ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

フーリガン(ネタバレ)

2006年06月30日 | 映画
基本的にネタバレですが、重大なネタバレには伏字を使います。
W杯観戦の間隙を縫って観てまいりました(笑)
劇場で初めて知ったのですが、邦題は「フーリガンズ」ではなくて「フーリガン」なんですね(汗)
サッカー好きだけどフーリガンには興味なし(だって奴等サッカーが好きなんじゃなくて試合にかこつけて暴れたいだけじゃんか・・・)、だったので、イライジャ主演でなければ決して観に行かなかったであろう作品でした。
なので、全然期待していなかったのですが・・・予想外に良かったです。うーん、イライジャ本当に出演作選ぶなあ。(ショーン・ビーンと大違い(汗)イアン・マッケランも結構選ばないですよね・・・)彼の出演作は信用して良さそうな気がします。
感想は様々みたいですが、私は気に入りました。最後の方なんか泣けたりして。
普通にストーリーも面白かったし、限られた時間で登場人物たちがよく描かれていたと思います。まあ、あくまでも限られた時間で限られた部分のみで、ですが。
フーリガンとして暴れる男たちの、フーリガンとしての人物像はよく描かれてましたが、もっと背景の、なぜ彼らはフーリガンになったのか、までは描かれてなかったし。スティーブとピートの家族も出てこなかったですね。まあそんな時間はないのであれでもokとは思いますが。
マットとシャノン姉弟と両親の関係も、ストーリーが進んでいく中でさらっと説明されるだけでしたが、これは上手い処理の仕方だなあと思いました。
そして、フーリガンは好きじゃない私にも、彼らが暴力にのめり込む姿に共感を覚えさせるような描き方が上手いなあと。まあやっぱり試合にかこつけて騒ぐのが目的の人たちを肯定はできませんが、あの映画の中では自然に見られました。
パイロットでフーリガンなんてちょっとカッコイイなあと思ったり(汗)イギリスのフーリガンは労働者階級が日ごろの不満を解消するためにやってる、と思ってましたが、結構ホワイトカラーの人たちもやってるんだということを検索していて知りました。ふーん、そうなんだ。でもそういう人たちの方が怖いなあ・・・
そしてやはり、フーリガンは好きじゃないといいつつも、欧州のスタジアムでの、あの地の底から響くようなうねるような歌声の響きに圧倒された経験がある(いやテレビでだけだけど(汗))サッカー好きには、パブの中で男たちが応援歌を歌い、そのまま歌いながら街中に繰り出して行く様には「おおっ」と感動してしまったりするのでした。
やっぱり歴史が違うよなあと。「オー、バモニーッポーン~♪」なんて能天気な応援歌とは迫力が違いますので、やはり。(いや、女子供は危険だからサッカー観に行けない、なんて世界はゴメンですので、真似はしなくていいんですけれども)
まあそんな風にフーリガンに共感できるような作りをしつつも、暴力は肯定していない、そんなバランス感覚もいいなあと思いました。声高に暴力を否定するのでもなく。
暴力を主催?したファームのリーダーたちはそれぞれ大きな代償を払います。トミー(でしたっけ(汗))は息子を失い、自らは殺人者となり、スティーブは愛する妻子を失い、ピートは自らの生命を失い・・・
特に既に自分の過去を悔いているスティーブの自ら起こしたわけではない行動をシャノンが決して許さなかったことは、なんだか「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」とも重なりました。過去に犯した暴力は必ず連鎖として帰ってくる、逃れることは出来ない、というような・・・
ヒストリー・オブ・ヴァイオレンスでのトムの妻の暴力への拒絶反応が「何もそこまで・・・」と思ったものですが、同じようなシャノンの行動に、そういうものなのか・・・と考えさせられました。二人とも暴力の連鎖から子供を守るため、というのもあったのかもしれません。
この作品、監督が女性でドイツ人という不思議な取り合わせ?の人なのですが、女性監督だからかな、不思議と共感できてしまったのは。観ていて女性の作品とは全然思いませんでしたけど。
ってなんだかイライジャの話が全然出てきませんが(汗)いや、イライジャはとても良かったと思います。
同年代のアメリカ人青年の役で、あまりに等身大でそんなに演技力いらない役なのでは、と思ってましたが、いやいや最近見た中では一番彼の演技力を感じました。出番が多かったからかな、単に。
「サッカー」を何も知らないアメリカ人のマットがフーリガンの世界にハマって行く様は、サッカーの本場ではない日本に住みながらサッカーに魅せられたことがある人間にはかなり共感できるものでした。ってサッカーにハマったわけじゃないけどさ・・・というのはちょっとひっかかりますが、まあ細かいことは気にしないで(汗)
最後にマットが一人でウェストハムの応援歌を歌いながら路上を歩いて行くシーンで泣けてしまったのは、日本のサッカーファンならではの感慨だったのかもしれません・・・それだけじゃなかったかもしれないけれど。
最後のマットの行動は、ちょっと微妙かなーという面もありますが、あれでめでたしめでたしではない、と私は解釈しています。
大物政治家の息子相手に、しかもある程度時間が経ってから事を起こすことは、決して簡単なことではないはずです。これからまだまだ困難が待ち受けているでしょう。
その戦いに、マットは自分ひとりで挑む勇気を持つことができたということだと私は解釈しています。
一人アメリカの路上で応援歌を歌うマットの姿は、一人でも戦うという姿も表していたように思います。シャノンに言われた「ここ(イギリス)で男を上げてもアメリカでは通用しないのよ」という言葉に対する無言の反論でもあったと思うし。
というわけで面白かったし結構感動もしてしまった私なのですが、果たしてサッカーを知らない日本人にはどう映るのでしょうか。
アメリカ人にはどうなんでしょう。当のイギリス人には? サッカーが好きじゃないイギリス人には? ドイツでは上映されないけれどDVDはかなり売れているという話ですが。

てなわけで今年見た映画の順位。
1.ナルニア国物語第一章ライオンと魔女 / 2.RENT / 3.僕の大事なコレクション / 4.ロード・オブ・ウォー / 5.フーリガン / 6.スタンドアップ / 7. ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス /8.キングコング / 9.ハリーポッターと炎のゴブレット / 10.V・フォー・ヴェンデッタ / 11.DOOM / 12.プロデューサーズ / 13.アンジェラ / 14.ダ・ヴィンチ・コード / 15.PROMISE / 16.フライトプラン
ロード・オブ・ウォーとどっちが上か悩みましたが、こういう順位にしてみました。また変わるかも・・・
折り返し点で16本、去年より10本くらい多くなりそうなペースですなあ・・・(汗)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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こんばんは (カオリ)
2006-12-10 21:55:52
女性監督とは知りませんでした。暴力の連鎖、まさにそんな印象を受けました。TBさせてくださいね~
意外ですよね (ぐら)
2006-12-12 20:01:58
コメント&TBありがとうございました。
そう、女性監督とは意外ですよね。イギリス人じゃないのも意外でした。
でも、女性だからこそああいう撮り方ができたのかな、とも思いました。どことなく清潔感があったような・・・

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