べんがらちゃんの目

日本の美を伝えたい

暗い家は想像力を豊かにする?

2007-12-21 22:05:23 | Weblog
昔の民家は土間に入ると薄暗く、天井を見上げると小屋の木組みも邪魔をして天辺が分からない。
 今の家は明るすぎるほどで部屋の隅々がよく分かる。
 想像力の豊かな人は幼年期民家のように薄暗く、際がはっきりしない場所で育つた経験を持つと何かの本でよんだ。
 真偽の程は定かではないが、確かに日本は戦後この方、明るさ一方で突き進んできた感がある。
 だが30年ほど前、教育が注目されてるフインランドで夕飯に招待されたときの明かりは白熱灯でもなくローソク一本であった。
 最初、皿に何が盛られているのか分からず、ツナサラダと判明するまでにかなりの時間を要した。しかし次第に目が慣れてくると相手の姿がよく見え親密に感じる。 
 住宅の設計でも、いまだに蛍光灯を強く希望する施主は多い。地球温暖化を抑制する為に白熱灯さえも槍玉に挙げられる日本であるが、いっそのこと暗い生活に立ち戻ってはどうか?
 以前千葉の田村邸を設計していたとき、この民家での際が分からない空間体験を思い出した。
 そろそろ完成の千葉の家は陰影礼賛の試みを行っている。
写真はその階段部分、妻板は数奇屋風に反らせている。白い部分は階下の明り取り。
 完成が待ち遠しい。


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