フランセス・アッシュクロフト『人間はどこまで耐えられるのか』矢羽野薫訳, 河出書房, 2002.
人体および生物の生存環境の限界について解説する一般書籍。原著は"Life at the Extremes"(2000)で、著者は英国の生理学者らしい。人体が耐えられる高度、水の深さ、暑さ、寒さのほか、走る速さの限界、宇宙環境下での人体、極限状況下で生存できる微生物についてもカバーしている。なお、2008年には河出文庫版が発行されている。
副題が"The science of survival"ということもあって、これを読む前は、極限状況下で生き抜くためのサバイバル術の指南が中心なのだろう勝手に想像していた。確かにそういう面もあるが、どちらかと言えば、ある閾値を超えるとなぜ生命機構が機能しなくなるのかについての生理学的な説明に重点がおかれている。あと、人体の限界に対する知識が科学界に共有されるまでに積み重ねられてきた死屍累々の数々(生き延びた例もある)についても記述があり、読者に先人の冒険に対する深い感慨を抱かせる。
子供のころ、宮崎駿アニメの飛行シーンに突っ込みを入れるような大人が一人は周りにいなかっただろうか。曰く「雲間を行くような高度を薄着で飛んだら酸素欠乏か低体温で死ぬ」。19世紀に気球を使ってそのことを身を持って示した人物がいたとのことで、リアリティというのは大切だと認識を新たにした。
人体および生物の生存環境の限界について解説する一般書籍。原著は"Life at the Extremes"(2000)で、著者は英国の生理学者らしい。人体が耐えられる高度、水の深さ、暑さ、寒さのほか、走る速さの限界、宇宙環境下での人体、極限状況下で生存できる微生物についてもカバーしている。なお、2008年には河出文庫版が発行されている。
副題が"The science of survival"ということもあって、これを読む前は、極限状況下で生き抜くためのサバイバル術の指南が中心なのだろう勝手に想像していた。確かにそういう面もあるが、どちらかと言えば、ある閾値を超えるとなぜ生命機構が機能しなくなるのかについての生理学的な説明に重点がおかれている。あと、人体の限界に対する知識が科学界に共有されるまでに積み重ねられてきた死屍累々の数々(生き延びた例もある)についても記述があり、読者に先人の冒険に対する深い感慨を抱かせる。
子供のころ、宮崎駿アニメの飛行シーンに突っ込みを入れるような大人が一人は周りにいなかっただろうか。曰く「雲間を行くような高度を薄着で飛んだら酸素欠乏か低体温で死ぬ」。19世紀に気球を使ってそのことを身を持って示した人物がいたとのことで、リアリティというのは大切だと認識を新たにした。