散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

函館紀行(2)

2004年09月19日 23時18分57秒 | 旅日記
さて、2日目。朝の内は雨とのことでゆっくりすごす。ホテルでは無料の朝食サービスがあり、おにぎり+味噌汁+漬物。味噌汁が体にしみる。無料の新聞を読んだりして、ゆっくり10時に出発。予報どおり雨は上がった。最初にもういちど函館美術館へ。もう一度展示を見てから図録を購入。

11時半、昨日見てどうしても心引かれるデパート「BM」のレストランへ。中華セットの塩ラーメンを選択。



あっさりした塩味のスープと、チャーハン(小)が良く合い、おまけのシュウマイも嬉しい満足の一品であった。今も家族連れが多いようだが、函館市民にとってはここに来るのはビッグイベントだったのであろう。デパート大食堂の灯を消さないで欲しいものである。(道内では私の満足できる大食堂はここだけ?)

昨日は無理をしすぎたので、心落ち着く場所,図書館へ。途中の函館公園にはやはり台風の爪跡が残されている。図書館はクラシックで落ち着くが、閲覧室が狭く市民は早く立て替えて欲しいと思っているに違いない。ゆっくり2冊読破。

電車で「高龍寺」へ。函館最古の寺らしい。高龍寺の山門および、本堂の木彫は素晴らしい。本堂内に入れるのかお坊さんに聞いてみたところ、「ご自由にどうぞ」とのことで内部見学。新しいせいか金ぴかの本尊はともかく、五百羅漢堂やその天井画等結構面白かった。

続いて、称名寺、実行寺、東本願寺船見支院と回る。称名寺内には宝物殿があり、対して期待せずに入った所、何と桃山時代の四天王がいらっしゃったのである。「後補がなければ重文クラス」とはどこまで本当か分からないが、サイズの割に重厚な姿と全員の憤怒の表情は見ごたえがあった。(後補の邪鬼はマンガのようにプリティ。こいつのせいでぶち壊しとも言える)

いずれの寺も法事が行われたりして、奈良の観光寺院とは一味違う感じもしたが、ある寺でお坊さんがPCでソリティアをしていたのは、台無しである。まあ、檀家管理にIT化も必要な今日この頃であろうか。後、寺自体がコンクリート造りのものが多い。「日本初の総コンクリート作り=東本願寺函館別院」というキャッチコピーはどうかと思うが、函館の大火の歴史を思わせるとも言えよう。

夕方、時間が余り、Kホテルの「R」というバーへ。客の殆どいない中、夕日が傾くのを見つめつつ(←ひたり過ぎ?)、ジンフィズ、スロージンフィズ。バーの窓から港を見下ろすと、釣り人が大勢いる。自分では釣りをしないが、釣り番組は結構好きな私は港に行ってみることにした。

ヤンチャそうな人もいるので、なるべく純朴そうなオジサンをさがし、「何が釣れるんですか」と声をかけてみた。オジサン曰く「イカだよ、今はシーズン初めだからあれだけど、いいときは30~50杯は釣れる」ということらしい。確かに針先に明りがついており、イカ用の仕掛けなのだろうか。釣果を見せてくれなかったので、現時点ではボウズだったのかも知れない。

駅前に戻り、昨日見かけて気になっていた屋台のおでん屋さんへ。北海道内の屋台は非常に珍しい(屋台村を除く)。店を構えて38年、「最近、からだが故障して来たんだわ」と言うが、トークは辛口のおばちゃんが迎えてくれた。



まず、大根とツブ(函館らしい)を頼むと、煮たものの上に生姜醤油のタレをさっとかけてくれた。青森のおでんには生姜味噌をかけると聞いたことがあるが、似た文化なのであろうか(函館出身の方、ぜひご教授頂きたい)。ビールはスーパードライの缶ビール、酒はワンカップというのも潔い。通る人通る人、興味ありそうに見ていくのも痛快である。

先客1名はパイロット氏で、たまーに函館に来るとこの店に寄るらしい。「前回は2回連続で店閉まってて、店の中透かして見たらカレンダーが先月のままだったから、病気でもしたかと心配したよ。向かいの店に『屋台どうなったの』って聞きに行っちゃった」という熱狂的ファンのパイロット氏は、奥さんに「生ラムを土産に買うんだよ」と言いつつ、帰っていった。

追加してがんもどき、団子。いずれも生姜醤油かけである。客が私一人になってしまったが、「日によっては入れないんだよ」と函館訛りでおばちゃん。(確かに後で見たら、満席だった)「もう、いつやめるか分かんない」というので、客もいないことだし,お願いして写真を撮らせてもらった。また、函館に来たら、行ってみることにしよう。
(この店、函館駅前の火事に巻き込まれ閉店したとも聞いている)

話は変わるが、年配の方の函館訛りは聞いていて心地良いが、時に「北海道の言葉はぶっきらぼう」と言われるのも分かるような鋭さにもなる。函館は東北との接点でもあり,電車の中で恐ろしい訛り(多分青森?)の家族が居た。可愛い娘さんも驚くべき訛りっぷりであったが、あれは家族通しの会話だからであろうか?

さて、今日はバス発車時刻(23時55分)まで、何とか持たせるしかない。BAR 「J」という店に入ってみた。



栗田寛一似のマスターと、篠原涼子似のお姉さん二人(イメージなので、深く追求しないように)でやっている店は、かなりお洒落な感じである。先客は、遊んでそうなオバチャン2名、女性の方が酒の強いカップルで、距離を置いてマスターの前に座った。

マスターは柔らかな(聞き方によっては自信なさそうな)喋りで注文を聞き、カクテルの説明をしてくれる。私は、クラガンモア12ソーダ割り、パラダイス、スーズ+ウォッカ+グレープフルーツジュースのカクテルを飲んだ。いずれも丁寧な作りとさっぱりした味で、お勧めしてよいきちんとしたバーである。

最後の最後、「Sの子」へ。本日もマスター登場で、私の目の前で仕事をする。
今日は食べ物の注文が多い。牛タン、生ハム、ベーコンの盛り合わせを隣の客が頼んだのだが、もう少しで「美味しそうですね」と話しかけそうになってしまったほど美味しそうだ(結局、隣客が帰った後注文。ベーコンの香りが恐ろしく良い)。

厚切りパンにハムとチーズを乗せて焼いたピザ風トーストも旨そう。この店の客層は幅広いが、結構若いカップルも多い。値段が安いせいもあるが(千円でも相当飲める)、ここにデートで来るのが大人への背伸びの始まりのような感じがして、微笑ましい限りである。

ホワイトホースソーダ割り、ウイスキートディー、サイドカーを飲んでいると、マスターがピザ風トーストを4分の1ほどくれた。先ほど私が注文したのと間違えて出そうとしたお詫びらしい。ありがたく頂くとやっぱり旨い。作り方を見ても、コショウを3種類ブレンドして使っており、隅々まで心配りされているのが分かる。80才のマスターの仕事振りを堪能し、ヘロヘロになりながら私はバスターミナルに向かった。



明日朝5時に札幌に着くと、この旅も終わりである。

函館紀行(1)

2004年09月18日 23時12分22秒 | 旅日記
どうしても見たい展覧会があり、函館へ行くことにした。2年前を思い出し、また「深夜バス」乗るか! と、夜の11時に中央バスターミナルに着いた。

本日は3連休前日ということで、釧路・函館・網走に各2便が出るようで、ターミナル内には100人程の人がおり、ぎっしり。バスに乗り込み、即寝る体勢には入ったが、結局うとうとしつつもあまり寝れなかった。朝4:40には七飯に降りる人のために明りがつく。結構つらい。5時過ぎ、霧雨の函館駅前に到着。根室には何も無く途方に暮れたが、函館には朝市がある。早速行動開始。

しかし、5時台には観光客も数えるほどで、朝市の店もあまり開いていない。しかし、これが功を奏して、各店のメニューをじっくり見ることができた(もう少し時間が遅いと呼び込みがうるさいので)。海鮮丼って高いからなあと思いつつ、最初から考えていたイカ刺し定食を食べに「D」食堂へ。イカの生きは良い。ゲソ部分は醤油につけると動いている。熱い味噌汁・漬物食べ放題で朝食。

正直に書くが、初めて活けイカを食べた時は感動したものであった。イカが角切り状になっており、角が立っている食感に感心したことを思い出す。今回のイカは身が薄いかもしれない… 食べ終わって振り向くと、イクラおろしやコロッケや焼き鮭で一杯やっているオヤジ達を発見。「うっ、この手もあったか」と思うが、まあいいか。



さて、6時半になったのだが、ここから暫くが難行苦行である。港を散歩し、電車が動き出しているのを確認するや、五稜郭公園に移動しベンチで休憩。午前8時で歩数は既に1万歩に近づいている。9時に市立博物館分館がやっと開館。今流行の「士道 新撰組と函館戦争」展が開催されている。新撰組にも士道にも興味のない私は、さっと流し見。バスで訪れた大軍団を尻目に移動。

次は「北洋資料館」。銛と鉄砲でしとめたという,日本唯一のセイウチ剥製などが見所。北洋航海体験室というのがあり、スクリーンに荒海の様子が写り、部屋全体がローリングする仕掛けを体験。結構ゆれ、若干気持ち悪くなるが、解説声は「今日はこれでも穏やかな海なのです」等と抜かしておる。

さて、次が本題の道立函館美術館「スーパーリアリズム」展。写実を超えて、無駄なほどリアルな画の展覧会である。人によっては「写真でイイじゃん!」と激しく突っ込みたくなるだろうが、そこをあえて描くのが面白いのだ。リアルのレベルにもいろいろあることも分かり、結構面白かった。

電車で移動し、千歳町の「S」で塩ラーメン。



細めんは適度な歯ごたえで、チャーシューも旨い。スープは熱くたっぷり入っているので、店主に「レンゲ無いんですか」と聞くと、すぐに出してくれながら、「ラーメンってレンゲで食うもんじゃないよ」。うっ、普段レンゲがついてこなければそのまま食べる私なのに、何たる不覚。照れ笑いを浮かべて「た、確かに…」と同意せざるを得ませんでした。(結局レンゲは使わず)

続けて
「北方民族資料館」:オホーツク周辺は結構謎だな
「旧イギリス領事館」:メルヘン調
「旧函館区公会堂」:ホールが素晴らしい
「市立文学館」:文学館って展示内容が苦しい
「郷土資料館」:100円なので、あっさり
を見る。何もこんなに無理して見ることもないのだが、時間が余ってしょうがないのである。

16時やっとホテルにチェックイン。出来たばっかりの新しいホテルで気持ちがいい。インターネット予約をすると靴下サービスとかで、既に15キロ以上歩いている私にはありがたい。

18:00五稜郭周辺へ。馬刺しと魚貝の「K」に入る。



函館でなぜ馬肉なのか分からないが、過去に一度来たことがあるのだ。まず、馬刺しとビール。柔らかく脂のない赤身の馬刺しは食べやすく、つま野菜も綺麗に盛られている。続いて、燗酒に切り替え、鮭ハラス焼。ちょっと塩気がキツイが、脂の乗った大ぶりな鮭が旨い。(ちなみに隣の客が頼んだナメタガレイの焼物は恐ろしく良い匂いだ)

店のおばちゃんが「どこから来たの、札幌?」とか色々話かけてくれたので、本日早朝からの苦闘の旅を語る私であった。最後に馬煮込みを頼むと、店の兄ちゃんが「次の店、あてはあるんですか?」というので、「バーに行きたいのですが」というと、「五稜郭付近にはバーは無い。あっても高くてマズイ」と大胆なご発言。「駅前まで戻って『Sの子』行った方が良いよ」ということであった。

しかし、その勧めに簡単に従う私ではない。兄ちゃんが「Eは高いし」と何気なく言っていたが、実は下調べしたリストにその店が入っているのであった。「高いと言ってもチャージ1500円位、銀座よりは安かろう」と行って見ることにした。怪しげな雰囲気の中、ビルの1階に店があった。中にはおばちゃんが一人で、客はない。聞くと、店主はまだ来ていなく、奥さんは本日休み、私は雇われてるんですという事であった。

おばちゃんと会話しながら、ウイスキーのソーダ割りを飲む。わざわざおばちゃんが店主に「お客さん来ましたから」と電話をしてくれたのだが、その店主が全く来る気配がない。最初は機嫌の良かった私も、段々沈黙気味に。もう良いやと「今日は帰ります」と言ったものの、おばちゃんは大きな金額はもたされていないようで、1万円に釣りが無い。店主がくるまで待たされ、まもなく到着したのだが、もう気持ちが切れているため、そのまま帰ることにした。2100円、ある意味非常に高い値段であった。

不機嫌なまま、駅前の「Sの子」へ。



過去に1度来たことがあるのだが、創業40年以上の函館では最も古いバーである。ヘイグソーダ割り、ブナハーブン12年(残量少なく、店の奢り)、ギムレット、ピコン+レモン+・・・のオリジナルカクテル。

全然期待していなかったのだが、ここでマスター夫妻が登場した。というのは、マスターは御年80才で、店に出るのは週1回程度らしい。普段は娘さんが出ているのだが、都合が悪いらしく,今週はマスターが出ずっぱりとか。私の席の横にお母さんが立ったので、これ幸いと色々話をし、カウンターの逆側にいるマスターに注文しても良いものかと聞いてみると、「店に居る間は、どんどん使って良いのよ。あなたマティーニは大丈夫? だったら頼んでみる?」と思ってもない好展開にもちこめ、マスター作のマティーニを飲むことになった。冷え気味ほどよく、味のバランスも大変よく、マティーニの見本というような出来ばえであった。

北大水産学部のバイト氏とも話しは盛り上がったが、店をでる。ちょうど最悪のタイミングで土砂降りの中、ホテルへ。
(30406歩、ぐったり)