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米図書館団体が米国の少年少女たちにおすすめする日本の漫画 2007-2013

2013-07-12 08:37:42 | 図書館・情報学
  あまり目新しいネタではないのだけど、授業用のメモとして。

  米国図書館協会のヤングアダルトサービス部門(Young Adult Library Services Association ;YALSA)が選んだおすすめ日本漫画のリストを下に記す。ただし、"manga"あるいは"comic"という語ではなく、"graphic novel"という概念でまとめられている。あちらでも漫画の適性をめぐる闘争があるのだろう。YALASAは概念変更という戦略をとったわけだ。

  この"Great Graphic Novels for Teens"は2007年から続いているもので、ネット経由で推薦されたもののなかから、数人のYALSAの選者が毎年40~70冊ほど選んで公開している。対象年齢は12歳~18歳ときっぱり区切られている。リストに載った日本漫画の点数は79ある。2007年から2013年までのリスト合わせて全400点あるから、ほぼ20%が日本産ということになる。

  まず、Top10リストに入ったもののタイトルと著者(リストの新しい順)

 『星守る犬』村上たかし / 『放浪息子』志村貴子 / 『乙嫁語り』森薫 / 『土星マンション』岩岡ヒサエ / 『大奥』よしながふみ / 『海獣の子供』五十嵐大介 / 『PLUTO (プルートウ)』浦沢直樹 / 『砂時計』芦原妃名子 / 『リアル』井上雄彦 / 『うずまき』伊藤潤二 / 『いばらの王』岩原裕二 / 『放課後保健室』水城せとな / 『エマ』森薫 / 『DEATH NOTE』大場つぐみ・小畑健

  次に、この他の"Great Graphic Novels for Teens"入選作品(リストの新しい順)

 『進撃の巨人』諫山創 / 『秒速5センチメートル』新海誠・清家雪子 / 『黎明のアルカナ』藤間麗 / 『悪魔とラブソング』桃森ミヨシ / 『青の祓魔師』加藤和恵 / 『どうぶつの国』雷句誠 / 『神様はじめました』鈴木ジュリエッタ / 『彩雲国物語』雪乃紗衣・由羅カイリ / 『クロスゲーム』あだち充 / 『ARISA』安藤なつみ / 『図書館戦争』有川浩・弓きいろ / 『魔王 JUVENILE REMIX』伊坂幸太郎・大須賀めぐみ / 『ぼくらの』鬼頭莫宏 / 『夏目友人帳』緑川ゆき / 『BIOMEGA』弐瓶勉 / 『さらい屋五葉』オノ・ナツメ / 『not simple』 オノ・ナツメ / 『放課後のカリスマ』スエカネクミコ / 『イタズラなKiss』多田かおる / 『70億の針』多田乃伸明 / 『黒執事』枢やな / 『ふたつのスピカ』柳沼行 / 『テガミバチ』浅田弘幸 / 『ソラニン』浅野いにお / 『トレイン☆トレイン』影木栄貴 / 『はこぶね白書』藤野もやむ / 『もやしもん』石川雅之 / 『オトメン(乙男)』菅野文 / 『ミックスベジタブル 』小村あゆみ / 『さよなら絶望先生』久米田康治 / 『Takeru: Opera Susanoh Sword of the Devil』中島かずき・唐々煙 / 『僕等がいた』小畑友紀 / 『ひぐらしのなく頃に』竜騎士07・鈴羅木かりん / 『花の名前』斎藤けん / 『君に届け』椎名軽穂 / 『カラクリオデット』鈴木ジュリエッタ / 『メトロ・サヴァイブ』藤澤勇希 / 『ヒカルの碁』小畑健・ほったゆみ / 『SLAM DUNK』井上雄彦 / 『キーリ』壁井ユカコ・手代木史織 / 『高校デビュー』河原和音 / 『NARUTO -ナルト-』岸本斉史 / 『棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ 』きゆづきさとこ / 『龍の花わずらい』草川為 / 『ビーナスは片想い』なかじ有紀 / 『王国の鍵』紫堂恭子 / 『フルーツバスケット』高屋奈月 / 『BLACK JACK』手塚治虫 / 『どろろ』手塚治虫 / 『ハチミツとクローバー』羽海野チカ / 『ヒッカツ!』矢上裕 / 『NANA -ナナ-』矢沢あい / 『よつばと!』あずまきよひこ / 『パンプキン・シザーズ』岩永亮太郎 / 『アライブ-最終進化的少年-』河島正・あだちとか / 『夕凪の街 桜の国』こうの史代 / 『ラブ★コン』中原アヤ / 『トランスルーセント―彼女は半透明』岡本一広 / 『地球(テラ)へ…』竹宮惠子 / 『結界師』田辺イエロウ / 『蟲師』漆原友紀 / 『フラワー・オブ・ライフ』よしながふみ / 『MONSTER』浦沢直樹 / 『西洋骨董洋菓子店』よしながふみ / 『カンタレラ』氷栗優

  以上。最近の漫画に詳しくないので9割以上の作品がわからない。それでも、けっこう基準が緩いような気がするのだがどうだろうか。ほとんどが最近の作品の中に、手塚治虫や竹宮惠子の超名作が紛れているのも違和感がある。まあ向こうの翻訳事情があるのだろう、萩尾望都はやっと英訳が始まったばかりで、つげ義春なんかはまったく紹介されていないみたいだし。

  ただし、このリストに載った作品を日本の公共図書館にただち所蔵すべきだという話にはならないことに注意したい。米国と日本の漫画の受容事情はかなり違うのだから。でも、日本の公共図書館もすでにけっこう漫画を所蔵しているんだよね。大々的にアナウンスしないだけで。日本の大手出版社の主力商品だし、立ち位置が問われるところではある。

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参考:YALSA / Great Graphic Novels http://www.ala.org/yalsa/great-graphic-novels
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-07-17 05:50:35
一応、4,5割程度の作品しか知らないのですが、そこそこ厳選されていると思いますよ。
そこら辺の萌系は中にはあまりないと思います。
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