べんがらちゃんの目

日本の美を伝えたい

強羅のキッチン

2009-08-28 14:41:29 | Weblog
10畳ほどのキッチンである。
2階に上がる階段がキッチンの中にあり、その分狭くなるが下の開きスペースには
冷凍ストッカーをおき無駄なスペースを残さない。
左側ステンレス一枚カウンターは4.5メートルほど(松岡製作所)、その中にマルゼンのオーブン付きバーナー(3口w=900)と1m巾のシンク、グローエの水栓を備える。シンク前に吊戸棚は設けず大きな嵌め殺しのガラスを入れて外の緑を楽しむ。まるで管理室の様にここからは強羅駅方面から上ってくる道路を眺める事が出来、したがって門から入る車や人をチェックできる窓でもある。
インテリアは白とベンガラであるがシンク側の壁は漆喰ではなくステンレス板を貼り油汚れに対応する。よく観ないと漆喰かステンレスか分からないほどステンレスの違和感はない。右側のカウンターはトップに大理石を貼りパン生地やお菓子の製作に供する。突き当たりのカウンターはベンガラを塗らず白木の生地を生かす。
照明は押さえ気味にして一部間接照明も使い、落ち着いた雰囲気を出す。キッチンは居間やダイニングの中に同居させるケースが多いが、このように独立させた場合、機能的になり過ぎないよう上記のような雰囲気を出すことも必要と感じた。

横浜の好きな場所-山下公園レストハウス周辺

2009-08-22 10:16:13 | Weblog
強羅の家の紹介も残り少なくなったが、今回は趣向を変えて事務所の在る横浜について紹介する。今回は山下公園レストハウス周辺、専門的な表現はご容赦の程。

右手にはベイブリッジや鶴見つばさ橋。左手には大型船が停泊する大桟橋客船ターミナル。
そして水上警察や港周遊水上バスが出る亀腹ゾーン。タグボートの出入りも忙しく近景に船の動き、中景にターミナルや大型船、遠景はベイブリッジと、将に港の風景を堪能できる場所。
右側の白い建物がレストハウス。日韓共催で行われた2002年のサッカーワールドカップ。来浜する観光客対応を目指し完成した。すでに7年以上経つ。
屋根を白くしたら鳩の糞の餌食になり見られたものではない?との心配もどうやら懸念ですんでいる。(汚れもそれほど目立たぬが水平面近くで見ると黒ずみでうっすら縁取られている。)屋根は厚3mmのアルミ板。40cm間隔にリブ材が付きT字断面を構成する。ウレタン塗装、全体は10m×50mの大きさ。一体ものでこの大きさだと冬と夏とで5cm伸縮する。雨樋も兼ねたエキスパンションをとり3分割して、伸縮を最小限に抑えている。
それでもワンピース10m×20m程の屋根を陸上で運ぶのは困難。屋根を製作した鶴見の日立造船(当時)で走行クレーンから台船に乗せ、タグボートで牽引し運河から横浜港に入り山下公園に接岸。
公園の岸壁は基礎部分が水中で海に張り出しており潮が満ちている時、作業を行わないと台船の腹をこする。午前中に終わらせねばならない。
木造住宅の建て方は5トンのラフターだがこの時ばかりは200トンのラフタークレーンが登場。台船から直接アルミ屋根を吊り上げ、メッキされた鉄骨の荷台に静かに下ろしセットされた。当時客船ターミナル建設現場には5台のクレーンが立ち怪獣の手足のごとく動いていた。面積比で1/100程度のレストハウスもこの時、活気と緊張感に満ちていた。
以上建設レポートのようになってしまったが、好きな場所の理由として自分が設計した建物がある事の外に上記のようなウォーターフロントの風景を椅子に座って堪能できる点だ。
周囲の公園側にはインド水塔(関東大震災時被災したインド人を日本人が助け、その感謝の印として在日インド人協会が立てたドーム屋根の建物)があり、レストハウスはこの建物を引き立てる壁となっている。つまりインド水塔が神社でレストハウスが参道を形成するみやげ物店、のような配置にしている。それまでこの場所は管理事務所脇の目立たない所であった。公園内の要素を顕在化させる意図もあり、今回は帯状の周辺舗装も「参道」を意識、レストハウスの屋根先端も水塔の庇の高さに合わせ双方屋根の形も対比させた。
インド水塔内部天井の美しいモザイクもあわせ楽しめる。
また赤レンガ倉庫から延々と伸びてきた「汽車道」(ペデストリアンデッキ)はレストハウス脇で地上に降りる。この間歩行者は長いスロープをたどりながら景色の変化を楽しむ事が出来る。写真はこのデッキの上から撮っているのだが上から下まで高さを変えて眺められてしまう建物の設計はこれが初めてだ。


強羅のバスルームその2

2009-08-07 13:53:32 | Weblog
湯気の沸き立つ画像で
室内が判然とせず恐縮だが
雰囲気を感じてもらえばと思う。
実際ここの温泉は白くにごり、湯量も豊か
自家用に使うにはもったいないくらい。
湯だし口近くの大型ガラス窓を開ければ
前回画像のごとく
露天風呂気分が味わえる。
箱根の温泉は源泉によって異なり
ここは白濁しているが、箱根M邸
(ホームページトップ4000万円台の家)
は川を隔てた反対側(宮城野)の山にあるが、透明である。
浴槽は御影石、壁天井は木摺板大和張りベンガラ塗装。
塩ビの筒は浴槽内排水管。


強羅のバスルーム

2009-08-05 18:34:19 | Weblog

先週は香川、愛媛、高知のモダニズム建築を見て回ってきた。
東京に向かう夜行バスの時間まで暫くあったので
道後温泉本館で湯に浸かる。
明治27年築の木造3階建、あたりをへいげいする建物だ。
客は浴衣姿で廊下の手摺欄干から身を乗り出すように涼んでいる。
2階の座敷で浴衣に着替え階下の浴室へ。
浴槽は深く70センチを超えていたと思う。長野県の諏訪湖畔、
片倉館には及ばないがたっぷりとした湯量は旅の疲れを一気に
消し去る。
さてそのような非日常の体験を、強羅の家では毎日体験する。
画像檜の湯だし口からは滾々と白濁した温泉が流れ込む。
おまけにガラス戸をあければ露天風呂の雰囲気も味わえる。
全体の様子は次回。