中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

再度の緊急事態宣言

2021年01月07日 | 情報

COVID-19の感染拡大により、再度の緊急事態宣言が発令されました。

そこで、東京商工会議所HPより転載です。

https://tosho-antenna.jp/entry/2020/08/25/100000

 

働き方の新しいスタイルにおける「こころの健康」を保つコツ 

第1回【新しい働き方での健康課題~10,000件の回答から見えてきたもの~】20.8.25 執筆者;産業医 坂本先生

第1回は、新しい働き方において、特徴的なテレワーク(在宅勤務)での健康課題とその解決に向けたヒントです。私たちは、2020年4月に、産業医・保健師として健康管理を担当している企業様に「在宅勤務での困りごととその工夫」に関する調査を行いました。そして14社、1,103人の労働者から述べ10,024件の回答を得ることができました。その中から、代表的な3つの課題と解決のヒントを取り上げます。

課題その1:業務の進め方が変わったことへの戸惑い
・他部署の状況が見えづらいので業務把握が難しくなった
・メールのやりとりが増えたので繁忙感が増した
・業務が計画通り進まなくなった
・在宅では実験や実機が取り扱えない
このような業務上ストレスを感じているようです。

■ 解決のヒント
(1)withコロナでは、誰もが先行きの見えない状況です。仕事の進捗が芳しくないことによって自分を責め過ぎてはいませんか?
「仕事ができていないのは自分のせいだ」という認知の歪みが起きていないかどうかに気を付けてみましょう(これは認知行動療法と呼ばれており、第5回にご紹介します)。

(2)普段から仕事を抱え込みすぎないように上司や同僚に相談するようにしましょう。
健康状態に困りごとがあれば、早めに上司や、産業医・保健師などの専門家に相談することが大切です。

(3)管理職は在宅勤務で働く部下の状況を確認する工夫が必要になってきます。
この方法については第2回で深掘りしていきます。

課題その2:生活リズム(仕事リズム)が作りづらい、睡眠の乱れ
在宅勤務では、
・休憩がうまく取れない
・仕事のオンオフがつけられない、そのため夜や休日に仕事をしてしまう

このように仕事リズムを作りづらい人が出てきています。
また、起床や就寝といった睡眠リズムも乱れやすいため注意が必要です。
これらのリズムの狂いは、疲労の蓄積につながり、こころの健康にも影響してきます。

■ 解決のヒント
(1)生活リズムを保つことはこころの健康の基本です。
そのためには、いつも通りの時刻に起床就寝をする、普段の出勤通りに着替えを行う、始業前や終業後に散歩をする、小休止の目安となるアラームをセットする、仕事が終わったらPCは片付けるなどの工夫をして、自分なりの生活リズムを作っていきます。
(2)良質な睡眠をとるための工夫は、第4回以降に詳しくご紹介します。

課題その3:自宅環境が仕事に適していない
在宅勤務が急に始まったことによって、
・自宅にPC作業に適した机や椅子がない、そのために肩こりや腰痛が辛い
・家族も在宅勤務であったり、子どもが家にいるので仕事に集中できない
など、身体の不調やストレスを訴えるケースもあるようです。
このように仕事をする環境が整わないと疲労の蓄積や精神的ストレスにつながってしまいます。

■ 解決のヒント
(1)作業環境を整えるために、机や椅子、PC周辺機器を整え、作業の姿勢も見直していきましょう。さらに肩こりの改善運動や、腰痛予防の運動を行いましょう。
運動をすることによって心身の健康も整ってきます。

<参考リンク>
・作業姿勢、簡単なストレッチの例(ヘルスデザイン株式会社)

http://health-d.co.jp/commentary/workposture_stretch/

・肩こりの予防(YouTube/ARROW,Inc. 代表取締役 阿藤 貴史 氏(現役格闘技選手・理学療法士))

https://www.youtube.com/watch?v=J2LaYeORfgk&feature=youtu.be

・腰痛の予防(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター)

https://lbp4u.com/koredake/

(2)在宅勤務では家族と居住空間をうまく使い分けられないかを考えてみます。
ダイニングテーブルを仕事の机に活用するのも一考です。
また、在宅勤務は家族と一緒に居られる幸せな時間と考え方を捉え直すこともよいですね。
オンラインの最中に、子供が写っても今のご時世ではお互い様で、微笑ましいことでもあると思います。

以上、3つの課題とその解決のヒントを挙げました。
在宅勤務に関する困りごととその対策は、これ以外にもまだまだたくさんあります。
冒頭でご紹介した、ヘルスデザイン社が取りまとめた在宅勤務中の困りごとと対策のアイデア集をご参考にしてみてください。

■ 皆様による 在宅勤務の“アイデア集”(ヘルスデザイン株式会社)

http://health-d.co.jp/commentary/telework-idea202005/

【執筆者プロフィール】

坂本 宣明氏

産業医科大学を卒業し、臨床医の経験と専属産業医(製造業)の経験を生かして、より多くの中小企業で働く方々の健康を支援するために、様々な業種や規模の嘱託産業医として活動している。

活動内容は産業医業務に加えて、小規模企業でも健診結果の確認や教育セミナーを開催し、健康管理を行っている。専門は中小企業での健康支援と産業保健マーケティング。

日本産業衛生学会評議員、日本産業ストレス学会理事、さんぽ会幹事。

資格:産業医(指導医)、公衆衛生学修士、博士(医学)、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、健康経営エキスパートアドバイザー

 

 

 

 

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