べんがらちゃんの目

日本の美を伝えたい

「建築の記憶」

2008-03-14 11:24:29 | Weblog
建築の記憶-写真と建築の近現代
 先週末久し振りに目黒白金台の庭園美術館を訪れた。
 1933年完成の旧朝香宮邸、その庭園、建物を一般開放している都の美術館だ。
 展示のため多くの部屋の窓は塞がれているが1階の次の間、2階のサンルーム、ペントハウスのウインターガーデンは部屋を楽しめる。
 特に玄関ホール脇の次の間は壁が朱のベンガラ色であり、表面に凹凸を入れて厚い壁を軽快に区切る。
 天井は白、円形の波紋状に競り上がってゆくその真下にフランス海軍から贈られたとされるセーブル窯の香水塔。人の背丈の高さを持ちシャンパングラスをかたどった塔の頂部は渦を巻き、しかも発光する。
 周囲のモダニズム的シンプルさがゆえに一層香水塔が際立つ。いつもながら触発される空間だ。
 石元氏の桂離宮や現代建築の写真はカーラーだが、多くはモノクロ。
 歴史性と同時に白から黒への諧調の変化を楽しめる。
 1909年小川一眞撮影、片山東熊設計の東宮御所(現在の迎賓館赤坂離宮)
 大階段の写真で2階から見下ろした写真がポスターになっているが下からの見上げ写真の方がモノクロの真価を発揮している。
 黄ばんでしまっているが1911年宮内幸太郎撮影、辰野金吾設計の中央停車場(現東京駅)もモノクロがゆえに鉄骨の全体構成が鮮明になっている。
 東京駅は現在改修中で2012年完成時には当時の姿を見る事ができる。
 最も古い写真に1871年の江戸城があるが同時期の熊本城の遠景写真は大小の天守閣を群として持ちその様子は砦としての凄みさえ感じる。

3月31日まで開催。週末は混むとおもいます。