Go straight till the end!!

世界一周の旅の思い出を綴っています。
ブログタイトルは、出発前に旅日記の表紙に書いた言葉です。

(23)北京(前編)(中国)

2009-04-11 08:02:22 | プロローグ・タイ・中国
 10月1日の朝、天安門広場前で建国節(建国記念日)の式典・パレードを行うということを聞いていた。しかし、一介の旅行者が見学できるほど甘くはなかった。

 この年(今から10年前)、中国建国50周年ということでかなり盛大なパレードを行っていたと思う(15年ぶりの軍事パレードだったらしい)。
 そして、天安門広場を中心に、大通りは2重に封鎖されていた。

 天安門広場を囲んだ大通りには、バスが並べられバリケードの役割を果たしていた。
 その更に外側を囲んだ大通りには、検問が設置され、それ以上中に入れないようになっていた(裏道から入ってみたが、公安がいて中心部には入れなかった)。



 それならばと高い建物の上の階から見ようとしたが、建物の入り口にも公安が配置されていた。

 何とか様子を見れないものかと焦る自分に、パレードの演奏の音と、演説の声だけが届いていた。



 いつしか自分は庶民の居住区に迷い込んでいた。
 天安門広場の目と鼻の先であったが、昔ながらの生活を送っている庶民の姿がそこにはあった(しかし2年後に訪れた時には、北京五輪に向けた再開発の為、街並みは一新されており面影は残っていなかった)。

 食堂のTVで式典の模様を中継していたが(おそらく他の番組は放送していなかったのだろう)、誰も熱心に見ていなかった。
 歴史的に幾多の王朝が存在した中国では国民の国家意識(国家に対する帰属意識)が低いとは聞いていたが、共産党員でない限り、庶民の意識はこんな感じなのかもしれない。

 TVでは、江 沢民(こう たくみん)主席(当時)が、演説を行っている。
 天安門の方からエコーのように遅れて生の声が届く。
 にもかかわらず、無関心な人々・・・

 成都(チョンドゥ)で見た映画『国歌』の客の入りが少なかったのが分かる気がした。

 このパレードは国民と共に喜びを分かち合うというよりも、国威発揚(こくいはつよう)、そして対外的な軍事力のアピールの意味合いが強いのだろう。



 そんなことを考えていると、空に突然轟音(ごうおん)が鳴り響いた。戦闘機だ。

 今まで無関心だった人々も皆空を見上げた。

(写真中央左に見える、点のような影が中国人民解放軍空軍の戦闘機(機種不明))



 帰り際に、パレードに参加していた学生達の行進に出くわした。学校に戻る途中なのだろう。

 先頭(共産党員?)の学生は背筋を伸ばしてきちんと行進しているが、列の後ろになるにつれて、だらけて間延びしている。
 その光景が何かを象徴しているように思えてしまった(あくまで表面的に見た一旅行者の視点であるが)。



 今年中国は建国60周年を迎える。
 経済発展を遂げ豊かになった人々の目に、今度の式典はどのように映るのだろうか。

※地図はこちら