イアン・エアーズ『その数学が戦略を決める』山形浩生訳, 文藝春秋, 2007.
前回ちょろっと名前を出した「ダイレクト・インストラクション(Direct Instruction=DI)」の話は、この書籍の第7章「それってこわくない?」の冒頭に出てくる。
それによれば、DIはジーグフリード・エンゲルマンなる人が1960年代に開発した教育方法で、生徒のみならず教師の発言までもマニュアルに沿わせるものである。少人数の生徒を前に、素早い呼びかけと応答を繰り返す指導方法なのだが、詳細は本章を読んでほしい。この方法を使えば、教室が機械的で創造性の無い空間に変わること請け合いである。
ところが、このDIは他のどのような方法よりも効果的な教育方法であることが、実証調査で明らかになっているという。米政府は“授業計画が細かく脚本化されているDIのようなモデルから、生徒たち自身が何をどうやって学ぶか選んで自分の学習を自分で主導する構造なしの手法まで、十七種類の教育方法の影響を調べた。(中略)高次思考や問題解決能力を重視し、また学習への熱意や自尊心を強調するものもあった”(p.218)。結果は、DIの圧勝だったという。
DIを受けた学童は、単にテストに即答する能力を高めただけなのか?そうではないらしい。彼らは、高次の思考力をつけることもでき、自尊心を高めることも十分できているという。また、DIは“特に読み能力が平均以下の学童に対して有効”でもある、とも。
Youtubeを使ってキーワード"Direct Instruction"で探してみると数個の映像が出てくるが、以下で授業風景がちょろっと出てくる。(映像リンクの方法がわからん。)
Direct Instruction at Thales Academy--Raleigh, NC / youtube.com
http://www.youtube.com/watch?v=Fr3ccG6vmqg
DIの成功は、いわゆる「詰込み教育」が実は教育内容の応用面でも効果的である、というように解釈してよい話なのだろうか?日本語で読める情報がわずかので、今のところよくわからないことも多い。暇があったら欧文もあたってみるけど、今後紹介されるなどと期待しないように。ただ、「学習者の主体性」を持ち上げるような教育方法が飛びぬけて効果的であるというわけではない、ということは汲んでもいいところなのかもしれない。
あと、話は変わるけど、某KO大学の図書館・情報学の院でやっていた"Evidence Based Approach"(だったけ?)の意義も、この本を読んでようやくわかりました。そういうことなのね。
前回ちょろっと名前を出した「ダイレクト・インストラクション(Direct Instruction=DI)」の話は、この書籍の第7章「それってこわくない?」の冒頭に出てくる。
それによれば、DIはジーグフリード・エンゲルマンなる人が1960年代に開発した教育方法で、生徒のみならず教師の発言までもマニュアルに沿わせるものである。少人数の生徒を前に、素早い呼びかけと応答を繰り返す指導方法なのだが、詳細は本章を読んでほしい。この方法を使えば、教室が機械的で創造性の無い空間に変わること請け合いである。
ところが、このDIは他のどのような方法よりも効果的な教育方法であることが、実証調査で明らかになっているという。米政府は“授業計画が細かく脚本化されているDIのようなモデルから、生徒たち自身が何をどうやって学ぶか選んで自分の学習を自分で主導する構造なしの手法まで、十七種類の教育方法の影響を調べた。(中略)高次思考や問題解決能力を重視し、また学習への熱意や自尊心を強調するものもあった”(p.218)。結果は、DIの圧勝だったという。
DIを受けた学童は、単にテストに即答する能力を高めただけなのか?そうではないらしい。彼らは、高次の思考力をつけることもでき、自尊心を高めることも十分できているという。また、DIは“特に読み能力が平均以下の学童に対して有効”でもある、とも。
Youtubeを使ってキーワード"Direct Instruction"で探してみると数個の映像が出てくるが、以下で授業風景がちょろっと出てくる。(映像リンクの方法がわからん。)
Direct Instruction at Thales Academy--Raleigh, NC / youtube.com
http://www.youtube.com/watch?v=Fr3ccG6vmqg
DIの成功は、いわゆる「詰込み教育」が実は教育内容の応用面でも効果的である、というように解釈してよい話なのだろうか?日本語で読める情報がわずかので、今のところよくわからないことも多い。暇があったら欧文もあたってみるけど、今後紹介されるなどと期待しないように。ただ、「学習者の主体性」を持ち上げるような教育方法が飛びぬけて効果的であるというわけではない、ということは汲んでもいいところなのかもしれない。
あと、話は変わるけど、某KO大学の図書館・情報学の院でやっていた"Evidence Based Approach"(だったけ?)の意義も、この本を読んでようやくわかりました。そういうことなのね。