ダニエル・ネトル『パーソナリティを科学する:特性5因子であなたがわかる』竹内和世訳, 白揚社, 2009.
心理学者による五つのパーソナリティ次元についての解説書。個人的には「ビッグ・ファイヴ」という概念については別の書籍(参考1,2)でも目にしたことがあり、なんとはなくは知っていた。だが、この本はそれぞれの次元が意味するところを詳細に説明し、五因子による性格診断で何が予測できるのかを教えてくれる。
その五因子とは、外向性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性と名付けられているものである。「神経質傾向」はラベル通りの因子であり、「調和性」は他者に配慮できるかどうかについての性格特性である。
それ以外の概念は解説を要する。「外向性」とは、明るい-暗いの軸ではなく、旅行やパーティなど自分で完全にコントロールできない状況下で行う活動に、大きな喜びを覚えるかどうかというものである。そういうことがあまり楽しくない人は、内向的というより無感動といった方がよいようだ。
「誠実性」は、別の本では良識性とか勤勉性と訳されている。自制が効くかどうかについての性格特性である。それが高ければ計画的な行動ができ、低ければ目の前の誘惑に負けやすいという。アル中などの依存症患者はこれが低いらしい。
「開放性」とは言葉やイメージを連想してゆく能力のこと。それが高ければ、芸術的感受性や思考の広がりが認められる一方、精神病的な面も持ち合わせるということになるらしい。芸術嗜好はこの因子がプラスになるそうだが、ソープオペラ好きやロマンス小説好きはマイナスになるという。
さらに著者は、それぞれのパーソナリティ因子がそれぞれプラスとマイナスの幅を持って現在の人類に残されてきた意義を進化心理学的に検討している。なぜ、一見デメリットしかないような性格特性(例えば誠実性の低さ)が、進化の途上で淘汰されずに生き残ってきたのか? それに答えるべく進化における収支を検討し、一見有利な性格特性にもデメリットがあり、そうでない特性にもメリットがあると説いている。この部分は仮説ながら、これがあることで包括的な説明となった。
書籍の最後に性格診断表がついているが簡便なものであり、正確な診断ができるかどうかは微妙(著者は信頼できるというが)。インターネットでもう少し質問の数が多いものがいくつかあるようなので、そちらの方がいいような気がする。実際、僕がやって結果が違っていた。
心理学者による五つのパーソナリティ次元についての解説書。個人的には「ビッグ・ファイヴ」という概念については別の書籍(参考1,2)でも目にしたことがあり、なんとはなくは知っていた。だが、この本はそれぞれの次元が意味するところを詳細に説明し、五因子による性格診断で何が予測できるのかを教えてくれる。
その五因子とは、外向性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性と名付けられているものである。「神経質傾向」はラベル通りの因子であり、「調和性」は他者に配慮できるかどうかについての性格特性である。
それ以外の概念は解説を要する。「外向性」とは、明るい-暗いの軸ではなく、旅行やパーティなど自分で完全にコントロールできない状況下で行う活動に、大きな喜びを覚えるかどうかというものである。そういうことがあまり楽しくない人は、内向的というより無感動といった方がよいようだ。
「誠実性」は、別の本では良識性とか勤勉性と訳されている。自制が効くかどうかについての性格特性である。それが高ければ計画的な行動ができ、低ければ目の前の誘惑に負けやすいという。アル中などの依存症患者はこれが低いらしい。
「開放性」とは言葉やイメージを連想してゆく能力のこと。それが高ければ、芸術的感受性や思考の広がりが認められる一方、精神病的な面も持ち合わせるということになるらしい。芸術嗜好はこの因子がプラスになるそうだが、ソープオペラ好きやロマンス小説好きはマイナスになるという。
さらに著者は、それぞれのパーソナリティ因子がそれぞれプラスとマイナスの幅を持って現在の人類に残されてきた意義を進化心理学的に検討している。なぜ、一見デメリットしかないような性格特性(例えば誠実性の低さ)が、進化の途上で淘汰されずに生き残ってきたのか? それに答えるべく進化における収支を検討し、一見有利な性格特性にもデメリットがあり、そうでない特性にもメリットがあると説いている。この部分は仮説ながら、これがあることで包括的な説明となった。
書籍の最後に性格診断表がついているが簡便なものであり、正確な診断ができるかどうかは微妙(著者は信頼できるというが)。インターネットでもう少し質問の数が多いものがいくつかあるようなので、そちらの方がいいような気がする。実際、僕がやって結果が違っていた。