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論理的な議論のための概念と例題の二冊

2010-07-08 11:14:58 | 読書ノート
福澤一吉『議論のレッスン』生活人新書, NHK出版, 2002.
福澤一吉『議論のルール』NHKブックス, NHK出版, 2010.

  議論の構造についての書籍二冊。著者は、議論を論理的にするために「主張-根拠-論拠」という型式で展開せよと説く。この型式を、その発案者にちなんでトゥルーミン・モデルというらしい。それぞれの要素が明示されないと、建設的な議論は展開できないとのこと。

 『議論のレッスン』はそのモデルについてわかりやすく解説した新書版。概念の定義だけでなく、例題・練習問題も整備されており実用的である。ロングセラーとなっているようで、刷を重ねている。

 『議論のルール』は、大学研究者が登場するテレビ討論や、国会での質疑を題材に、その論理展開を添削するというもの。結果、日本のエリート層の議論スキルの低さが浮き彫りにされる。多くの人はそれにすでに気付いているのかもしれないが、具体的に何が足りないのかはっきりさせるところがポイントである。そして、指摘された問題点から議論のルールを構築してゆく。

  それぞれの主張は明確であり理解が難しいということはない。ただし、概念を理解したり、他人の誤りの指摘を読むだけで、議論スキルが身に付くというわけでもない。なので、著者には野矢茂樹『論理トレーニング』並みのトゥルーミン・モデル独習問題集を作って頂きたいと願う。
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