ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

トイレット(ネタバレ)

2010年10月03日 | 映画
以前予告とかチラシで「なんでこのシチュエーションでもたいまさこ!?」というものすごいインパクトが気になって、観たいと思ってました。よく見ると監督が「かもめ食堂」の荻上直子さんなのでなるほど、なのですが。
新宿ピカデリーで1日2回上映になってしまったので慌てて行きましたが、映画の日とは言え盛況でしたよ・・・まだ当分やりそうですが、他の公開作品もあるからどうかなあ。
ネット予約していったのに発券しようとしたらなぜか発券できず、わざわざ長蛇の列の窓口に並びました・・・後で予約確認メール観たら自分ちの電話番号間違って入力してました・・・あり得ない~(汗))
そうそう、新宿ピカデリーはメンバーズカードの特典が11月1日から変更になって、今まで無期限だったポイントの期限が6ヶ月になって、映画1本無料も6ポイントから8ポイントになるそうです。6ヶ月で8本をピカデリーだけで観るのは無理だな・・・
今も3ポイントしかなくて、しかも2ポイントはかなり前のだから結局ポイント捨てることになりそう。まあ「6本観たら1本無料」はどこのシネコンでも中止していて、今時よくやってるなあと思ってたくらいなので仕方ないですかね。でもあんなに入ってるピカデリーでも採算合わないのか・・・

さて、なんでもたいまさこさん演じる「ばーちゃん」がアメリカ人一家(カナダで撮影したらしいですが、作中ではアメリカって設定になってましたね)の中にいるのか・・・というのが謎でしたが、彼らの祖母だったんですね。まさか母親が日本人だとは思ってなかったので意表をつかれましたが、なんか結構普通の理由だなーと拍子抜け。(でもあの子たち全然ハーフには見えなかったけど・・・一応髪が黒いキャストを選んだみたいですが)
でも、話が進むにつれて、実は決して一筋縄ではいかない感じだということがわかっていきます。
母親の顔は映らず、(若い頃の小さいモノクロ写真が出てくるだけ)どんな人だったかはほとんど語られません。幼い頃に母親と別れ、その後どうやってかアメリカに渡って子どもを生んで育てたようですが、子どもたちの父親の話は全く出てきません。亡くなったのか・・・そういや最後にお母さんのお墓が出てきた時に名前が二つ入れてあったように見えましたが、あれは父親の名前だったんでしょうか? 文字は判別できませんでしたが・・・
そんな中、死を目前にした母親が突然呼び寄せた自分の母親。実際には幼い頃生き別れているので、本当にこの人が母親だという確証があったかどうかもわからないという・・・
そんな「ばーちゃん」の存在が、英語が喋れず、カルチャーギャップもあって最初はコミカルに思えるのですが、よくよく考えてみると深いなと・・・
どうして娘と別れることになったのかわかりませんが、何十年も経って死を間近にした娘と再会し、最後を看取り、どんな思いだったのか・・・もしかしたら本当は娘じゃないのになんらかの理由で母親として来る事になったという可能性もあるし。
気だるげにタバコをふかす姿からも、今までどんな人生を送って来たんだろう・・・と思わせましたね。
「ばーちゃん」は最初はずっと無表情で、その感情はわかりませんが、娘の死によって生きる気力を失っていたのでしょう。その行動は不可解でコミカルに見えますが、実は結構深刻だったのではないかと・・・
この物語は大まかに言えば「ばーちゃん」の存在によってバラバラで自分勝手だった兄弟たちが絆と自信を取り戻す物語、なのですが、実はばーちゃん自身も兄弟たちの存在によって癒されて行った物語なんだな、と思いました。
モーリーが勇気を出した姿に動かされ、猫のえさを買いに行ったり、餃子を作ったりする気持ちになったんですよね。家を出て行くモーリーを窓から見ながらふっと笑顔を見せていたのが泣かせたなあ・・・さすがもたいさん。
もしかしたらばーちゃんは辛い人生を送ってきて、絶望し切っていたのかもしれない。少なくとも娘の死によって絶望していて、本当だったら絶望したまま寂しく死んで行ったのかもしれない。
でも、彼らと出会うことで、最後に救われたんじゃないかな、と思うと泣けてきてしまいます。
そのあたりのばーちゃんの変化を、一切台詞なしで見せていたのがまた上手かったですね。演出も脚本も、もちろんもたいまさこさんの演技も。もたいまさこさんもともと好きでしたがますます好きになりましたよ。
餃子を作って出す、という行為だけでじんわりさせるのはさすが荻上監督、というところでしょうか。夜中一人スナックを食べるレイを見たばーちゃんがキッチンに移り、餃子を焼いている音が聞こえるだけでじわーっと来てしまいましたねえ。
餃子を作るって、家族の共同作業ってイメージがあるのはやっぱり日本人特有かもしれませんね。そのあたりの餃子という食材の選択も上手かったですね。
また、ばーちゃんの存在を介して、兄弟3人がそれぞれ変化して行く過程も上手かったですね。
勇気を出して自分を変えようとしだすモーリーも印象的でしたが、レイの変化が一番印象的でしたね。
どういう理由か、自分以外の人間を信用せず、一人で生きようとしていたレイ。おそらく、人とちょっと違っていることで傷ついたことがあるんじゃないかなと想像しましたが・・・
しかし、欧米のオタクというかアニメファンって日本のアキバ系の人たちとはかなり違うみたいですけどね。結構明るいというか、見た目普通というか。フランスのコミックショップでフランスのオタクを研究?してきたウェンツくんもそんなこと言ってましたが。
私も欧米のコミックショップにいくつか行ったことありますが、確かにレイみたいなタイプの人は観たことないですねー。むしろメタルファン?というようなファッションの人が多かったですけど・・・タトゥー入れた強面のおにーちゃんとかもいましたね。(まあ私が行ったのはアメコミとか置いてる店なので、日本のマンガのお店とかはまた雰囲気違うのかもしれませんが)
というわけで、レイのあのキャラクターは日本人らしい誤解された海外のオタクの造形かなと思いますが・・・
話が逸れましたが、そんな他人と関わりたくない(家族とすらも)と思っていたレイが、ばーちゃんがトイレを出た後のため息に気付き、気になって仕方なくなります。レイの、自分でも自覚していなかった実は心優しい部分が呼び覚まされたのかな・・・
自分では望まないのに、兄弟たちから頼られて迷惑をかけられ、同僚に絡まれ?(このインド人のアグニがいいキャラだったな~)、迷惑をかけたりかけられたりしながら人とつながることも悪くない、と気付くのも良かったですね。
モーリーのコンクールやリサのエアギター大会の結果が全く知らされないまま、というのもいいなあと。結果よりも、勇気を出してコンクールに出て弾きとおしたこと、リサに至っては大会に出ようと思ったこと(汗)が大事なことなんですよね。
「みんな違ってみんないい」的な結末だったので(いやまあ設定から言ってそうなるだろうとは思ったけど)良かったです。荻上作品は皆そうなのかな。(かもめ食堂しか見たことないですが)
ばーちゃんの存在でバラバラだった兄弟たちが絆を取り戻し、それぞれ成長して行き、ばーちゃんもまた癒され救われた、その出会いを導いた=ばーちゃんを呼び寄せた兄弟たちの母親は、どんな人だったのか全く描かれないのですが、だからこそ、なんだか天使のような存在に思えます。いや、兄弟たちにとってはばーちゃんもまた天使だったかもしれないけれど。
「かもめ食堂」はテレビで観て、いいとは思ったけれどそんなにハマらなかったのですが、この作品はかなり好きかも・・・
あ、サチ・パーカーさんが出ていると聞いてたのにエンドロール観るまで忘れてたのですが(汗)「西の魔女が死んだ」とはかなり違うので全然気がつかなかった(汗)せっかく日本語喋れるのに特に日本語関係ない役でしたねー。
そうそう、皆自分勝手な兄弟が暮らしているあの家、随分きれいに掃除されてたけど誰がやってたのかな・・・モーリーやレイがやるとは思えないけど、やっぱりリサが?
あと、ウォシュレット3000ドルもするか? と思ったけど、便器から全部取り替えてたからかな。便座だけ取り替えれば10分の一くらいでできたと思うんだけど・・・
それから、猫の「センセー」がアメショーミックスのかわいい子だったんですが、なんか顔が6月に死んだうちのメイちゃんに良く似てて・・・なんかセンセーが出てくる度にうるうるしてたりもしました(汗)
エンドロールのエアギター、リサよりお兄ちゃんたちの方がうまかったけど・・・(笑)特にモーリーが上手かったなー。

てな訳で今年見た映画の順位。
1.トイレット / 2.ニューヨーク、アイラブユー / 3.9ナイン~9番目の奇妙な人形 / 4.ザ・ロード / 5.NINEナイン / 6.復讐者に憐れみを / 7.Dr.パルナサスの鏡 / 8.のだめカンタービレ最終楽章後編 / 9.ペルシャ猫を誰も知らない / 10.コララインとボタンの魔女 / 11.ラブリーボーン / 12.かいじゅうたちのいるところ / 13.アリス・イン・ワンダーランド / 14.プリンセスと魔法のキス
まさかの1位・・・いや観始めたときはまさか1位になるとは思わなかったので(汗)

あと今年観に行く予定の映画。
公開中「十三人の刺客」
10月9日公開「乱暴と待機」
11月13日公開「トワイライトサーガ/エクリプス」
11月19日公開「ハリー・ポッターと死の秘宝 前編」
12月10日公開「ロビン・フッド」
12月11日公開「ノルウェイの森」
ガフールの伝説は字幕見るのに川崎まで行かないといけないので考え中・・・

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