カヤックと過ごす非日常

大人は水辺で子供に返ります。男は無邪気に、女はおバカに。水辺での出来事を通してそんな非日常を綴っていきます

3.会社の名前 ―女王の館

2006年09月06日 | Weblog
私がいつもお世話になっているのは不思議なえにしで結ばれたある会社。
歴史ある古都の山と川に囲まれた、とある所にある会社だ。
その昔、近くで今の静けさとは不似合いな大きな「一揆」があった。あいにくその時私は不在だったが物の本にそう書いてあった。

しかし今は穏やかな流れと、春には山桜が静かに咲き、休日には橋を見上げる川原にキャンプをする人たちが賑わいを見せている。



これから度々お世話になる会社だが「会社」では色気がない。そこでこの会社にふさわしい、夢のある名前を進呈しよう。

さぁ~て…

いざ、気の利いた名前を考えてもなかなか思いつかない。
私のカヤックはここで生まれた。だから「女王の館」
う~ん、確かに女王はここで生まれた。しかし王子だっているだろうし…

何かもっと夢のある…

またしても名前でつまづいた。(こんどは心電図を出すか)

こんな所でつまづいていたのではこれからのカヤック人生、暗雲に包まれどおしの予感がする。

こんな時は今まで行った水辺のことを思い出してみる。ここでお世話になる前にもいくつかの主催者と出会ったがみんな私を育ててくれた、いい出会いだった。

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初めてキャンプをした日置川
懐中電灯で手長エビを獲った。ゴール寸前で「町内釣り大会」に遭遇し、大会役員とスッタモンダの末、川から上ることになった。川での勢力図は       「釣り人>カヤック」であることを知った。


勝浦でのトンネルキャンプ
どしゃぶりの雨の中、不思議なトンネルの中でテントを張った。でこぼこ道の先に まだ 使われていない立派なトンネルがあり、その先には断崖絶壁だけがある、と言うか、しかない。

カヤックを積んだワゴン車がその中で方向転換できる、立派な代物だ。「千と千尋の神隠し」に出てくるトンネルの超現代版とでも言うか、不思議なトンネルだった。 

― あれは車のためのトンネルではない。来るかもしれないⅩ‐DAYに備えた防空壕だったのだろうか ― 

現実の出来事だったのか、ふとわからなくなることがある。あのトンネル、今もまだフェンスで入り口がふさがれているのだろうか。もう一度見たい…。

(ほら、ゆかし潟の奥、きよもん湯を曲がって行った、あのトンネル…)  


桜の大川で
造幣局の桜も川から見た。1日何千台もの車が通る橋の裏側は、鉄骨が織り成す美しい幾何学模様だった。この美しさを一体何人の人が知っているだろう、と思うと優越感に浸れた。
川に「クチ」があるのは知っていたが、川には「コウモン」もあることを初めて知った ― 閘門て、書くんですけどね。 ―


川だけではない。水ウミでも
琵琶湖でも、白波が立ちうねりの中に前の人の頭が隠れる日があった。漕いでも漕いでも進まず、このまま永遠に漕ぎ続けるのだろうか、と思った。
 
― 1週間後、やっと小さな港にたどり着いた時には無精ひげが伸びて…(あっ、これはないか) ― 
やはり琵琶湖は「ウミ」だった。

穏やかな湖もあった
暁の湖にパドリングの音だけが静かに響き、沖からご来光を仰いだ時、一晩かけて大地の下を駆け巡ってきた太陽に神秘を感じた。

桜吹雪と舞ったことも
路上の雑踏を眺めながら湖上から優雅に花見をした海津大崎。毎年行くが、早かったり遅かったり、桜は私の都合に合わせてくれないものだと思い知らされる。      

                

初めて沈した万水川
やっと一人前になれた気がした。どこかのヘボが(人の事は言えないが…)突っ込んで来てアバラにヒビが入った犀川。
ウェットスーツで入場したわさび園「みんなで入れば怖くない」を実行した。
水車の羽根と一緒にまわり、湧き水にはしゃいだ。
信州の川はいつもデンジャラスだった。

コーヒー色の気田川で
コーヒー色の濁流を見ながら夜明けのコーヒーを飲んだ気田川。
こんな「非日常」を求めてキャンプに来ている自分を改めて意識した。清流も癒されるが、荒々しい濁流もまた癒される。

「仁淀にはイノシシがよく似合う」
こんなせりふをどこかで聞いたような…。臭味をとるためだとかで、丸々一頭が川に浸けられていた。まだまだ私の知らない世界があることに気づかせてくれた川だった。ありがとう。

四万十と言えば沈下橋
憧れていた「飛び込み」をした。前々から一度やってみたかったが勇気がいるものだ。
「高さ」に勇気がいるのではなく、「あの歳であんなことする」いや「この歳でこんなことをしていいのだろうか」というためらいを振り切るのに勇気がいる。

ここで何かあったらきっとツアー主催者が「安全管理はどうだったか」、なんてことで警察やマスコミに叩かれるんだろうな…。自分自身は、どうせ一度は死ぬんだからどこで死んでもかまやしないが、主催者に迷惑はかけられない。と思うと、「やめとけ」という自制心が足を引っ張る。

それを振り切るのに勇気がいる。

しかし、歳もマスコミも他人の迷惑も、私の好奇心にはかなわない。飛び込んでしまえば何のことはない。無事生還した。(レスキューしてもらったと言うべきか…)  チャンスは逃さないと心に誓った。
     
      
        飛び込んで             助けてもらう

私の信条:  『これから始めるアドベンチャー!』

まだまだいっぱいあった。
櫓を漕ぐ船頭さんの唄を聞いた八幡の水郷めぐり 
            
            

ジェット船との遭遇にスリルを感じた北山川
海も川も湖も、みんな、みんな楽しかった。

こう綴ってみると私のカヤックの歴史となった。癒しを求めた歴史であり、日常からの逃避の歴史であり、水とのロマンの歴史だった。  そう、ロマン…

        これだ!

結論 = この会社の名前は「ロマンの館」

ウン、良い名前だ。私の夢を受け止め欲しい。

これからもよろしく。