時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

ラプラスの魔女

2018-04-13 | 読書
映像プロデューサー
水城義郎が
妻・千佐都と訪れた赤熊温泉で
硫化水素のガス中毒で死亡した
遡ること3か月前
水城義郎の母親・水城ミヨシから
息子が殺害される
と麻布北警察署に手紙が届き
運悪く
担当になった
中岡祐二刑事は
気になって
ミヨシに連絡を取ってみると
義郎の事故後に
首を吊って自殺したことを知る
ミヨシの老人ホームで
遺品整理に現れた
水城千佐都と遭遇した中岡は
千佐都が
義郎殺害に関与したと確信する
中岡は
赤熊温泉の事故調査を手掛けた
泰鵬大学地球化学の教授・青江修介に意見を求めるが
硫化水素ガス中毒で
殺人を遂行するのは
屋外では不可能だと断言される
しかし
諦めきれない中岡は
地道に聞き込み捜査を行っていた

一方
青江自身も
不可能だと言ったものの
何か引っかかるもを感じていた
そんな時
今度は苫手温泉で
硫化水素ガス中毒の死亡事故が起きる
地元新聞社から依頼されて
苫手温泉で事故調査をしていた青江は
赤熊温泉の事故調査中に出会った
羽原円華と再会する
円華の不思議な力を目撃し
また
担当した2つの事故調査の見解に
自信が持てなくなっていた青江は
中毒死した水城義郎と
那須野五郎のことを調べるうちに
映画監督・甘粕才生のブログに行き当たる
そこには
長女の萌絵が自室で
硫化水素ガス自殺を図ったこと
妻・由佳子と
萌絵の弟・謙人が巻き添えになり
由佳子は死亡
命は取り留めた謙と人も
意識を戻すことなく
植物人間になったと書かれていた
そして
開明大学病院
脳神経細胞再生の第一人者
羽原全太朗の手術により
謙人が奇跡的な回復を遂げたとも…


映画.com

東野圭吾
禁断の魔術(2016_2_18)以来です

いや~面白かったデス!

フランスの数学者
ピエール=シモン・ラプラスによって
提唱された
もしもある瞬間における
全ての物質の力学的状態と
力を知ることができ
かつもしもそれらのデータを
解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば
この知性にとっては
不確実なことは何もなくなり
その目には未来も(過去同様に)
全て見えているであろう

をヒントに?(伏線に?)
書かれた作品らしい

この提唱を
ラプラスの魔物
と言うんだそうです

ラプラスの悪魔 = 甘粕謙人

自然現象まで
予測できるその力を近い
復讐に燃える甘粕謙人に唯一
対抗?対峙できる存在
それが

ラプラスの魔女 = 羽原円華

謙人から
母と姉の死の真相について
聞かされていない段階で
自ら
人体実験を申し出て
謙人と同じ存在
ラプラスの魔女になろうとした
円華の真意はどこに?

自分のかかえている諸々を
打ち明けたい相手
謙人が選んだのが円華だったわけですが
何故ゆえ
円華だったのか
彼女を選んだ具体的な
理由が知りたい!
行動は予測できても
人の心が
読めるわけじゃなし
なぜ
心許せる相手だと分かったのか…

謙人が
復讐を実行すべく
研究所を去ったあと
円華は
復讐自体を止めるのかと思いきや
阻止したいんじゃなくて
目的を果たしたあと
自らの命を
絶つつもりでいる謙人を
何としても
救いたいと思っている
お互いが
唯一無二の存在
唯一理解しあえる存在なのだから
必然か?

事件終息後
円華は
数理学研究所に戻りましたが
謙人は
消息不明
離れ離れになってしまったのは
切ないと言うか
辛いと言うか
悲しい
この先
謙人はどんな人生を
歩んでいくのでしょうか…
首藤瓜於の『脳男』に登場する
入陶大威(いりす たけきみ)みたいに
闇の仕置き人的な活躍
しそうなキャラじゃないか


円華「…御褒美に質問する権利をあげる あたしについて何でも聞いて」
武尾徹(ボディーガード兼見張り役)「ええと 結局 円華さんにはどんなふうに見えているのかなあと思って」
円華「見えてる?何が?」
武尾「この世界の未来です 一体 どうなっていくんですか」
円華「それはね 知らないほうがきっと幸せだよ」


最期の瞬間
円華の隣りには
謙人がいる気がする
いや
いて欲しい

436頁
甘粕の男子が
遺伝的に父性欠落症だろうと
羽原全太朗が推測し
その種の欠陥を脳に抱えている人間が
残虐な凶悪犯罪を起こす
と言う発想も
興味深かったです

水城義郎の母親・ミヨシと
甘粕才生は
本当に自殺だったんだろうか…


          
映画化では
羽原円華:広瀬すず
甘粕謙人:福士蒼汰
青江修介:櫻井翔
甘粕才生:豊川悦司
羽原全太朗:リリー・フランキー
中岡祐二:玉木宏
武尾徹:高嶋政伸
羽原美奈:檀れい
奥西哲子:志田未来
水城千佐都:佐藤江梨子
桐宮玲:TAO
と言うキャスティングだそうです

円華の広瀬すずさん
謙人の福士蒼汰さん
甘粕才生豊川悦司さん
これは原作読んでいて
イメージに近かったけ
何故
青江が櫻井翔なんだろう
違うと思うよ

『ラプラスの魔女』の前日譚の位置付けで
『魔力の胎動』と言う単行本が
発売されているそうですが
こちらは
評価が低いようですね
便乗商法とか
書かれてましたけど
そんなに酷いの?

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