白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
著書「やさしく語る 碁の本質」「やさしく語る 布石の原則」発売中!

井山九段、ベスト8進出!

2017年05月31日 17時48分54秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
昨日、一昨日は更新をお休みしました。
ちょっと無理気味なスケジュールだったので、一休みというところです。

さて、本日は第22回LG杯の2回戦が行われました。
伊田篤史八段は残念でしたが、井山九段は周睿羊九段(中国)を破り、ベスト8進出!
日本棋士の頂点の実力を示しました。
それでは、私の印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(実戦)
井山九段の黒番です。
白△の当ては、黒Aとつながせてから白Bとシチョウに抱える進行を目指しています。
それでも仕方がないと考える棋士も多そうですが・・・。





2図(実戦)
どちらを選んでも良い勝負なら、積極的な手を選ぶのが井山九段です。
右下でコウ立てを作り、黒7とコウを仕掛けて行きました!





3図(実戦)
その後黒1となって、一段落したように見えるでしょう。
黒は白△、白は黒△を取る振り替わりです。
井山九段は、この取り合いなら良い勝負とみて、この進行を選びました。
・・・そう受け取ってしまっては、もったいないですね(笑)。





4図(実戦)
黒1、3といっぱいに迫り、白4に対しても構わず黒5!
先に白3子を取ったのは下準備に過ぎず、白△を攻めて主導権を握るストーリーを描いていたのです。





5図(実戦)
その後黒△と打った場面です。
白を攻める流れで、自然に白△を飲み込むような流れに持って行きました。
一手一手の良し悪しは私には良くわかりませんが、ストーリー性の強い打ち回しと感じました。
こういうところが、井山九段の碁の一番の魅力かもしれませんね。

準々決勝は11月なので間が空きますが、楽しみに待ちましょう!
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

AlphaGo自己対戦 第1局

2017年05月28日 22時49分34秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
アルファ碁の自己対局棋譜、凄まじいですね。
早速当ブログでもご紹介してみましょう。
ちなみに、こんなタイトルですが今のところシリーズ化の予定はありません(笑)。
人智を超えた内容は、読み解くには労力がかかり過ぎます。
まずはMaster対棋士のシリーズを完結させることにしましょう。



1図(実戦)
ここまで何の変哲も無いミニ中国流布石で、油断していましたが・・・。





2図(実戦)
出ましたね(笑)。
まあ、この手自体はギリギリ人間でも発想できるレベルです。
黒2でAと伸びられたらどうするのかという疑問はありますが・・・。





3図(参考図)
この後はこんな進行が思い浮かびます。
これなら白も打てるように感じますが・・・。





4図(実戦)
・・・言葉が出ません・・・。
やりたい放題という感じですね。
黒AかBかどちらに受けるかを見てから、右下の打ち方をCかDか決めるということでしょう。





5図(実戦)
黒1、3と右に力を入れたので、白4、6と右辺に転身しました。
信じられないような打ち方ですが、一応理屈で解釈できるだけまだマシですね。
ひょっとしたらこんな打ち方が流行ることもあるかもしれません。

しかし、これが中盤になると、完全に意味不明な進行が頻出します。
棋士達との60番碁も、柯潔九段との3番碁も、この碁を見ると普通の碁に見えてしまうぐらいです。
どのぐらいの強さなのか分かりませんが、もはや人間の碁の延長線上には無い碁になっていると感じました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

柯潔九段ーAlphaGo 第3局

2017年05月27日 20時36分00秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日、柯潔九段とAlphaGoの三番勝負、最終第3局が行われました。

結果は残念ながら柯潔九段の負けに終わり、AlphaGoに一矢報いることはできませんでした。
それでは振り返って行きましょう。



1図(実戦黒13)
柯潔九段の希望により、AlphaGoの黒番です。
何と、黒△とカドに行きました!
序盤早々、信じられない手が飛び出しましたね。
こういう手は白を固めるだけで、メリットが無さそうに思えます。
同じカド(肩ツキ)でも、黒Aなら分かるのですが・・・。





2図(変化図1)
黒1は十分考えられる手で、もし白2、4と押してくれれば、黒5まで一歩先に伸びることができます。
この進行を期待できるかはともかく、こうなれば黒が嬉しいですね。





3図(変化図2)
しかし、実戦の黒1では、白4までと先に伸びられてしまいます。
前図とは天地の差であり、とても黒を持つ気がしません・・・。

AlphaGoはこれで黒がやれるとみているのでしょうか?
それとも、黒3で違う手があるのでしょうか?
実戦は柯潔九段がAlphaGoの意図に嵌ることを警戒し、手を抜いて他へ回りました。

ちなみに、後にAlphaGoチームと柯潔九段が三番勝負の棋譜を検討するそうです。
この手の意図も解明されるでしょうか?





4図(実戦白32~白36)
白が苦しそうな局面になっています。
右下隅の白を生きたいのですが、すると白△が攻められる展開になりそうです。

しかし、そこで白1、3の打ち回しにはビックリ!
白3で先に白△を強化しておき、黒が右上を受ければ右下の生きに回る予定でしょうね。
そこで黒は4と右下を取りに行きましたが、白5とカケれば、白1が働いて上下の黒がつながりません。
柯潔九段の天才的な構想だったと思います。





5図(実戦黒41~黒45)
ただ、その後黒1と三々に入られた局面は、気が滅入って来そうです。
白が直前に打った手が悪手になりそうで、そうなっては絶望です。

黒1は容易に予想できる手なので、白2、4と仕掛けるまでが予定の行動なのでしょう。
ただ、白の形が悪過ぎて、この碁は長く持たないと思いました。





6図(実戦黒89)
しかし、柯潔九段は必至で踏ん張ります。
白△を捨て石に、右下隅を生き、右辺も白地にする獅子奮迅の立ち回りを見せました。
白が相当挽回したように思えます。
流石人類代表、容易に土俵を割りません。

しかし、これもAlphaGoの計算の範囲内だったのでしょうか。
黒△が白〇の一団を狙う厳しい手です。
どうやら形勢好転には至らなかったようで、この後は確実に逃げ切られてしまいました。

コミ7目半の対局は高いレベルでは白有利、というのが私の持論ですが、それは落ち着いた展開になれば最後に7目半が物を言うからです。
今回は急戦になり、むしろ黒のペースになってしまいましたね。

柯潔九段はこの碁の内容に不満だったようですが、仕方ないことです。
毎回納得のいく碁を打つことは、人間には不可能なのですから・・・。
棋譜だけで柯潔九段の気迫が伝わって来る、良い三番勝負だったと思います。


そして、もう1つビッグニュースがあります。
AlphaGo同士の対局棋譜が公開されるそうです!
毎日10局ずつ、計50局が公開されるとのことです。
既に10局公開されており、さらっと手順を追ってみましたが・・・。
異次元の碁ですね、これは・・・。
もはや強いとか弱いという次元ではなく、何をやっているのかサッパリ分かりません。
棋譜はここで公開されています。

一つだけ確認できたことは、AlphaGoが完璧ではないということですね。
10局中、白番8勝で白番有利を感じさせますが、それでも2局は黒が勝っています。
引き分けが無い以上、もしミスが0ならばどちらかの手番が全勝するはずです。
まだ囲碁の必勝法は見付かっていません・・・囲碁は深すぎるので、当たり前のことですが。
生きているうちに棋士がAIに負けるとは思っていませんでしたが、囲碁の必勝法が解明されることは無さそうです。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

中国チーム対AlphaGo

2017年05月26日 23時58分20秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は珍しく、五反田の教室にお客さんが4人もいらっしゃいました。
お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
しかし、これが普通と言えるようにならなければいけませんね。

さて、本日は柯潔九段は休養日ですが、別の対局が行われました。
①中国チーム対AlphaGo
3人寄れば文殊の知恵と言いますが・・・。
何と、中国トップ棋士5人がチームを組み、相談碁でAlphaGoと対決!
私がかねてから見てみたいと思っていた企画です。

AlphaGo対AlphaGo!?
古力九段とAlphaGo、連笑八段とAlphaGoがそれぞれペアを組んでのペア戦!
変則的な形式ながら、AlphaGo同士の勝負が見られる貴重な機会です。

どちらも興味深い内容でしたが、ペア戦の方は、まず一手一手を誰が打ったのか確認しなければいけません。
時間がかかりそうなので、感想はまたの機会にします。
本日は中国チーム対AlphaGoの対局を振り返ってみましょう。





1図(実戦白42)
はい、いつものです(笑)。
この碁は黒に大きな模様ができにくい碁なので、三々に入って手っ取り早く荒らしてしまうという打ち方は分からないでもありません。
とはいえ、ほとんどの棋士は上辺を意識して、AのカカリかBの締まりを選ぶでしょうね。





2図(実戦黒57~白60)
黒1で上辺白の攻めを狙いました。
それに対して、白2と捨てるかと見せかけて白4!
本局で一番驚いた打ち方でした。
支離滅裂のようですが、白Aの切り狙いを作ることによって、上辺白の凌ぎを楽にしていると考えられます。
何となく本因坊道策風の打ち回しと感じました。





3図(変化図1)
この後黒1なら、白2、4の予定でしょう。
白AとBの切りが見合いで、どちらかを切れれば白が十分戦えそうです。





4図(変化図2-1)
2図白2で、単に白1は誰もが思い付く手段です。
これには黒2、4と応じられ、白が一方的に攻められそうです。





5図(変化図2-2)
この後白1の割り込みには、黒3ではなく2と押さえられて手が出ません。
白3、5と無理矢理切ったとしても白の形が悪く、上辺白がますます危険になるだけです。





6図(実戦黒61~白64)
2図の後はこのように進行しました。
黒1、3のポン抜きができましたが、この碁は上辺以外に白の弱い石が無く、働かせどころが難しいのです。
上辺で形を作った白が成功したと考えられます。

最後はいつものように細かくなりましたが、やはり勝ちはないとみて中国チームが投了しました。
打倒AlphaGoの目標は、柯潔九段に託されました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

柯潔九段ーAlphaGo 第2局

2017年05月25日 21時55分15秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は柯潔九段とAlphaGoの三番勝負、2局目が行われました。
結果は155手でAlphaGoの黒番中押し勝ちとなりました。
それでは、今回も私の印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(実戦白20)
左下隅で、何とMasterが三々打ち!
60番碁では1局も見られませんでしたが、心境の変化でしょうか?(笑)

そして、白△のノゾキは軽いジャブのような手です。
黒Aとつないでくれれば僅かに得ということです。





2図(実戦黒21~25)
そこで、黒としては素直につながず、1と反発することも考えてみたいところです。
ただ、Masterはその後が違いました。
白2に黒Aの伸びではなく、黒5の飛び!
見るからに穴だらけで、人間の感性では思い付き難い手です。
黒は危なそうですが、黒3の切りを入れておくことで支えているとの読みがあります。

黒Aの伸びも黒5の飛びも、白Bと切られると黒△が取られることは同じです。
あえて取らせて外勢を築く作戦なのですが、黒5の方がより良い形を作れるというのです。
打たれてみればなるほどと思えます。





3図(実戦黒53~白56)
黒1、3は気付き難いですが手筋です。
次に白Aなら黒Bから左下隅と連絡できますし、黒Cの傷も残ります。

しかし、その瞬間に白4とは鋭い!
黒が隅を受けていると、下辺と連絡できなくなるという訳ですね。
流石柯潔九段という切り返しです。





4図(実戦黒73~白76)
その後黒1、3と打ち、次に白Aと切れば黒Bと取って大コウが発生します。
そのためにコウ立てを作りに行く白4・・・。
この碁はここから複雑怪奇な戦いが繰り広げられます。
もしAlphaGoが李世ドル九段と対局した時のバージョンだったら、恐らく柯潔九段が勝ったでしょう。





5図(実戦白118)
118手目を打った時点です。
大雑把に言えば、黒a~dの集団と白a~dの集団が複雑に絡み合っています。
しかも左下隅のコウが未だ残っており、黒✖か白✖、どちらかの石が死ぬ可能性大です。
形勢も分からなければ、次の一手も分からない、そんな場面ですが・・・。





6図(実戦黒119)
黒△の並びが止めの一撃!
次に黒Aで左下白△を、黒Bで白〇を攻める手を見合いにしています。
まるで初級者が打つような一手ですが、これで勝負は決まりました。



前回は半目、今回は155手で中押し・・・ということで、前回は接戦、今回は惨敗と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際は全く逆です。
AlphaGo相手に形勢不明の戦いを長く続けた、柯潔九段の残念譜と言えるでしょう。

今回、AlphaGoは自分から仕掛ける場面が多く、柯潔九段としてはチャンスがあると感じたのではないでしょうか。
レベルの高い対局ではコミ7目半の負担は重く、AlphaGoも例外ではないのかもしれません。
3戦目は柯潔九段が自ら申し出て、白を持って対局することになりました。
27日(土)の対局を楽しみに待ちたいと思います。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加