白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
著書「やさしく語る 碁の本質」「やさしく語る 布石の原則」発売中!

七冠制覇

2017年10月17日 22時08分30秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は名人戦第5局の2日目が行われました。
注目の封じ手は・・・。



1図(封じ手)
白△でした!
ようやく当たりました!
と言っても、今回はプロにとってはサービス問題でしたね。

この手は、要石の白×を助けながら次に黒×を取るぞと脅しをかけた手です。
黒としては、その脅しに屈して生きるようでは形勢が悪いので・・・。





2図(実戦)
左上黒17子を捨て、その代わりに中央を制圧する道を選びました。
この進行は予想していましたが、井山挑戦者としては止むを得ず選んだ道かと思っていました。
中央でできたポン抜きも素晴らしいですが、何と言っても左上黒の取られ方は大きく見えます。





3図(実戦)
しかし、黒△となった場面を見ると評価が変わりました。
上辺は黒×が白地に大きくめり込んでいますし、中央白×は攻撃目標にされています。
こうなっては黒有望でしょう。

苦し紛れの捨石作戦と思っていましたが、これが井山挑戦者の予定通りだったとしたら・・・。
我々とは別の次元で碁を打っているとしか思えませんね。

この後高尾名人も粘り、勝負形に持ち込んだそうですが最後は井山挑戦者が勝ちましたね。
これで4勝1敗で名人位を奪取、2度目の七冠制覇を達成しました。
シリーズ全体の内容的は互角と思えましたが、勝負所での強さが勝敗を分けたでしょうか。
昨年の七冠達成時も凄まじい強さだと思いましたが、さらにレベルアップした感があります。
この勢いで世界戦優勝も達成して欲しいですね。
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封じ手予想

2017年10月16日 22時50分44秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は所用で日本棋院に行きましたが・・・。
会館内が女性ばかり!
それもそのはず、本日と明日は女流アマの都市対抗戦でした。
全国から集まった女性の人数は600人以上とのことです。
日本棋院とは思えない華やかさがありましたね(笑)。

むさい男は早々に退散しなければいけないと思いましたが、ブログや著書の読者の方数名からお声がけ頂きました。
ありがとうございます。
ほんの少しだけ有名になったかもしれません(笑)。


さて、本日は名人戦第5局の1日目が行われました。
井山挑戦者が七冠達成まであと1歩と迫っていますが、高尾名人としては何とか踏ん張りたいところですね。



1図(テーマ図)
黒△とつないだ場面に注目しました。
左上黒に眼がありませんが、白もAに傷があるため、取りには行くのは無理です。
そこで・・・。





2図(実戦)
白1とつないで、どうぞ生きてくださいと打つのが一般的なプロの打ち方でしょうか。
黒6までの生き方は一例ですが、何にしても白が先手を取って白7に回れそうです。
赤印のあたりが白模様になるので、魅力的な構図と感じます。

ただ、高尾名人は左上白△一団の守りが不十分と考えたのでしょう。
確かに、場合によっては黒Aあたりから攻められる可能性もあります。



3図(実戦)
そこで、高尾名人は白1の方をつなぎました。
これではAの傷が守れていないので、後手を引いて黒2に回られてしまいます。
しかし、白3ともう一手かければ上辺の白は非常に強くなるので、こちらを優先したのですね。
模様よりも石が厚いか薄いかを優先する、いかにも高尾名人らしい打ち方だと思います。
このようにあえて後手を引くような打ち方が、本シリーズでは何度か見られましたね。





4図(封じ手予想)
黒△とハネたところで封じ手となりました。
この局面を見て、封じ手が全く当たらない私にチャンスをくれたのかと思いました(笑)。
これは白△とハネ返したいですね!
大本命の一着だと思います。

この後の進行予想ですが、黒は思い切って×17子を捨てるような気がします。
明日が楽しみですね。
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世界一への挑戦

2017年10月15日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
おかげ杯は日本チーム残念でしたね。
一方的に押しまくられているようには見えませんが、やはり決定力の差でしょうか。
また、初戦韓国に完封負けを喫した中国が、決勝では4勝1敗と言うのも不思議な結果でした。
勝負は蓋を開けてみなければ分からないと言いますが、本当ですね。

さて、昨日は見損じしていましたが、おかげ杯と並行して利民杯も行われていました。
そして、本日は大西竜平三段が柯潔九段に挑戦するという大注目の1局が実現!
何故世界一の柯潔九段が若手棋戦に出ているのかと思ってしまいますが、まだ20歳とは・・・。



1図(実戦)
柯潔九段の黒番です。
いきなりの三々入りは、柯潔九段にとっては平常運転です。
これがもしAlphaGoの登場前だったら、新鋭棋士に余裕を見せ付けた一着とでも言われるでしょうね。





2図(実戦)
黒△と打ち込まれた場面です。
黒×が弱い石なので、白×は要石です。
当然助け出して戦いたくなりますが・・・。





3図(実戦)
白1、3とあっさり白×を捨て、白5に転戦!
左辺黒への攻めを放棄して勿体無いように感じますが、大西三段らしい柔軟さですね。
他の有望視されている若手と比べても、異質な打ち筋と感じます。
プロレベルでも多種多様な打ち方が成立することは囲碁の魅力の1つですね。

現在の若手は、格上に対しても全く物怖じしません。
大西三段も柯潔九段に対して、自分流を貫いて戦ったと思います。
私のレベルでは形勢判断が困難な碁でしたが、善戦したという評判が聞こえて来ます。
最後は世界一の壁に阻まれましたが、大西三段には最高の経験になったことでしょう。
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おかげ杯国際対抗戦

2017年10月14日 20時31分35秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は第4回おかげ杯国際精鋭囲碁対抗戦の1日目が行われました。
おかげ杯の成績上位者3名+女流棋士2名で日本チームを組み、中国、韓国、台湾チームを招待して対抗戦を行うというものです。
世界で活躍する棋士も多く、日本の若手にとって貴重な機会でしょう。

1日目は、日本チームが韓国と台湾を破って2連勝!
暫定トップに立つ健闘を見せています。
ただ、明日の中国戦に勝たないと決勝戦は打てないかもしれません。
厳しい相手ですが、なんとか頑張って欲しいですね!

さて、今回は村川大介八段と李映九九段の対局をご紹介します。
相手は九九段みたいで物凄く段が高そうですね。
しかし、かつて日本には三七一七段という空前の高段者が存在したという事実が・・・(笑)。



1図(テーマ図)
村川八段の黒番です。
白△と打たれた場面ですが、普通に打っていると白地が赤印の線でまとまってしまいそうです。
死に切っていない黒×を活用して、なんとか踏み込みたいところですが・・・。





2図(実戦)
実戦は黒9まで、鮮やかな捌きを見せました!
白△の動きが不自由ですし、白×の一団も急に心細くなって来ました。





3図(実戦)
しばらく進み、黒△と打った場面です。
白はなんとか右辺を守り切ったものの、上辺白が風前の灯火です。
勝負あったという印象です。

本棋戦の対局は全て幽玄の間にて中継されています。
若手の奮闘ぶりを、ぜひご覧ください。
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10月の情報会員向け解説

2017年10月13日 23時39分10秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
明日は午後1時から永代塾囲碁サロンにて講座・指導碁を行います。
ご都合の合う方はぜひお越しください。
ちなみに、お昼はメイド喫茶イベントを行っているそうですが・・・。
囲碁サロンの看板が怪しくなって来た気がします(笑)。


さて、本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回

棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。
・・・過去の記事一覧を並べるのも、そろそろ鬱陶しくなって来ましたね(笑)。
解説を担当するようになってから、既に1年半以上経過しました。

今月は第65期王座戦本戦 芝野虎丸三段余正麒七段
第36期女流本因坊戦準決勝 謝依旻女流棋聖木部夏生二段
の2局を解説しました。
今回は芝野-余戦の解説の一部をご紹介しましょう。
また芝野かと言われてしまいそうですが・・・。



1図(テーマ図)
いつも通りの「Kiin Editor」キャプチャー画面です。
余七段の強手から・・・。





2図(実戦進行)
このように進行しました。
何が何やら分からないような感じですが、必然性のある進行なのです。
それでは進行の意味を解明して行きましょう。





3図(実戦)
黒1「ボウシに対しては曲げがプロの感覚です。」

まず、この曲げがプロの碁を理解するためには非常に重要です。
似たような形ができると、プロは99%ぐらい曲げている気がします。
何故なら・・・。





4図(参考図)
アマの皆さんは、前図黒1で本図黒1と打つ方が多いですね。
これは高段者にも当てはまります。

「黒1はどちらの白にも響かず、あまり考えたくない手です。
白4以降、一方的に攻められそうです。」


黒1は決して悪手ではありません。
しかし、プロが共通して物足りなさを感じる手なのです。
この感覚を身に付けるのはなかなか大変ですが、そういうものだと知っておくだけでも、プロの碁を理解しやすくなるでしょう。





5図(実戦)
実戦に戻ります。

黒2「曲げとセットの手筋です。
ボウシすれば、ここまで想定できますが・・・。」

白3「ここで割り込みが成立すると読んでいました。」

黒2で3のところに打つ手は、空き三角の形になるのでよくありません。
また、黒2でAとハネる手は無理です。
それぞれ参考図で解説していますが、ここでは省略します。

白3とは強引なようですが、こう打たなければならない理由があります。
それも参考図で解説しているので、ご覧頂きましょう。





6図(参考図)
前図白3で本図白1と引いた場合の図です。

「ここで白1と伸びるようでは、黒2が有名な好形です。
黒AやBの後続手段があり、かえって黒を強くした結果になってしまいます。」


黒△の石から、カケツギの形で進出するのは有名な好形です。
有名と言っても、呼称は定まっていないと思いますが・・・。
それはともかく、この形もまた非常に重要です。
この形が好形であることを覚えておくと、プロが相手にこの形を作らせまいとしていることも把握しやすくなるでしょう。
もちろん、皆様自身の対局にも役立ちます。





7図(実戦)
実戦に戻ります。

黒1「取られては終わりなので、黒は逃げ出します。」
黒5「これで黒AとBが見合いになるというのは、プロには簡単な読みです。」

では、黒AとBが見合いになっていることを参考図で確認しましょう。





8図(参考図)
白が7図Aの方を守った場合の図です。

「白1なら黒2で脱出できますし・・・。」

これは白の得た物が何も無い図ですね。
では、見合いのもう片方を打てばどうなるでしょうか?





9図(参考図)
白が7図Bの方を止めた場合の図です。

「白1には黒2と出て、逆に白を取れます。」

これも白がダメですね。
どちらの参考図もダメとなれば、白が困ったようですが・・・。





10図(実戦)
白1「しかし、ここで覗く手を見ていました。」
黒2「中央黒の脱出は許しますが・・・。」
白3「タケフに打って、AとBの切断が見合いです。
余七段らしい深い読みでした。」


テーマ図の時点から、9図まではプロなら簡単に読めます。
そしてテーマ図のボウシは無理だと諦めてしまいがちですが、余七段はその先まで読んでいたのです。
ここから黒B、白Aとなって戦いは続いて行きますが、その進行もある程度見通しは立っていたでしょう。


この碁は最初から最後まで全て見所と言って良いほど中身が濃く、解説者にも普段の倍ぐらい時間がかかりました(笑)。
大熱戦の模様を、ぜひ多くの方にご覧頂きたいと思います。

また、もう1局の謝-木部戦も大変熱い戦いでした。
来週の週刊碁で木部二段の講座がスタートするそうですが、そちらの題材にもなっているようですね。
ちなみに、木部二段の解説方法は視覚的に分かり易く、私も時々真似しています。
今後広まって行くのではないでしょうか。

なお、来月は
第43期名人戦予選A 富士田明彦六段対武宮正樹九段
第5期立葵杯予選 杉内寿子八段上野愛咲美初段

の2局を解説します。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
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