引っ張って
山の神様、川の神様、その節はどうもありがとうございました…