川島博之『「食糧危機」をあおってはいけない』文藝春秋, 2009.
日本の食糧自給率が低いことを論拠とした「食糧危機説」に対して、逐一反論する書籍。これによれば、世界にはまだ食糧生産のための土地がかなりあり、各国で食糧を奪い合うような将来図よりも、むしろ食糧の販売先を争奪しあう光景の方が適切であるようだ。飢えるのはアフリカだけだという。
昔から日本では、自給率向上対策として農家の大規模化が挙げられてきた。米国やオーストラリアの大農場に比して、日本の農家は零細すぎ、結果として生産物の単価が高くなってしまっている。この議論に対して著者は“日本の農家が規模を少々大きくしたところで、彼らに追いつくことは不可能”(p.231)だという。米豪はさらなる大規模化を進めているし、コストの安いブラジルが食糧供給国として国際市場に参入してきたというのがその理由である。穀物生産を日本でやろうとしても、勝ち目が無いわけだ。
その他、この本は食糧危機をめぐる言説に逐一反論をしている。僕はその議論に説得された。ただし、本のつくりが安っぽいのがもったいない。
日本の食糧自給率が低いことを論拠とした「食糧危機説」に対して、逐一反論する書籍。これによれば、世界にはまだ食糧生産のための土地がかなりあり、各国で食糧を奪い合うような将来図よりも、むしろ食糧の販売先を争奪しあう光景の方が適切であるようだ。飢えるのはアフリカだけだという。
昔から日本では、自給率向上対策として農家の大規模化が挙げられてきた。米国やオーストラリアの大農場に比して、日本の農家は零細すぎ、結果として生産物の単価が高くなってしまっている。この議論に対して著者は“日本の農家が規模を少々大きくしたところで、彼らに追いつくことは不可能”(p.231)だという。米豪はさらなる大規模化を進めているし、コストの安いブラジルが食糧供給国として国際市場に参入してきたというのがその理由である。穀物生産を日本でやろうとしても、勝ち目が無いわけだ。
その他、この本は食糧危機をめぐる言説に逐一反論をしている。僕はその議論に説得された。ただし、本のつくりが安っぽいのがもったいない。