今日は風も穏やかだし、絶好の海日和! と思われた日。ではあの海、プランAのあの外海へ、いざ!、と行ってみる。
確かに出発予定の浜にはそよ風が漂うが波はない。一日快適に漕げるだろう、と思ったのだが・・
「う~ん、午後から風がでるかも。すでに海面がキラキラしている(風が立ち始めると海面が揺れてキラキラ光るのです)。あのキラキラが・・」
とケチを付ける、いやいや、慎重に思案する人がいて、プランAの海には何かあっても途中で上がれる浜がないので、と言う事で、海Aのプランはスタートの浜で却下。ならば陸のプランにと変更になり、そのスタート点に向かう道中で、
やっぱり、こんな良い天気の日に漕がないなんてバチが当たりそう・・と、AがだめならBでと急遽「海B」プランに変更。本当にいろいろな場面に合うプランがあるものだ。
と、前置きが長くなったが、風の影響が少ないプランBの海を漕ぐことになった。そんな二転三転の海を楽しんだ日の記録。
プランBの浜。幼稚園児のお砂遊びに持ってこいの穏やかな浜。
大寒とは思えない程の暖かさと明るく澄んだ海。冬の海は世間で思う程には寒くない。と言うか、思いのほか暖かい。水に手を入れて、「温かい」と感じる時もある。
今日のコースは短い距離、のんびり行こう。
漕ぎ行く先にはこんな大岩、小岩。うねりのある日には近づけない岩礁帯も、どこを抜けてもお構いなしの凪の海。昼前だと言うのに太陽が低い。こんなことで今が「冬」であることに気が付く。
低い崖を作る三層の色重ね。風の当たりが強いのだろうか、生えている木が一様に低い。当然と言えば当然の生え方なのだが、どこか違和感がある。初対面の人が丸刈りだと、一瞬緊張する。そんな感じに似ている崖だ。その先は緩く伸びる海水浴場。夏にはどんな賑わいがあるのだろう。
「びわ湖には海水浴場が一つもない」と言うと、「日本一の湖なのに、全然泳げないのか」と驚く人がいる。 いやいや、「水泳場」はたくさんあるが「海水浴場」はない。なぜなら、びわ湖は海水ではないから。 などと言う、引っかけ話はびわこ人の得意とするところだ。
遠浅の海はターコイズブルー。二漕ぎ、三漕ぎすると翡翠色。3回あくびをすればオーシャンブルー。カヤックの影を映してあくまでも澄んでいる。
早くおいでよ、と言わんばかりの砂浜が続き、ではお言葉に甘えて、とばかりに早めの昼食に上がる。
のどかな浜でのんびり過ごし、ではと腰を上げる頃、ちょっと風が出てきた。やはり、朝のあのキラキラが予想した風だろうか。まぁ、我(ら?)にとってたいした風ではない。
目指すゴールはこの岬を越えた湾の中。さすがに岬近くになると、海が波立つ。沖には白波がチラホラと立ち始めた。あと少し、あの岬を越えれば・・
と漕ぎ進めば、いつの間にか風も波も消え、また静かな海となる。そして、覚えておいでだろうか、あの白い展望台。
その展望台を見上げる海にある石碑。100年ほど前に起きた座礁・沈没事故の犠牲者の供養と、救助に当たった村人の努力を称えるものと言う。この石碑へは2度目。この石碑も海の語り部として存在し続けるのだろう。 海の恐ろしさや、命の脆さや、それを助ける勇気や、海への謙虚さや、あるいは戒めとして・・
今日は静かに迎えてくれた海。大岩・小岩の岩抜けを存分楽しんだ岩礁海域だった。磯の波に押されるたびにこの石碑の語る事を考える。
湾の中の岩抜けは楽しい。
行きつ、戻りつ、グルッと回り、スラロームして、調子に乗り過ぎて暗礁に引っかかる。おっと危ない。ちょっとボトムがガリッだか、ズリッだか言ったようだが、まぁ、気のせいと言う事にしよう。
ゴールまじかにあるこんな物。
以前見た時も、これは何だろうと思ったことを思い出した。そしてそれもまた調べず今日まで来たことも、思い出した。最近はこんなことが多くなった。 そんな事で自己嫌悪に陥ることもなく、前向きなカヤックは穏やかに終わった。二転三転のプランだったが、この日に絶妙のプランだった。
帰り道、ちょっと遠回りして今日の海を見に行った。
いつもの半分ほどの距離だったが、やっぱり、こんな日に漕がなかったらバチが当たっていただろう。
いい海だった。いつもこんな日であってほしいものだ。