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短大図書館の図書課長最後の一年を終えて

2013-03-27 23:49:11 | 図書館・情報学
  現勤務校では、教員のかたわら図書館で図書課長なる中間管理職を三年やらせてもらった。それ以前の二年は、館長補佐という何の手当もつかない非公式のポストを与えられて図書館運営に携わっていた。いわゆる事務仕事を課せられていたわけで、他教員からは「面倒くさいことをやらされて可哀そうですね。研究時間も削られるでしょう」的なコメントをもらうこともあった。けれども、小規模とはいえ大学図書館のマネジメントに関与させてもらったことは、僕のような図書館情報学の研究者としては得難い経験になったと思う。この分野では、実務家から研究者になるというキャリア形成のパターンはあるけど、研究者をやってから実務家になるというのは──大学図書館の館長職以外では──あまりないみたいだからだ。とはいえ、何か自慢できることをやったというわけではないのだが。

  ただし、実務といってもカウンターに立ってあれこれ経験したというわけではない。企画・管理と他部署との交渉が主な仕事で、もっと理念的なところでは、限られた人員と予算の中で諸サービス間のトレードオフを見極め、効果的な資源配分となるよう意思決定するというのがその役割だった。大学図書館では、所属教員の研究支援または学生の学習支援となることを重点的に行えば良いという方向性が明確である。その点でその役割が曖昧な公共図書館よりやりやすい。その優先順位は明確で、まず開館してカウンターに必ず人がいるような状態をつくることが第一、次に研究用資料の迅速な発注(遅いと教員からのクレームに直面しやすい)、そのまた次に購入した書籍の装備と配架である。ちなみに、購入書籍の選択は教員がする。予算や人員が減らされれば、図書館がこれまで行ってきた他のこまごまとしたことはできなくなる。

  で、平成24年度は人員が減らされた。平成23年度まで図書館職員3人体制(実質教員である館長・課長の管理職は除く)で、一人専任で二人週5日勤務のアルバイトという人員だった。ウィークデーは毎日3人でまわすことができた。ところが今年度になって、世間の流れと同様に予算を減らされ、専任を置かない三人アルバイト体制とされ、うち二人はフルタイムではなく週4日勤務という人員で図書館をまわすことになった。ウィークデーのうち二日間は二人しか図書館職員がいないことになる。図書館内で毎週16時間分の労働時間が減ったわけである。また、唯一週5日勤務のアルバイトはまったくの新人で、週4日勤務のベテラン図書館員二人は教育係も兼ねることになって負担も増えた。(この他の要因もあって図書館運営は半年の間混乱し、結局昨年10月から一人専任二人週4日勤務アルバイトに変更された。要は年度当初の人員配置は大失敗だったわけだ。)

  そういうわけで、労働時間を上記の優先順位の高いルーティンに集中し、これまで行われてきた追加的なサービスへの労働力の投入をできるだけ避けるという方針で今年度の図書館を運営してきた。そうしたら一部教員がそれに不満を感じていたようで、年度半ばにクレームをつけてきた。具体的にその内容は記さないが、一定額の投資をしたのに今年度十分に使用しなかった返却用設備についてである。僕に言わせれば、彼はサンクコストにこだわり、図書館が投入できる労働量に限界があることがわかっていない素人考えにすぎない。なので、僕の指示で図書館ではそのクレームを無視した。お金がなければサービスの質は落ちるのは当然のこと。文句があるなら予算をつけろということだ(そもそも彼は今年度の図書館の人員構成に関与した人物である)。本日開催された短大運営の各部署の反省会でも、その彼はその不満をぶつけてきたが、ガス抜きの機会なので言わせておいた。僕の後任もまわりからいろいろ小言を言われるだろうが、そういうのに右往左往しないようにしてほしい。
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