白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
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攻めの方向

2017年06月30日 23時57分24秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は余正麒七段芝野虎丸三段がDeepZenGoに勝ちました。
当初は全く勝負にならなかったですが、段々勝率が上がって来ましたね。

先日の五反田の教室には、仙台からのお客様がいらっしゃいました。
ネットで宣伝しているので、遠方の方にも何かの折にお越し頂けることがあります。
過去には大阪や福岡からのお客様もいらっしゃいましたが、次はどんな所からお越し頂けるでしょうか?
こんなことも教室運営の楽しみの1つになっています。
さて、本日は指導碁を題材にします。



1図(テーマ図)
5子局です。
ここまで黒に全く悪手がありません。
白△と構えたものの、この白はまだまだ弱い石です。
黒はどんな方針で攻めますか?

具体的な着点は色々と考えられるので、ここではAとBに限定しましょう。
どちらが正しい攻めの方向でしょうか?





2図(失敗図)
実戦は黒1~5と、左側に蓋をしました。
しかし、これは方向違いで、白4~6と広い方向に頭を出されてしまいました。
白8と三々に入る余裕まで生じ、黒は攻めでポイントを上げる事に失敗しました。





3図(正解図)
右下一帯が黒の大きな財産なので、それを育てながら白を攻める、黒1などが正しい攻めの方向です。
ポイントとなるのは左上黒の強弱判断です。
白2、6と頭を出されて心配なようですが、黒7と渡ってしまえば何の問題も無いのです。
こうなると、むしろ白がダメ場を走ったことが感じられるでしょう。
後に黒Aなどの攻めも残り、黒の必勝形です。

せっかく良い布石を築いていても、攻めの方向を間違えてチャンスを逃してしまうことはよくあります。
数手先をイメージしてから方向を決めるように心がけたいですね。
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本日の対局

2017年06月29日 21時17分47秒 | 対局
皆様こんばんは。
DeepZenGoの連勝が、ついに途切れましたね。
勝ったのは西健伸二段大西竜平二段です。
今回は死活などの部分戦の甘さが表れた印象でした。

さて、私は本日対局がありました。
相手は宮崎龍太郎七段です。



1図(実戦)
私の黒番です。
白1の両ノゾキから、黒△を切り離しに来られた場面です。

戦いが始まりそうな場面は非常に重要であり、そこで正しい判断ができるかどうかが、後の展開を大きく左右します。
この場面で考えるべきことは、まず黒〇の勢力が大きな財産であり、これを活用しなければならないということです。
もう1つは、左下は白〇が待っているので、ここで戦っても黒は苦しくなるだろうということです。





2図(実戦)
という訳で、白にお付き合いせず、黒1などと右上一帯を広げるのが自然です。
白2、4と取り切ってくればさらに黒5あたりに回り、赤で囲った一帯が黒の巨大な勢力圏になります。
もしこうなるなら、黒十分の展開でしょう。
私の第1感(最初に浮かんだ手)もこちらでしたが・・・。





3図(実戦)
実戦は黒1と押さえてしまいました。
石数が少なくても、この後黒Aと出て行けば何とかやれるような気がしてしまったのですが、実際に読んでみると良くなる図が見えません・・・。





4図(実戦)
そこで止む無く、左辺で生きる展開に・・・。
しかし、白8と中原の絶好点に回られては、一瞬にしておかしくなりました。
黒△が弱くなり、右上一帯の黒勢力の輝きが失われ、逆に赤で囲ったあたりが白の勢力圏になろうとしています。
プロにあるまじき非行に走ってしまいました。

苦しい碁になりましたが、後に勝負手が奏功して辛勝しました。
運は良かったですが、反省の多い1局でした。
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マネ碁

2017年06月28日 23時59分56秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
DeepZenGo、やはり強いですね。
幽玄の間で最後に負けて以来、21連勝しています。
今22局目が行われていますが、その対局も勝ちそうです。

DeepZenGoの打ち方は従来と比べて本当に無理が無く、Masterと似たような勝ち方をしている印象です。
やはり碁の真理に近付こうとすると、打ち筋も似て来るのでしょうか・・・。

さて、AIの弱点は何かと考えた時に、まず思い浮かぶのはマネ碁対策はどうなのか? ということです。
碁盤は上下左右が対称になっていますから、相手の初手には殆どの場合対称点が存在します。
そして、初手に対称点、3手目にも対称点・・・と延々と真似を続ける戦法がマネ碁です。

マネ碁は、現代では主に白番で用いられます。
真似を続ければ盤面では差が付かず、最終的にはコミが物を言うという訳です。
一般的にマネ碁は面白くないと思われていますし、対策があるので勝率も良くありません。
最近のプロの対局では絶滅しかけています。

それはそれとして、AIに対してマネ碁を仕掛けたらどう対応して来るのか?
というのは、興味深いテーマです。
Masterに対しては周俊勲九段が試みていますが(未紹介)、その対局は周九段の黒番でした。
そして今回、六浦雄太三段がついに白番で試しました。
中国の「絶芸」に対しては既にマネ碁戦法が試みられているようですが、果たしてDeepZenGoの対策は?



1図(実戦)
左下白△まで、明らかにマネ碁です。
この後黒Aなら白B、黒Cなら白Dという訳です。
マネ碁作戦には色々ありますが、DeepZenGoが選んだのは・・・。





2図(実戦)
黒1の天元打ち!
天元は碁盤の中で唯一対称点が無い中心点です。
ここに打てば相手は真似することができず、マネ碁は破れます。

最も簡単なマネ碁封じですが、この段階で打ったのは驚きです。
というのは、マネ碁を封じれば碁に勝てるとは限らないからです。
この後は通常の碁が進むことになりますから、天元の石が働かなくなり、黒が非勢に陥る可能性も十分にあります。





3図(実戦)
その後、黒1と抜いた場面です。
ここで、仮に黒△の石が無くなる代わりに、もう1手黒が打てると仮定してみましょう。
その場合、果たして黒△に打つでしょうか?

ほとんどの棋士は、黒Aなどの右下方面や、黒Bなどの左下方面に向かいたくなるでしょう。
つまり黒△はベストの位置とは思われず、マネ碁は有効なのではないかとも考えられるのです。
ただし、結果はDeepZenGoが当然の如く勝ち・・・。
天元打ちに十分な価値があるということなのか、DeepZenGoが強すぎるのか?
謎ですね・・・。
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引っ越し

2017年06月27日 23時59分59秒 | 日常
皆様こんばんは。
昨日は更新をお休みしました。
ここ数日は非常に忙しく、睡眠時間も十分に取れない状況でしたので・・・。
何と言っても、健康が第一です。
その原因の際たるものは何かと言えば・・。

本日、4年間住んだ中野から引っ越しました。
22歳で1人暮らしを始めて以来、これで5回目の引っ越しです。

住居選びの際、何を優先させるかは人それぞれですね。
かつて私は、対局場所である市ヶ谷の日本棋院までの距離を重視していました。
そこで、一時期は神奈川県の町田に住んでいました。

などと言うと、首都圏の地理関係を把握している方は、疑問符が浮かんでいる事でしょう(笑)。
町田は神奈川県東京都であり、新宿までも電車一本で行けますが、その割に家賃相場は物凄く安いです。
その分を利用して、対局前はいつも日本棋院に一番近い某ホテルに宿泊していました。
日本棋院まで、徒歩2、3分でしょうか?
遠いようで実は近い・・・哲学的ですね(?)。

朝の弱い私は、1分でも多く睡眠時間を確保し、そして1局でも多く勝とうとしていました。
お金も無いのに、よく頑張っていたものです。
当時は今とはまた違う意味で必死でした。

棋院にそこそこ通いやすい中野に移ってからは、その習慣は無くなりました。
というより、その習慣を辞める前提で選んだという方が正しいでしょうね。

そして今回は、中野から中延に引っ越しました。
名前はちょっと似ていますが、さらに日本棋院から離れています。
今回重視したのは、五反田までの距離です。
何しろ週に6、7日いますから、近くに住むのが合理的というものですね。

引っ越しは人生の一大イベントであり、毎回様々な思いが浮かんで来ます。
今回最も強く感じたのは、自分の変化ですね。
碁を強くなることだけ考えてこの世界に入った私が、対局以外のことを第一にしている・・・。
10年余りの歳月の重みを感じます。
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先日の対局

2017年06月25日 23時29分43秒 | 対局
皆様こんばんは。
DeepZenGo、なかなか負けませんね。
しかし、ダメになるパターンは大体見えて来ましたから、対策も立てられていくでしょう。
次は誰が勝つでしょうか?

さて、本日は先日の対局を振り返ります。
相手は姚智騰四段です。



1図(実戦)
私の白番です。
黒1と構えられて右辺が大きくなりそうなので、割って行きたい場面です。
その着点としては、白Aならごく普通です。
基本的に割り打ちは3線が良いとされているからです。
この事情については、著書「やさしく語る 布石の原則」でも解説しています。

ですが、実戦は白1と4線に割り打ちしてみました。
安定感に乏しい割り打ちですが、中央を意識した趣向です。





2図(実戦)
白6と開いたものの黒7と詰められ、黒Aのスベリが残って根拠が心配です。
攻められる可能性があるので、アマの皆さんにおすすめはしていません。
ただ、これには具体的な構想がありました。





3図(実戦)
白1を利かし、左辺白3と打ち込みました。
黒16までは容易に想定できるので、続けて白17とMaster風に肩ツキ!
右辺で治まるのではなく、白△を中央での勢力圏争いに活用する構想でした。





4図(実戦)
黒1~5と応じられ、黒地ばかり増えて行くようですが、将来性で勝負するつもりです。
赤で囲った地域は地になる可能性が高いですが、黒の全体の地に比べれば大したことはありません。
しかし、白AやBに回れば、青のラインがつながり、巨大な勢力圏ができるかもしれません。

勢力圏に対する意識の重要性は、「やさしく語る 布石の原則」での肝ですが、本の執筆の間に私自身の碁も少し変わったかもしれませんね。
これが結果に結び付くと良いのですが・・・。

そう簡単には勝たせてくれないのがプロの世界ですから、難しいかもしれません。
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