Go straight till the end!!

世界一周の旅の思い出を綴っています。
ブログタイトルは、出発前に旅日記の表紙に書いた言葉です。

(20)曲阜(前編)(中国)

2009-04-08 20:49:41 | プロローグ・タイ・中国
 洛陽(阳)(ルオヤン)から泰安( Tai’ An )(タイアン)まで、列車で約12時間かかる。
 中国で初めての2等客車の旅はとても新鮮だった。いわゆる硬座(木の座席)というやつだ。

 インドで2等客車に乗ったことがあり、そのハードさは知っていたつもりだったが、自分の想像を超える光景を目にすることとなった。
 今回乗車した列車が長距離線ではなく、ローカル線だったことも関係あるのかもしれない。



 洛陽が始発駅でなかった為、すでに座席は満席だった。通路に荷物が置かれていて足の踏み場も無い。
 乗客たちはひっきりなしにおしゃべりと飲み食いをしていた。
 ゴミは窓から捨てるか、通路にそのまま捨てていた。たまに乗務員が清掃に来るが、すぐにゴミだらけになってしまう。

 通路に置かれた荷物の上には、ひまわりの種(食用)のカスが散乱していた。
 乳飲み子を抱えた女性が、赤ん坊におしっこをさせている。トイレに行くのが面倒なのだろうか。
 通路におしっこさせている為、辺りに置いてある荷物は濡れてしまっていた。
 しかし母親に気にする様子は見られない。他人のことは関係ないのかもしれない。

 中国の子供服で股の部分が開いているものをよく見かけたが、これはどこでもトイレ出来る優れものなのだろう。



 しばらく立ちっぱなしだったが、ようやく席が空いて座ることが出来た。対面のおじさんと仲良くなった。
 彼の名は(シィ)さんといい、洛陽の奇岩奇石商だそうだ。変わった形の石を売って商売にしていると言う。
 これから曲阜( Qu Fu )(チューフー)(きょくふ)で開かれる奇石展示会に出展するらしい。

 自分は泰安からバスで曲阜入りする予定だったが、彼は途中の駅で下車した。
 降りる間際に【把玩】と一言書き、握り拳(こぶし)大の石をくれた。
 てっきり石の名前とばかり思っていたが辞書で調べると、【手にとって賞玩(しょうがん)する】という意味らしい。
 彼がいなくなった後、まわりの乗客は「そんな石捨ててしまえ」と言っていたが、彼の気持ちを考えると捨てられなかった。
 荷物が重くなるのは困ったが、Delhi (デリー)(インド)から実家に荷物を送るまで、この石と共に旅をした。



 泰安から曲阜までは、バスで2時間かかった。
 曲阜は儒教の開祖孔子(紀元前551年~紀元前479年)の故郷として有名である。

※計算上、中華人民共和国は孔子生誕2500年の年に建国されたことになる。

 中国政府は9月28日孔子生誕の日と認定し、毎年9月26日~10月10日まで孔子祭(国際孔子文化節)を開催している。運良くこの機会に訪れることが出来た。
 最近では随分盛大な式典を行っているようだが、当時はもっと素朴な感じだったと思う。



 曲阜では孔子や儒学者に縁(ゆかり)のある地を観光した。

孔廟(コンミャオ)(こうびょう)(世界遺産)   儒教の総本山、孔子を祀(まつ)る
孔府(コンフ)(こうふ)(世界遺産)   孔子の子孫が暮らしていた邸宅
孔林(コンリン)(こうりん)(世界遺産)   孔子一族の巨大な霊園
顔廟(イェンミャオ)(がんびょう)   孔子の第一弟子顔回(紀元前514年 ― 紀元前483年)を祀る
孟廟(メンミャオ)(もうびょう)(隣の鄒城市(すうじょうし)にある)   儒学者孟子(紀元前372年?~紀元前289年)(儒教において孔子に次ぐ重要人物とされる)を祀る
孟府(メンフ)(もうふ)(隣の鄒城市にある)   孟子の子孫が暮らしていた邸宅

 尚、奇石展示会の会場にも行き、史さんを探したが会えなかった。



 ここでは孔子のお墓の近くの宿に泊まったのだが、毎晩不思議な体験をした。

(写真は孔子墓、手前は新調されたお墓のようだ)



※地図はこちら