中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

初の「過労死白書」

2016年10月18日 | 情報

80時間超す残業、企業の2割 初の「過労死白書」 
2016/10/7 日経

政府は7日、過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止対策白書」を初めて閣議決定した。
1カ月間の残業時間が、労災認定の目安となり「過労死ライン」とされる80時間を超えた正社員がいる企業は
22.7%に上ると指摘。
正社員の4割近くが高いストレスを抱えながら働いている実態も浮かび、職場環境の改善、働き方の見直しなどを訴えている。
2014年の同法施行を受け、厚生労働省は昨年12月~今年1月、
企業約1万社(回答は1743社)と労働者約2万人(同約1万9千人)を対象とする調査を実施。結果を白書に盛り込んだ。
過労死ラインを超える残業をしている正社員がいる企業の割合を業種別にみると、
最も高かったのは情報通信業で44.4%。研究や専門的な技術サービスを提供する企業が40.5%、
運輸・郵便業が38.4%で続いた。同省は「人員不足や、予定外の仕事が突発的に発生することなどが影響している」とみる。
過労死等防止対策推進法について「大まかな内容を知っていた」とする企業は38.1%にとどまった。
一方、労働者調査では正社員の36.9%が高ストレスを抱えていることが分かった。
業種では医療・福祉(41.6%)やサービス業(39.8%)の割合が高い。
正社員で自身の疲労の蓄積度について「高い」「非常に高い」とした人は32.8%。
睡眠時間も45.6%が「足りていない」か「どちらかといえば足りていない」とした。
理由(複数回答)は「残業時間が長い」が最も多く、36.1%が挙げた。
長時間労働などの「勤務問題」を原因の一つとする自殺者は、年間2千人を超える状況が続いている。
白書では過労死について「労働時間や職場環境だけでなく、
業界を取り巻く環境や労働者側の状況など多岐にわたる要因の分析が必要」と指摘。
厚労省は約2万人を10年間追跡する大規模調査を準備中で、過労死の実態解明をさらに進める。

過労死ゼロに向け…世界で例がない初の報告書
毎日新聞2016年10月7日

過労死防止法に基づき厚労省
2014年11月施行の過労死防止法に基づき、厚生労働省が初の「過労死白書」(16年版)をまとめ、
政府が7日、閣議決定した。
厚労省によると、過労死をテーマにした同様の報告書は世界でも例がない。
厚労省は長時間労働の実態や対策を紹介することで、過労死防止に向けた取り組みを加速させたい考えだ。
14年6月に議員立法で成立した過労死防止法は、
過労死を巡る状況と政府の対策について国会への年次報告を義務付けている。
白書によると、15年度に脳・心臓疾患で死亡し、労災保険が支給決定された人は96人で、
ピーク時の02年度(160人)の6割に減少。
一方、精神疾患による自殺者(未遂を含む)で支給決定された人は93人で、
過去最多だった前年度(99人)より6人少ないものの高水準だった。
白書は280ページ。1980年代後半から過労死が社会問題化し、
91年に発足した「全国過労死を考える家族の会」による活動が実を結んで過労死防止法が立法化された経緯を、
1章分を割いて説明している。
10年1月〜15年3月の過労死を含む労災事例をデータベース化して分析し、予防策につなげることや、
労働者2万人の健康状態を10年間追跡調査する疫学研究の計画についても記載した。

<過労死白書>過労死なくそう…遺族らのコラム12本も
毎日新聞 10月7日

◇「統計では表せない思いを書いて」と厚労省が依頼
2014年11月施行の過労死防止法に基づき、厚生労働省が初の「過労死白書」(16年版)をまとめ、
7日、閣議決定された。過労死白書には遺族や支援する学者、弁護士らのコラム12本も掲載された。
「統計では表せない遺族の思いを書いて」と厚生労働省が依頼した。
「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子(えみこ)さん(67)は、
会の四半世紀の活動を記した2本のコラムを書いた。
夫の彰さん(当時49歳)は、京都市内の和食店店長として過重なノルマを達成するため長時間労働を続け、
意に沿わない異動を発令された96年に自死に追い込まれた。
「なぜ」と自問する日々から立ち上がり、08年に会の代表になった。
夫の死から20年。「『お父さんの死を無駄にしないよ』と仏壇に報告したい。
社会も企業も意識を変えないと、過労死はなくならない」。そんな思いをコラムにつづった。
6日に国会内で開かれた超党派の「過労死等防止について考える議員連盟」(代表世話人・馳浩前文部科学相)総会で、
寺西さんは「私たちが長年願ってきたことが白書になり、感無量。過労死ゼロに向けて今後も励む決意だ」とあいさつした。
総会後、報道陣に「大切な家族を亡くすという悲しい思いを、もう誰にもしてほしくない」と語った。

(厚労省)平成28年版過労死等防止対策白書
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/16/dl/16-1.pdf


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