さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 キナバル山 その6

2015年04月22日 | 海外旅行
1時に起きだして登山の準備を始め、2時には食堂に移動して深夜の朝食。ビュッフェは夕食と同じような料理が並んでいましたが、食欲はなし。日本から持参してきた菓子パンとコーヒーで朝食としました。



2時45分に出発。ヘッドランプの灯りを頼りに続々と登山者が出発していきました。

暗い中で周囲の様子が判らないまま、黙々とした登りが続きました。急な階段登りが続き、先が詰まって、足が止まることも時折ありました。前日に続いてゆっくりペースなため、後から追いついてきた登山者には先に行ってもらうことになりました。



途中で、難所の岩場に出ました。登っていく途中、この岩場で渋滞が生じてヘッドランプの光がまとまっているのが見えていましたが、最後尾に近いためか渋滞は解消していました。

岩場の下に出ると、風当たりが強くなって、雨具の上着に、毛の帽子、フリース手袋を身に着けることになりました。

岩場には、太いロープが張られており、これを頼りに一枚岩を直登すると、細い岩棚を斜上するように登山コースが続くことになりました。日本の一般登山道で現れる岩場のレベルですが、途中で固まって動けなくなっている女性もおり、迂回して登ることになりました。以前、日本人登山者がここで落ちたと聞きました。意外に山の経験の少ない人も登っているようでした。



岩場を通過して灌木帯をひと登りすると、サヤッ・サヤッ小屋に出ました。ここまでは2時間かかりました。ここのゲートでIDパスのチェックが行われていますが、団体のため名簿のチェックだけで終わりました。

ここのトイレが登山道沿いで最後のものになるため、休みがてら用をすませました。



ゲートを過ぎると、一枚岩の登りになりました。傾斜はあるものの、フリクションも利いて、登るのに問題はありませんでした。空も白み始め、周囲も見えるようになってきました。



空も赤く染まり始めました。

最初の目標の富士山の標高3776mはすでに越しており、次は4000mが新たな目標になりました。これまでの高所体験としては、パキスタンから中国に抜ける際のクンジュラブ峠の4733mです。この時は標高2600mからバスで一気に上がったためか、少し歩くのにも息切れをして、高山病の症状が進まないか冷や汗ものになりました。今回は、歩いて標高をかせいでいて高度順化ができているのか、登山による息切れの範囲で収まっていました。



一枚岩の斜面を登り続けると、左手にサウスピークが鋭く天を突く姿を見せるようになってきました。写真でお馴染みの風景の中の歩きになりました。背後を振り返ると、空が赤みを増して、日の出も近いようです。山頂での日の出見物は無理であることは判りましたが、東には、二つの岩峰が並び立つドンキー・イヤーズ・ピークがあり、日の出はその陰になりそうでした。

遅れだした者もあるため、写真を撮りながら先に進ませてもうらうことにしました。



前方にローズ・ピークの山頂も見え始めました。



記念写真のストロボが連続的に光るのも見えてきました。山頂では、記念写真の順番待ちで混みあっているようです。



山頂でのご来光見物は諦めて、刻々と変わっていく風景を眺めながら歩くことにしました。



向かって左にはセント・ジョーンズ・ピークが聳えていました。



一枚岩の上にはロープが張られていますが、これは視界不良の際に登山コースを示すためのものです。



登りの途中で太陽が昇ってきましたが、結局、ドンキー・イヤーズ・ピークの背後になってしまいました。



サウスピークが赤く染まり始めました。



セント・ジョーンズ・ピークの先端も赤く染まり始めました。



ローズ・ピークにも光が当たりはじめました。ローズ・ピークの山頂に到着していたら眺めることのできなかった眺めです。



後続を待つために眺めを楽しみながらゆっくり登っていくうちに、ローズ・ピークが薔薇色に染まりました。

この眺めから、ローズ(薔薇)のピークと名付けられたと思ってしまいますが、山名の由来は全く違ったものです。

キナバル山の名前は、アキ・ナバル(祖先の霊る山)が由来です。この聖なる山の初登頂の歴史は少々複雑になっています。1951年、蘭のプラントハンターのヒュー・ロー卿( Sir Hugh Low )は初めてキナバル山の山頂に到達しましたが、最高点を誤って、セント・ジョーンズ・ピークに登りました。1888年、ジョン・ホワイトヘッド調査隊が、最高点のローズ・ピークに登り、キナバル登山の先駆者であったヒュー・ロウの業績を記念して、このピークにLow's Peakの名前を与えました。

カタカナでローズピーク書かれているので、このいきさつを知るまでは、薔薇の峰と誤解していました。バラ色に染まった夜明けの風景を眺めると、薔薇の峰であっても良いような気もします。

ローズピークの基部で4000mとなり、残りの標高差はあと100mほどで、登頂は確実なものになりました。
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