白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
著書「やさしく語る 碁の本質」「やさしく語る 布石の原則」発売中!

趙‐芝野戦

2017年10月12日 23時59分59秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の対局日です。
幽玄の間でも多くの対局が中継されましたが、その中でも一番人気は第43期名人戦最終予選、趙治勲名誉名人芝野虎丸七段の一戦でした。
対局の模様を軽くご紹介しましょう。



1図(実戦)
趙名誉名人の黒番です。
白△まで、いかにもじっくりした展開ですね。





2図(実戦)
黒△とカケツいだ場面です。
次に白Aなどと生きてヨセ勝負かと思われました。
ですが、ここから信じられないような展開に・・・。





3図(終局図)
なんとこれが終局図です。
核戦争でも起こったかのように地形が激変しています。
碁界のレジェンド対ホープの対決は、やはり平凡な内容ではありませんでした。

それにしても、芝野七段の心臓の強さは異常ですね。
一体どこまで読み切っていたのでしょうか・・・。
この対局に勝ち、名人リーグ入りまであと1勝に迫りました。
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今月の予定&DeepZenGo

2017年10月01日 22時48分46秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
まずは今月の主なお仕事をお知らせします。

10/2(火) 囲碁アカデミー級位者クラス
1週目は私の担当日です。
教室の流れとしては、
宿題解答・解説→皆様自身で問題を解く練習→大盤解説→指導碁または生徒さん同士の対局
となっています。
最近モバイルプリンターを買ったので、今後は指導碁の棋譜をその場でお渡ししていこうかと思っています。

10/8(日) ひらつか囲碁まつり
毎年恒例の一大イベントですね。
今年も指導碁を担当します。

10/13(金)、27(金) ユーキャン囲碁ネット指導碁
毎月第2、第4金曜日にネット指導碁を行っています。
14時~16時半の間に申し込み可能です。

10/14(土) 永代塾囲碁サロン指導碁
今回も13時から大盤解説を行う予定です。
題材は未定ですが、級位者向けの内容になるかと思います。
また、指導碁の後はその場で棋譜をお渡ししています。

10/24(火) 有楽町囲碁センター指導碁
基本的には毎月1回の当番です。
3面打ち指導碁を午前11時~、午後2時~、4時~、6時~の4回転行います。

外での仕事が無い日は、大体五反田で仕事をしながらお客様を待っています。
少しずつお客様も増えて来ましたが、軌道に乗るまではまだまだですね。


さて、本日はDeepZenGoの対局をご紹介しましょう。
幽玄の間での、新谷洋祐初段(黒)との対局です。



1図(テーマ図)
黒△といきなり肩ツキしました。
AIの影響で増えて来た手法です。
形の常識からすれば、白AかBですが・・・。





2図(実戦)
DeepZenGoは白1とコスミツケで引き籠ってから白3と押しました。
これはMasterと古力九段の対局にも現れましたね。
布石に関して、DeepZenGoとMasterには似た所が多いように感じています。
AlphaGo同士の自己対戦はまた別ですが・・・。

さて、この手は白Aなどの中央進出の余地を無くすので、この局面でも違和感を覚えます。
ただ、DeepZenGoの判断は・・・。





3図(実戦)
白1~5と切ってやれるとみています。
ただ、その根拠は気が付きにくいですね。
黒12と反撃され、一見白無理かと思えますが・・・。





4図(実戦)
要石の白△を捨て、白1、3と大場を2つ打って十分と見ています。
確かに、こうなってみると黒は中央に手がかかり過ぎている気もします。
まだ白△を取り切れている訳ではありませんし・・・。

白は力技で行くと見せかけて、足早作戦に転換しました。
碁は色々な打ち方がありますね。
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例のツケ

2017年09月30日 23時46分34秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は中央大学囲碁部の現役・OBの練習会がありました。
ほぼ毎月参加していますが、現役の成長に感心することもあればもどかしく思うこともあります。
どちらにしても、応援できる後輩たちがいるのは嬉しいことですね。

さて、本日は最近例のツケが打たれた碁をご紹介します。
幽玄の間で中継された、馬逸超五段(黒)-柯潔九段戦です。



1図(テーマ図)
黒1に対して白2、4・・・。
過去にはほとんど例の無い手でしたが、Masterの出現以来棋士の対局でも時々見られるようになりました。





2図(実戦)
そして、黒7までを交換しておいて、思い出したかのように白8、10へ・・・。
一体何をやっているのかという感じですね。
ただ、実は以前の棋士の対局でも、似たような展開は見られたのです。





3図(参考図)
このような布石で白1とツケる手が大流行しました。
これも突飛な手のようですが・・・。





4図(参考図)
黒9までを交換して白10に回る展開が、まるで基本定石かのように打たれたものです。
これは出来上がりの形こそ違いますが、石の流れは1図~2図とよく似ていますね。
しかし、同じことを目指しているにも関わらず、人間には1図~2図の打ち方はなかなか思い付きませんでした。
棋士は自由な発想で碁盤に向かおうとしていますが、それでも先入観が邪魔をすることはよくあります。
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DeepZenGo、1000勝到達

2017年09月27日 23時27分02秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
昨日は仕事が溜まっていたので更新をお休みしました。
元来怠け者なので、サボり癖がつかないように気を付けておきましょう。

本日、女流本因坊戦五番勝負が開幕しましたね。
見ているだけでもヘトヘトになりそうな難戦でしたが、両者のしつこさ、粘り強さには感心しました。
流石勝負慣れしているだけありますね。
第2局以降も競った勝負が見られそうです。

さて、もう1つは身内のお知らせです。
中大囲碁部時代の後輩が、地元で囲碁の研究会を開いています。
盛り上がっているようなので、この場を借りて紹介してみたいと思います。
ブログで紹介すると言ったところ、本人が紹介文を書いてくれました。

「20~30代の若手社会人を中心とした研究会です。
月1回程度、長野県松本市で活動しています。
初心者から高段者まで棋力を問わず楽しめる会です。
ぜひお気軽にご参加ください。」


とのことです。
それと、何やら写真を渡されまして・・・。



週刊碁の「囲碁ガール」コーナーに載っていた、この女性も参加してるよ! とアピールされました(笑)。
いかにも会が賑やかになりそうな雰囲気を醸し出していますね。

若い社会人は同世代と打つ機会が少ない、という話はよく耳にします。
そんな方々が気軽に打てる場所が増えれば、囲碁界全体も盛り上がることでしょう。

よね研ホームページ→https://nxxcd140.wixsite.com/mysite/
よね研ブログ→http://blog.goo.ne.jp/rahmen2


さて、本日は久しぶりにDeepZenGoの対局をご紹介しましょう。
DeepZenGoは幽玄の間にて、雨の日も風の日も対局を続け・・・。
とうとう1000勝突破しました。
最新の通算成績は、1059勝40敗・・・。
棋士側も慣れて来てはいるでしょうが、それ以上にDeepZenGo自体が強くなっているようですね。



1図(テーマ図)
山城宏九段(黒)との対局です。
白1まではよくある布石ですが、白3、5とハメ手風? の打ち方です。
続いて黒Aの切りはあまり良い結果にならないので・・・。





2図(実戦)
黒1、3とかわすまでが1つの定型ですね。
昔からある型ですが、一般的には黒良しと判断されていると思います。
お互いに△の石が悪手になっていますが、白の方が罪が重いとみられるのです。
しかし、白6と黒模様を制限する手がぴったりで、全局的には白が打てるという判断でしょう。





3図(実戦)
その後白1、3と連打しましたが、シチョウ当たりとしては当たりが弱い気がしないでもありません。
しかし、これで十分打てるという判断があるのでしょう。





4図(実戦)
後に白△と構えた場面ですが、この時点で正しく形勢を判断するためには、白×の存在価値を正しく判断する必要があります。
中央に壁を作っていますし、攻められそうもないので、これらが白にとってプラスであることは明らかです。
しかし、具体的にはどのぐらいの価値があるのでしょうか?
それはあまりにも難しい問題です。
上辺の黒地がどれぐらいなのか、右辺の白地がどれぐらいなのか、といったことなら想定図さえ作れれば計算できるのですが・・・。

結局のところ、人間には経験に基づくで判断するしかないでしょう。
一般的に、この勘の精度は強い人ほど高くなります。
そして、DeepZenGoはこういったところの判断力において、人間の最高レベルを大きく超えています。
人間の最も苦手な分野がDeepZenGoの得意分野という訳で、棋力に大きな差が付く原因になっています。
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新たな挑戦者たち

2017年08月01日 23時59分59秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は横浜の宇宙棋院にて、級位者教室の講師を務めました。
最初は生徒さん4、5人で始まった教室ですが、だいぶ賑やかになって来ました。
やりがいも増してありがたい限りですね。

さて、お知らせが2つあります。
まず、本日から第38回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会全国大会行われています。
明日の決勝は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。

また、幽玄の間ではナショナルチーム参加棋士とDeepZenGoの対局が行われてきましたが、本日から全棋士が対局できるようになりました!
早速申し込みが殺到して11人と対局、現在は12人目です。
流石、体力無限大のDeepZenGoです(笑)。

なお、11人との対局結果は10勝1敗でした。
相変わらず強さを見せつけていますね。
では、唯一棋士が勝った安藤和繁五段との対局をご紹介しましょう。



1図(実戦)
DeepZenGoの黒番です。
序盤早々、突っ込みどころがありました。
黒1、白2の交換は百害あって一利無しです。
これが原因で、後に隅の黒が本コウのような形になってしまいました。
やはりこういう所がDeepZenGoの大きな弱点ですね。





2図(実戦)
黒1~5も違和感のある打ち方です。
右辺白への攻めを捨てた上、右下を堅く囲って白6の絶好の消しを許しました。
とても最善の打ち方とは思えません。
こんなもので十分と、店仕舞いに入っているように見えます。

DeepZenGoが形勢黒良しと判断しているとすれば、その原因として考えるのは左上隅の黒です。
ひょっとしたら、セキか何かと勘違いしていたのでは・・・。





3図(実戦)
この後突如暴走を始め、黒△などの大悪手を打ち始めました。
中央でポン抜きを許し、形勢不利との判断に変わったのでしょうか?

また、暴走を始めてからも、DeepZenGoはなかなか投了しませんでした。
左上でコウ絡みの特殊な形ができたことと、関係があるのでしょうか。

色々と不可解なことが多い1局でしたが、ともあれ1局は勝てて良かったですね。
ちなみに、この記事を書いている間にDeepZenGoが11勝目を挙げました
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