さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 北京 その4

2011年06月03日 | 海外旅行
紫禁城の大和殿の背後には、中和殿と保和殿が続きます。

中和殿は、大典の際に、皇帝はここで休んだ後に大和殿に向かいました。



中和殿と保和殿は、装飾の施された石造りの基段の上に設けられています。、



周囲には、回廊がめぐらされています。



保和殿は、明代に皇后と皇太子を冊立する儀式が行われる際に、ここで礼服に着替えて大和殿に赴いたといいます。



保和殿の中は、宝殿の周りの柱が減らされて広い空間を作っています。



保和殿前にも龍のレリーフが置かれています。



基壇には、竜頭の像が取り付けられており、雨水の流出孔になっています。パリのノートルダム寺院の雨樋と似ています。





保和殿の向こうには、景山が見えています。



保和殿の背後にある龍のレリーフの雲竜階石は、重さ20トンで、紫禁城内最大の石造物です。



浮彫も見事です。ドラゴンが玉を狙っています。ドラゴンボールというと、漫画を思い出してしまいますが。



中国の建造物では、決まった屋根飾りが施されています。

大棟の両端部には、正吻(せいふん)と呼ばれる大きな口の龍が置かれています。水を呼んで火事を防ぐという意味があるようです。日本では、なぜかしゃちほこに変化しています。



さらに軒が下がってきたところには、旁吻(ぼうふん)と呼ばれる、正吻よりもやや小さく、枝状に分岐した角を持つ龍が置かれています。その前には、霊鳥に乗る仙人の像を先頭にして、その後ろに様々な霊獣が並びます。この霊獣の列を走獣といいます。

走獣は、建物毎に異なり、一般には1,3,5,7体で、最大は紫禁城の10体になります。この数は建物のヒエラルキーを表しており、数が多いほど貴い建物ということで、北京の紫禁城太和殿が10体で最高位になります。


ところが、韓国ソウルの景福宮における慶会楼の走獣の数は、紫禁城と同じ数でした。宗主国の中国に対して非礼きわまりないというところになりますが、この走獣が建設当時のもので、知った上で取り付けたものか、それとも後世の修復の際に知らずに取り付けたものか興味がわいてきます。



走獣のひとつずつの像の名前は以下のようになっています。

先頭 仙人騎鳳 怪異を除いた太公望、あるいは治水で知られる帝王禹、周の敏王、周の敬王、西遊記の三蔵法師などと伝えられています。
No.1 麒麟 吉祥の神獣であり、仁政と王者の徳を表す
No.2 鳳凰 麒麟と同じ
No.3 獅子 王権と聖山の支配
No.4 海馬 皇帝の徳が大海に通ずることの象徴
No.5 天馬 皇帝の徳が天にまで至ることの象徴
No.6 押魚 雨をもたらし、火を鎮め災害を防ぐ
No.7 サン猊 獅子の別名で、あらゆる動物の支配を象徴する
No.8 カイ豸 裁判が正しく行われている時に現れるとされ、皇帝の治世が公明正大なことを象徴する
No.9 斗牛 雨をもたらし、火を鎮め災害を防ぐ
No.10 行什 行什は猿に似て、行列の十番目に置かれることから行什の名を持つ
 この猿に似た像と先頭の人物は、三蔵法師とお供の孫行者だとも言われます。

また、瓦が黄色いのも、皇帝しか許されないものですね。



紫禁城の内廷にあった別の建物ですが、先頭の仙人の後には、五体の走獣しか並んでいません。十の神獣のうち、どれが選ばれているかは判りかねます。



外朝に属する宮殿の扁額は、大和殿をはじめとして、漢字だけで書かれています。



これに対し、内廷にある宮殿の扁額は、漢字と満州文字が併記されています。これは、清朝の皇帝が満州族であることに由来します。

辛亥革命後、孫文から中華民国臨時大統領の地位を強奪した袁世凱は、1916年1月1日に、みずから帝位について「中華帝国」の建国を宣言しました。その際、漢民族の国であることを示すために漢字だけの扁額に変えました。ところが、内廷については、ラストエンペラーこと愛新覚羅溥儀が、清国皇帝の地位は失ったものの、そのまま住むことを許されていたため、清朝時代の扁額がそのまま残されました。皇帝に対する批判が多方面から起きたため、袁世凱は1916年3月22日には退位しますので、短命であった「中華帝国」の遺産としては、紫禁城の外朝の宮殿の漢字のみによる扁額しかないことになります。
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