時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

吉原裏同心抄3 (吉原裏同心28)~秋霖やまず~

2018-04-12 | 読書
浅草御蔵前で
亡き先代
伊勢亀半右衛門に代わる
新たな札差・筆頭行司が
一向に決まる気配がない
父半右衛門の遺言に従い
跡目争いに巻き込まれぬよう
就任を固辞している
伊勢亀当代半右衛門の元に
不可解な企てとも取れる文が届き
半右衛門の後見
神守幹次郎は危ぶむ
巨額の富と
莫大な権力を手にする
筆頭行司の座を巡り
長い秋雨にけぶる
吉原の町にも
陰謀が蠢き始める
狙われる西河岸の桜季
そしてついに…



何れは
見事な太夫になろうと
薄墨太夫の禿・新造を務めた桜季が
吉原の路地裏
西河岸の切見世で暮らし始め
始めは
自分の境遇を恨み
周囲から孤立していましたが
初音と共に
西河岸で暮らし
豆腐屋山屋のおなつ・文六や
女裏同心・嶋村澄乃と
関わりあう中で
次第に心を開いていきます
そして起きるべくして起きた?
桜季誘拐事件
勿論
幹どのが解決しますが
今回のことで
桜季の心情が
各段に変化したようです
加門麻との(文での)交流も
始まってまして
4巻後半あたりで
三浦屋に戻るのでは?
と思われます

新たな札差
筆頭行司の背後に隠れた
吉原の覇権争い
こちらも
幹どのが解決します

3巻「秋霖やまず」の
見せ場?
盛り上がりは
やはり
すずみ庵落成のシーンです

吉原遊郭会所七軒茶屋
七代目・四郎兵衛
吉原の総名主であり
かつて
加門麻が
薄墨太夫として暮らした
遊郭三浦屋主・四郎左衛門
麻の人生に
大きく関わった
札差筆頭行司
豪商・伊勢亀半右衛門の息子
半右衛門の三人が招かれます

先代伊勢亀半右衛門追悼の茶事

床の間には
麻が太夫の頃描いた絵を
掛け軸として
かかっています
それは
紅葉を背景にした半右衛門が
茶を喫する姿を描いたもの
『七代目伊勢亀紅葉図』

半右衛門縁の人物が
ひっそりと故人を偲び
想いながら催される茶事
高尚です
吉原裏同心で描かれている
吉原や太夫の生き方は
事実とはかけ離れていて
随分と
綺麗に描かれ過ぎているんでしょう
ですが
これはこれで!

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