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旭川彫刻フェスタの公開制作を見てきた

2012年08月18日 08時18分18秒 | 情報・おしらせ
(承前

 2012年8月9日の、北見→旭川→札幌ドライブの続き。

 当麻町の朝倉力男記念美術館を退去し、旭川市内を目指す。

 上川盆地はいちめん水田が広がり、空は青く、風は心地よく、絶好のドライブ日和である。

 コンビニでノンアルコールビールなどを買ったあと、車を旭川市科学館に止める。
 科学館の裏手の緑地で、「旭川彫刻フェスタ」の一環で、彫刻家の渡辺行夫さんと韮沢淳一さんが、公開制作を行っているのである。



 この「旭川彫刻フェスタ」という催しは、筆者が知る限りでは2000年から隔年で開かれており、山谷圭司さんや川上りえさんといった道内を代表する彫刻家による公開制作やワークショップなどが行われている。
 公開制作で完成した作品は、野外彫刻として恒久設置されており、彫刻のまちにふさわしい行事である。


  ただ、北海道新聞旭川支社が主催に加わっていることが関係しているのかどうかはわからないが、メディアへの露出は道新の旭川・道北版が大半で、道新の全道版や他の新聞、テレビなどで取り上げられる機会が少ない。せっかくの催しなのに、ちょっともったいないという感じもする。

 渡辺行夫さんは、1993年、洞爺湖ぐるっと彫刻公園に設置した「風待ち」で本郷新賞を受賞するなど、道内を代表する石の彫刻家。
 昨年、小樽・春香山の山麓で展開した大型の野外展「ハルカヤマ藝術要塞」の実行委代表でもある。

 今回の作品は、玄武岩308個を利用する。
 この石は、かつて旭川にあった馬車道の舗道に敷き詰められていたものだという。
「表面の(摩耗した)こんな感じは、削ったりしても出せないよね」
と渡辺さん。

 旭川電気軌道や路面電車の存在は知っていたが、かつて馬車軌道があったようなのだ。
 このブログ(daydream)に詳しいが、旭川駅と近文の陸軍師団(いまは陸上自衛隊の駐屯地となっている)を結んだという。
 しかし、明治39年開業、大正7年営業停止というから、12年ほどの短命な鉄道であった。

 旭川の歴史がこめられた作品になりそうだ。
 正式な題は未定だが「馬車道の記憶」といったようなものになるとのこと。

 一方、こちらは韮沢さんの作品。

 中央に700キロもの大きな石を据え付け、それを70本の鉄骨で支える構造になっている。
 バランスをとっているので、鉄骨の本数自体はもっと少なくても、中空の石が落下したりすることはないらしい。
「ジャングルジムみたいに、子どもたちに遊んでくれたらうれしい」
と韮沢さん。

 なるほど。
 筆者はこれまで、韮沢さんの作品は、囚われ人のようなものだという印象を強く抱いてきたのだが、そういうふうに見たら楽しいかもしれないな。


 なお、両作とも、完成後は、向かい側の芝生に設置されるという。

 公開制作は19日までの予定だった。
 正直、渡辺さんの作品がそれまでに完成するとは思えなかったのだが、引き渡し式は9月1日に延期になった。


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□STV北2条ビル・エントランスアートの韮沢さんの関連ページ
http://www.stvkohatu.co.jp/entransart/exhibition/2011/093nirasawajyunniti/093nirasawa.html



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