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彫刻家・佐藤忠良さん死去

2011年03月30日 22時15分20秒 | 新聞などのニュースから
 北海道新聞2011年3月30日夕刊1面に、日本を代表する彫刻家・佐藤忠良さんの死亡記事が載っていました。
 一貫して裸婦など具象彫刻を作り、野外作品も相当な数に上ります。
 生まれは宮城県ですが、小学時代を夕張で過ごし、旧制札幌二中(現札幌西高)の出身です。
 その関係で、夕張の美術館には作品が所蔵されていますし、札幌芸術の森には「佐藤忠良記念子どもアトリエスタジオ」があります(冒頭の画像は、そのスタジオアトリエの前です)。
※3月31日午後、訂正しました。重ね重ねすみません。


 本郷新らとともに、新制作派協会(現新制作協会)の彫刻部を戦前に旗揚げ。
 戦後の「福島群馬の人」などは、フォルムのみならず、モデルの内面性までをとらえた画期的な作品と激賞されました。(アップした日の深夜に訂正しました)
 一時期、全道展にも在籍していたことがあります。

 道内では、本郷、舟越保武、柳原義達(いずれも故人)の4人による釧路・幣舞ぬさまい橋の女性像がなんといっても有名でしょう。
 北海道銀行本店ロビーの大レリーフも、本郷らとの共作です。
 札幌では、資料館の前、大通公園12丁目にある「若い女の像」がよく知られているほか、同2丁目には、冬になると鳥のふんから守るために梱包される珍しい作品「開拓母の像」があります。
 真駒内五輪小橋には「雪娘、えぞ鹿」、札幌西高には「蒼穹そうきゅう」、旭川・買物公園には「若い女・夏」「若い女」、常盤公園には「風雪の群像」、洞爺湖には「ひまわり」など、各地で作品を見ることができます。
 また、小樽の彫刻家・鈴木吾郎さんらにとっては師匠にあたります。

 このほか、日本人のかなりの数が見たことのある作品としては、民話「おおきなかぶ」の挿絵があります。
 小学校の教科書の多くに採用されているので、ご存知の方も多いでしょう。

 佐藤忠良さんの作品は裸婦が多いのですが、性的な感じはほとんどありません。
 といって、親友・舟越保武のように、どこまでも精神的で天上的なものではなく、そこは裸婦なので、やはり、清楚さの中にもそこはかとないエロティシズムが漂っているように思えます。


 筆者は、個人的にお話をお伺いしたことはありませんが、1998年ごろ、夕張に講演を聴きに行ったことがあります。
 1時間半、立ちっぱなしで講演する姿を見て、こんな明治生まれがいるのか! と驚嘆したのを覚えています。
 そういえば、95年ごろ、弟子の笹戸千津子さんが札幌の百貨店で個展を開いたときに、いらしてたな~。
 いずれにしても、80代後半でそれだけの体力があったわけで、筆者はひそかに、一原有徳さんと佐藤忠良さんだけはひょっとすると永遠に亡くならないのではあるまいかと思っていました。


 ご冥福をお祈りいたします。


 以下、どうしんウェブより引用。

日本を代表する彫刻家で、東京造形大名誉教授の佐藤忠良(さとう・ちゅうりょう)さんが30日午前8時16分、老衰のため、自宅で死去した。98歳。(中略)

 具象彫刻の第一人者。抽象彫刻が主流となった美術界で具象作品をつくり続け、国内外で評価された。1981年には日本人で初めてパリの国立ロダン美術館で個展を開催、これを機にフランスとイタリアの美術アカデミー会員に迎えられた。さわやかな女性像や身近な人をモデルにした頭像、子供の像など、親しみやすさと品格を備えた作品は国内でも人気が高く、公園など全国の公共施設に百数十点が展示されている。



「気どったポーズ」(網走)
「道東の四季・夏」(釧路)
「女・夏」(札幌芸術の森)
「緑」(新千歳)

札幌第二中学の絆展 本郷新・山内壮夫・佐藤忠良・本田明二(2009年)


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