カヤックと過ごす非日常

大人は水辺で子供に返ります。男は無邪気に、女はおバカに。水辺での出来事を通してそんな非日常を綴っていきます

944.びわ湖パトロール ― 出会い、発見、探し物

2020年03月18日 | Weblog

桜の開花宣言が聞こえ始め、見事に晴れ渡った穏やかな日に、他にやることはたくさんあるのだが、こんな日は在宅勤務より外勤を優先させる。 外勤、それはびわ湖パトロール、そして探し物。そんな日の記録。

 

穏やかで暖かい日なら漕ぎに行けば良いと思うのだが、諸般の事情により長時間の外出ができない。それでも半日なら大丈夫、ならばびわ湖の探し物に出かけよう。

探し物とは小さなガラス。海ならシーグラスと言うのだろうが、びわ湖ならレイクグラスだろうか。いや、海でも湖でも浜には違いないので、ビーチグラスとも言うだろう。そのガラスでステンドグラスを作ろうと思っている。海で探すのだがなかなか見つからない。それをボヤいていたらある人が、びわ湖にもあるよ、と教えてくれた。意外と近くにあるようだ。知らなった。

ビーチグラスのありかを教えてくれたのは、数年前にこの浜で出会った人。

何気なく寄った浜にカヤックが置いてあった。誰だろう波乗りしている。浜のカヤックを見ていると、誰かがやってくる。それはカヤックの持ち主で、波乗りの達人?だった。ひょんなことからご縁を結んだ人。ビーチグラスのありかを教えてくれた人でもある。 いつだったか、その波乗り名人に、こんな物を頂いた。

小さな絵皿。鮮やかに光る小皿はステンドグラスのようだ。ガラスを探しに行く途中で、波乗り名人を懐かしく思い出し、また、この浜に寄ってみた。波のないびわ湖には、誰もいなかった。

次に寄ったのは顔なじみ、と言うより親友と言うべきだろう、「ウサギの木」。ウサギは今日はお出かけだったようだが、ウサギの木はいつものようにおっとりとびわ湖に立っていた。

おっとりと、しかしがっしりと立っている木もあれば、力尽きて倒れた木もある。びわ湖のヤナギは根が浅い。台風の後などにはごっそり根こそぎ倒れている木をよく見る。

この木も顔なじみの木だが、まさしくばったり倒れている。僅かばかりの根を留めているが、これっぽっちの根で巨体を維持できるのは後何か月だろう。枝は枯れ、それでも肘を突いて浜の一員であろうとする。そんな姿に哀れさと力強さとを感じる。こんな木は湖岸には数え切れないほどあるが、それでも顔見知りの木が倒れる姿は切ない。

別の知り合いの木にはこんな客人が居候していた。

キノコは似て非なる物が多いが、これは『セミノコシカケ』だろうか。SRJKに『リスノコシカケ』と名付けたキノコがあった。サルが腰かけるにしては小さすぎたのでそう名付けた。 何年か観察し、会いに行くのを楽しみにしていたキノコだったが、朽ちた木と共に彼も(彼女?)また溶けて行った。びわ湖のヤナギに生えるこのキノコはどんな生涯を送るのだろう。きっと私より多くのびわ湖を見て過ごすのだろう。ちょっと羨ましくも思える。

ふと下を見ると、おや、先客が来ていたようだ。

どなただろう、この足跡は。この客人もウサギの木に用があったとみえる。どんな顔をしていたのかと想像する。客人はお一方だけではなかった。これはどなただろう。

両足を揃えて歩くとは、行儀が良いのか器用なのか。こんな方もおいでになったようだ。

花びらのようなかわいい足跡。肉球を撫でてみたい。かと思えば鋭い爪痕も。

びわ湖周辺にはいろい色な野生動物がいる。タヌキは道端でよく見る。ほとんどの場合死骸となってだが。キツネもたまに出会う。ヌートリアは人を怖がらないし、ハクビシンもアライグマもアナグマも畑の罠にかかっている。誰が足跡を残していったのか探るのもびわ湖パトロールの任務、いや、楽しみだろう。

足跡の主を思いながらビーチグラスを探せば、あっちに1つ、こっちに2つ。意外とあるものだ。1時間ほどで両手ですくえるほど拾った。

1日探せばバケツいっぱい取れそうだが、それでは楽しみがなくなる。時々、ふと思い立ってびわ湖に行く。そして未来のステンドグラスになるガラスと出会う。そんな時を楽しむために、今日はこのくらいにしておこう。

近くに、2,3年前から急に人気スポットになった場所がある。最近になって気が付けば、なんとそこが地図に「名所」のマークがついている。どうってことのないどこにでもある木と、どうってことのない公園にあるようなベンチと。ただそれだけの所なのだが。

6年前の写真を見ると、木は今と同じにあるが、ベンチは今とは違い、もっとシンプルだった。何が この場所を「パワースポット」などと言わせたのか。日本人が乗せられやすい人種なのか、感受性が高まったのか。

そういう私も、以前は特に気にも留めない所だった。今は近くを通るたびに寄ってみるが、たいてい先客がいてベンチで思いにふけっている。今日もどなたかの車があり、そんな日は私は素通りする。そうそう、写真の日にも波乗り達人は、真冬の白波立ちまくるびわ湖で漕いでいた。しばらく会っていないが、今も元気に波乗りしているようだ。

帰り道、あの船頭さんにご挨拶。

 

 船頭さん こんにちは 
 良い日よりですね

 今日はどちらまで?
 そうですか。

 私は今日、
 ビーチグラスを探しにきました

 

 

 

たくさんの荷物と親子づれを乗せ、ぎっちらぎっちら漕いでいた。船頭さんは湖水を行くが、自転車はこんな所を。

これは「自転車ビワイチ」の表示。上級・高速、自転車を漕いでいる人はこんな表示を見て、理解して、走っているのだろうか。自転車を漕ぐ人に、この文字は読めているのだろうか。

近年ビワイチと騒がれるようになってからか、車道にやたらと線が引かれるようになった。青い線・白い線、実線・破線、間隔が短い破線・長い破線、線の内側の矢印・線に跨る矢印。違いは何なのだろう。 自転車に乗る人は皆、この線の違いを理解しているのだろうか。車に乗る私には、全くわからない。むしろ車の運転時には目障りと思っているのだが。

暖かい穏やかな日、びわ湖のパトロールに出た日に、湖岸でいろいろな物を発見した。

さぁ、次は湖上からパトロールをしなくては。