白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

幽玄の間

2018年05月31日 23時48分49秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の対局日です。
本日も多くの対局が幽玄の間で中継されました。
その中から、私の印象に残った対局をいくつかご紹介してみましょう。



1図(小山-結城戦)
小山空也四段(黒)と結城聡九段の対局です。
黒△まで、包囲網を完成させました。
白△は一体どうなってしまうのか!?
この後、生き死にを巡って両者必死の戦いが繰り広げられました。





2図(鈴木-王戦)
鈴木歩七段(黒)と王銘エン九段の対局です。
黒×と白×の競り合いの状況に見えますが、ここから王九段が強烈パンチを放ちます。
それはどこでしょうか?





3図(安達-趙戦)
安達利昌五段(黒)と趙善津九段の対局です。
白△と伸びられた場面、黒は△と×の2つの弱い石があり、苦しそうな形勢に見えます。
しかし、安達五段も黙ってはいませんでした。
ここから、得意の読みを生かして反撃に出ます。





4図(姚-高尾戦)
姚智騰四段(黒)と高尾紳路九段の対局です。
こんな布石も今では全く驚かなくなりました。
次に左辺が大きく感じるのは、全棋士に共通した感覚でしょう。
それは姚四段も同じだと思いますが、実戦は独特の打ち回しを見せてくれました。


これらは全て予選の碁なのですが、このまま埋もれてしまうのは勿体ないと思います。
皆様、ぜひ幽玄の間で棋譜をご覧ください。
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LG杯2回戦結果

2018年05月30日 23時58分12秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日はLG杯2回戦が行われましたが・・・。
芝野虎丸七段は、朴廷桓九段に完封されました(恐らく)。
朴九段が全体的にさらさらと打ち回し、勝負所ではしっかり読み切って勝ちを決めたと思います。
理想的な勝ち方で、流石のものでした。

また、一力遼八段も姜東潤九段に敗れました。
今回、韓国勢はベテランが頑張っている印象ですね。
姜九段もその一人です。
もっとも、ベテランといってもまだ29歳ですが・・・。
近年は「若手」の定義がだいぶ変わっています。



1図(テーマ図)
姜九段(黒)と一力八段の対局です。
黒△と詰められ、白△が弱体化しました。
囲碁における有名な原則として、弱い石から動くというものがあるので・・・。





2図(変化図)
白1、3と飛べば自然なようですが、黒2、4と追撃されると、自然と下辺の白模様が痩せていきます。
黒Aの動き出しも厳しくなりそうですね。
プロはこのような、相手だけに都合の良い展開は許さないものです。





3図(実戦)
そこで、一力八段は白1と、下辺から動きました。
原則に従っているだけではプロの碁ではありません。
黒2を待って、それから白3、5と動き出しています。
下辺も左辺も両方頑張ってしまおうという、ある意味では欲張った打ち回しですね。
一力八段らしい、積極戦法と言えるでしょう。

途中まで一力八段が順調に打ち回しているように見えたのですが、どうだったのでしょうか・・・。
結果は残念でした。
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大局観

2018年05月29日 22時06分22秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
最近、思わぬ形で人にご迷惑をおかけすることがありました。
気配り不足というか、想像力不足というか・・・。
反省です。

さて、本日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行いました。
お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
また、有楽町まで出向いたついでに、「やさしく語る 碁の大局観」が書店に並んでいるかもチェックしてきました。
「有楽町囲碁センターの売店は・・・おっ、あるある。」
「交通会館内の三省堂は・・・おお、こちらもなかなか目立つ場所に!」
といった感じです(笑)。
本職の作家やライターではないので、どうしても浮かれ気味になりますね。

さて、本日は指導碁の棋譜を題材にしましょう。
テーマは大局観です。



1図(テーマ図)
白△と滑った場面です。
ここで、定石はどうなっていたかを考えるのは二の次です。
大事なのは、状況がどうなっているかです。
確認してみましょう。

黒△は根拠の無い、弱い石です。
白×も同様で、こちらも弱い石です。
黒×は根拠があって強い石です。

これらの情報をしっかりと認識すれば、目指すべき方向は自然と見えてきます。





2図(正解)
黒7まで、上辺に向かうのが自然な打ち方です。
左上黒が強くなり、白△はますます弱くなりました。
左辺の黒地は減りましたが、石の強弱には影響がありません。





3図(実戦)
実戦は黒1から、赤印の地域を黒地にしようとしましたが、方向違いです。
元々強い左下隅から地を増やすことにはあまり意味が無いのです。
左辺に力を入れている間に、上辺黒が弱くなってしまいました。

アマの皆様と対局していると、こういった場面は頻繁に現れます。
そして、黒は気が付かないうちに大きなポイントを失っていきます・・・。
大局観は大切ですね。
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LG杯、開幕!

2018年05月28日 23時33分52秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
昨日の記事で「やさしく語る 碁の大局観」の誤植等の情報を募集しましたが、早速色々と見付かっているようです。
嬉しいやら悲しいやら・・・(笑)。
なお、売れ行きはかなり好調と聞いています!

また、明日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行います。
皆様のお越しをお待ちしています。
本へのサインなども、お気軽にお申し付けください。
ちなみに、今回用意した言葉は「大局観」です。
そのままですね(笑)。
でも、たまにはこういうのも良いでしょう。


さて、本日はLG杯本戦が開幕しました。
日本からは4名が出場し、一力遼八段と芝野虎丸七段が2回戦に進出しています。
井山九段と伊田八段は残念でした。
特に伊田八段は、途中形勢が良いのかと思って見ていたのですが・・・。

それでは、芝野虎丸七段と唐韋星九段(中国)の対局をご紹介しましょう。
唐九段は25歳、世界戦で複数の優勝経験があるトッププロです。



1図(テーマ図)
芝野七段の黒番、白△とノゾキを打たれた場面です。
黒Aとつなげば、白Bと頭を出して競り合いに持ち込もうとしていますが・・・。





2図(実戦)
黒△と反撃したのは、いかにも芝野七段らしい鋭い手だったと思います。
少し前に黒×と白×を交換した意味が分からなかったのですが、こうなってようやく理解できました。





3図(変化図)
白1なら、黒2と出る狙いが生じるということだったのですね。
なるほど・・・。





4図(実戦)
結果、黒△に回って白×を閉じ込める形になっては黒成功でしょう。
この後も難しい戦いが続きましたが、芝野七段独特の力強い打ち回しで乗り切りましたね。


芝野七段は先日、日中竜星戦で世界最強クラスの柯潔九段を破りましたが・・・。
海外を中心に、柯潔九段が不調だったという論調をよく見かけました。
「そうじゃない、芝野七段が強いんだ!」と思っていたのですが、今回の勝利を見て安心しました。

そして、芝野七段は2回戦で朴廷桓九段(韓国)と対戦します。
朴九段も世界最強の一角と目される棋士です。
くじ運が悪いとも言えますが、個人的には喜んでいます。
芝野七段の力が、どこまで通用するでしょうか?
非常に楽しみな1局です。

なお、LG杯2回戦は明後日、30日に行われます。
1回戦同様、幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください!
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「やさしく語る 碁の大局観」へのご指摘・ご質問募集

2018年05月27日 23時23分35秒 | 著書の誤植等について
皆様こんばんは。
本日は「やさしく語る 碁の大局観」の間違い等をお知らせしたいと思います。





<50ページ5図2行目 ×などが 〇などの>
1つ目はここです。
日本語がおかしくなっていますね。





<62ページ16行目 ×もう相手 〇相手>
2つ目、「もう相手も」という謎の日本語・・・。
最初「もう一方」としていたところを、「相手も」に変えようとして、「もう」が残ってしまったのでしょう。
こんなミスをしたのは誰かと思っていたら、自分の作ったファイルに証拠が残っていました。





<78ページ見出し ×根拠を奪う 〇根拠を奪って攻める>

3つ目は誤植ではありませんが、少しおかしなところです。
63~64ページではテーマの名前が「根拠を奪って攻める」となっているのに、78ページでは「根拠を奪う」となっており、統一されていません。





<122ページ6図 余計な石がある>
4つ目は図の間違いです。
右上で2間開きしている黒石は、本来存在しません。





<135ページ下段左から2行目 ×考えかた 〇考え方>
5つ目はちょっとしたミスです。
全体では「考え方」で統一されていますが、ここだけ「考えかた」と平仮名になっています。





<166ページ1図 ×実戦白~ 〇実戦白1~>
6つ目はここで、正しくは白1です。


以上6つが、私が見付けた修正すべきと思われる点です。
今回、大きなミスは少なく済んだのではないでしょうか。

もっとも、数千人の読者の目に触れれば、新たな問題点も浮かび上がるでしょう。
そこで、もし何か発見された方は、当記事のコメント欄やメール、SNS等でお知らせ頂ければ幸いです。
また、内容そのものについてもご質問も募集いたします。
合わせてよろしくお願いいたします。

なお、ご指摘頂いた問題点については、随時この記事に反映いたします。

<追記>
上記のものも含め、読者の皆様から様々なご指摘を頂いております。
その中でも、明らかなミスである点を以下にまとめておきます。

まえがき5行目 ×「ったのは」 〇「ったのでは」 
11ページ12行目 ×「見に付けば」 〇「身に付けば」
23ページ下段11行目 ×「協調」 〇「強調」
48ページ下段1行目 ×「根拠を作り場所」 〇「根拠を作りやすい場所」
50ページ5図 ×「などが」 〇「などの」
62ページ16行目 ×「もう相手」 〇「相手」
78ページ ×「根拠を奪う」 〇「根拠を奪って攻める」
122ページ6図 右上2間の黒石は無い
150ページ 上段1行目 ×置き碁 〇碁
157ページ3図 手順の白25は白35の間違い
166ページ1図 ×「実戦白~」 「実戦白1~」
168ページ下段2行目 ×「4図) 〇「5図)
173ページ ×「白62~白85」 〇「黒62~白85」
194ページ5図 ×「中央が大きい局面」 〇「白順調」
202ページ2図 図の説明が無い。本来「足早に中央進出」と書くところ
204ページ 白87~90の手順が間違っている(201ページの手順が正解)
210ページ ×「白41~49」 〇「白41~白49」
217ページ 手順図の黒41は黒40が正しい
コメント (12)
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